発売以来、他のスマホと同じく徐々にそのディスプレイサイズを大型化してきたAppleのiPhoneシリーズ。iPhone 3Gで3.5インチ(解像度480×320)だったその大きさは、iPhone 6s Plusで5.5インチ(解像度1,920×1,080)が採用されています。その一方で、片手による操作が難しくなり、ポケットに入れづらいとの声が聞かれるように。このような状況の中、Appleは2016年3月22日に新しく「iPhone SE」を発表しました。
iPhone 5s以来、約2年半ぶりに4インチディスプレイを採用したiPhone SE。その容姿を見ると、背面にある「SE」の刻印の他はiPhone5sと見分けがつきません。ディスプレイの解像度も、同様に1,136×640と変更ありません。中身は何か変わっているのでしょうか? 分解の様子を、米国の修理情報サイトiFixitからご紹介します。
<Apple iPhone SEの主な仕様>
- 価格:64,800円(SIMロックフリー、64GB)
- OS:iOS 9.3
- CPU:Apple A9 1.85GHz
- RAM:2GB
- ROM:16GB、64GB
- ディスプレイ:4インチ、1,136×640、326ppi
- カメラ:1,200万画素(iSight)、120万画素(FaceTime)
- バッテリー:1,624mAh(iFixit分解時に判明)
- 寸法:123.8 x 58.6 x 7.6mm
- 質量:113g
iPhone 5sと同様、iPhone SEはLightning端子の近くに「Pentalobe」と呼ばれるネジが2本あります。安易な分解を防止するため、これらは普通のプラスネジの形状ではなく、まるで桜の花のような形をしています。しかし、専用のドライバーを用いれば、決して分解は難しくありません。ネジを外してケーブル類を抜くと、ディスプレイモジュールが分離します。中身を見ると、外見と同様にiPhone5sとそっくりな構造が姿を現しました。何か、異なる点はないものでしょうか。そこで、iFixitの技術陣は、X線写真による分析を試みました。
このX線写真を見る限り、iPhone SEは内部も筐体もiPhone 5sとほとんど変わりありません。一方で、搭載しているCPUやRAM、カメラなどの性能はかなり向上しています。CPUはiPhone 6sと同じApple A9を採用し、RAMの容量も1GB増えています。古い製品の筐体や内部の構造を採用することで、iPhone SEは設計の負担が軽減されているのかもしれません。
わずかに違いが分かるのは、背面にあるAppleのロゴでした。iPhone 5sではアルミニウムを表面処理することで作られていたこのロゴ、iPhone SEでは光沢のあるステンレスの部品を内側からはめ込む構造をしていました。この仕様はiPhone 6sで採用されたものを引き継いでいるようです。
iFixitでは、デバイスの修理難易度を1から10の数字で格付けしています。Apple iPhone SEは、ディスプレイモジュールが簡単に分離でき、交換が容易な構造でした。落下による画面割れで悩むユーザーにとって、これは朗報です。また、バッテリーの交換も用意で、電池の劣化に悩むヘビーユーザーにとって歓迎できる点です。しかし、ディスプレイ分離時にTouch ID(指紋認証デバイス)を接続するケーブルを傷める恐れがあることや、分解時に「Pentalobe」と呼ばれるネジを外すために特殊なドライバーが必要なことから、格付けはまずまずの「6」に。さらに詳しい分解の様子を見たい方は、iFixitのサイト(英語)へどうぞ。半導体部品の詳細など、面白い情報が公開されています!
出典:Apple iPhone SE Teardown iFixitウェブサイト
Apple iPhone SE ウェブサイト