ポイント
- 2015年のFA カメラ・マシンビジョンの世界市場規模は、前年比104.8%の2,459億5,000 万円の見込み
- 同年FAカメラの世界市場規模は540億円の見込み
- 同年汎用マシンビジョンの世界市場規模は815億円、専用マシンビジョンは1,104 億5,000 万円の見込み
調査会社の矢野経済研究所は、2016年3月30日にFA カメラ・マシンビジョンの世界市場の調査結果を発表しました。
FAカメラとは、製造ラインでの製品検査装置(マシンビジョン)に利用するカメラを指します。マシンビジョンとは、製造業でのラインにおける製品検査装置であり、FA カメラ、画像処理ソフトウェア、PC などで構成されています。なお、マシンビジョ ンは主に汎用マシンビジョンと専用マシンビジョンに大別されます。このうち本調査における専用マシンビジョンとは、食品・ 飲料用途、医薬品用途、および生産ライン表面検査マシンビジョンのみを対象とします。
市場概況
2015年の FA カメラ・マシンビジョン(MV)の世界市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年比104.8%の2,459億5,000万円で、このうち国内市場規模は前年比105.5%の877億 5,000万円の見込みです。
世界的な金融不況の影響で 2009年に市場は縮小しましたが、その後回復しました。2012年は前年までの設備需要に一巡感が見られ、それ以降の市場は堅調に推移しています。この傾向は国内外ともに同様であり、各製造業における設備投資需要に連動しているものとみられます。
2015 年は国内需要も好調に拡大します。全般的には国内市場は海外市場と比較して成熟してきており、今後の成長率は鈍化するものと考えられます。
世界市場においては中国が注目されています。FA カメラ・マシンビジョン導入における生産工程の効率化や自動化は、中国において今後も大規模な需要があるものと考えます。その後、東南アジア地域への需要のシフトがあるものと予測されます。
またドイツ政府の進めるインダストリー4.0など、製造業の高度化に向けた革新的な動きがあります。FA カメラ・マシンビジョンのメーカーの中には、これを大きな商機と捉えて製品展開を強化する企業もあります。また製品展開のみならず、製造工程におけるソリューション型事業や支援事業に、事業領域を拡大する動きもあります。
2015 年には大手企業が事業部門の売却を行うなど、経営資源の集中の動きもあり、今後も FA カメラ・マシンビジョン業界においては事業の統合や淘汰、企業間における買収や連携が活発化していくものと考えられます。
注2:国内市場規模は年度ベースで算出
注3:2015 年は見込み値
今後の分野別動向
FA カメラ
2015年のFA カメラの世界市場規模は、メーカー出荷金額ベースで540億円の見込みであり、FA・マシンビジョン世界市場全体において22.0%を占めると見込まれます。
FAカメラ全体としては必要な用途以外でカラー化は見られないものの、デジタル化が進んでいます。FAカメラにはエリアセンサカメラとラインセンサカメラがあり、エリアセンサカメラでは高画素化が進展し、現状で2メガ(2M)ピクセルまで標準化されています。今後は5メガ(5M)クラスも台頭するものとみられます。高画素化に伴い、撮像素子でも CMOSセンサ採用が増加しています。
一方のラインセンサカメラでは、高精細の解像度を求めるユーザー企業と、現状機能継続の意向を示すユーザー企業とに二極化される傾向にあります。またFAカメラと監視カメラは、各々の高機能化、高画素化により、ハード面ではなく、画像情報の共有による情報活用と解析で融合していくものと考えられます。
汎用マシンビジョン
2015 年の汎用マシンビジョンの世界市場規模は、メーカー出荷金額ベースで815億円、世界市場全体における構成比は33.1%と見込まれます。なかでもスマートセンサ(カメラとマシンビジョンのオールインワンモデル)が拡大しており、現状では既に10万円を切った価格帯に需要の中心が移行しています。
専用マシンビジョン
2015年の専用マシンビジョンの世界市場規模はメーカー出荷金額ベースで1,104億5,000 万円、世界市場全体における構成比は44.9%と見込まれます。本調査における専用マシンビジョンは、食品・飲料用途、医薬品用途、および生産ライン表面検査マシンビジョンのみを対象としており、これらは新しい用途分野として需要が拡大しています。
一方で、従来の主用途である液晶や FPD(Flat Panel Display)、半導体、電子部品、自動車や金属分野における需要は依然として高く、これらの用途需要(アプリケーション)を含めると専用マシンビジョンの市場規模はさらに大きいものと想定されます。
注2:専用マシンビジョンとは、食品・飲料用途、医薬品用途、および生産ライン表面検査マシンビジョンのみを対象とする。
注3:2015 2015 年は見込値