座ることはタバコと同じくらい体に悪い!?正しい姿勢を作るコツ:職場でできる体メンテナンス講座1

座ることはタバコと同じくらい体に悪い!?正しい姿勢を作るコツ:職場でできる体メンテナンス講座1

著者:株式会社トータルリハビリテーションセンター 代表取締役 友広 隆行

「会社に入ってから、太りだした」「1日中PC業務で、腰痛や肩こりがひどい」など、現代サラリーマンの職業病ともいえる悩みの数々。製造業で働くエンジニアも例外ではないはずです。

仕事だから仕方ないと、諦めてしまっていませんか? 今回は、職場でできて、しかも簡単で効果の大きな取り組みを、3回シリーズで紹介します。第1回のテーマは「姿勢」です。

1. 座ることは、体に悪い!

Sitting is new smoking. これは、現在アメリカで盛んに言われている言葉です。皆さんは、1日どれくらいの時間座って業務をしていますか? 地球上で、現代の人間が最も長い時間座って生活しています。もし、野生でそんなに長く座っていると、他の動物に食べられてしまいます。

アメリカには肥満の人が多く、長時間座っていると、どれだけ健康に悪いかというデータやエビデンスが数多く存在します。実は30分ほど、同じ姿勢で座り続けていると、タバコを1本吸ったのと同じくらい体に悪いというデータすら存在します。1日8時間以上座って仕事をする人は、1時間程度の人と比べて、61%も死亡率が上がるというデータまで存在しています。

長時間の座り仕事が体に与える影響は、挙げればきりがなく、心筋梗塞、糖尿病、大腸がん、乳がん、子宮がん、頸椎捻挫、もやもや病、肩こり、脊椎の傷害、椎間板疾患、大腿筋の筋力低下、下肢静脈瘤、骨粗しょう症などを引き起こす可能性があります。20分以上座り続けていると、脂肪を分解する酵素の分泌が低下することも分かってきています。

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2. 正しい姿勢で30%も業務効率が上がる?

肩こり(筋性頭痛)や腰痛は、なんと30%も業務効率を下げているといわれています。ということは、肩こりや腰痛を予防するだけで、業務効率が上がります。

まず、PC作業が1日5時間以上の人、座って業務を行う人、肩こり(頭痛)または腰痛がひどく、業務に支障をきたしている人は、「正しい姿勢」を意識してみてください。常に良い姿勢を保つのは、ずっと座りっぱなしで運動不足の皆さんには酷でしょう。「常に良くするように心がける」だけでも、十分効果があります。

図1:良い姿勢(左)と悪い姿勢(右)のイメージ

図1:悪い姿勢(左・中)と良い姿勢(右)のイメージ

図1に示すように、姿勢が悪いと体の歯車が乱れ、肩が内向きになり、前方に下がった首を持ち上げようとして、肩がこります。逆に姿勢が良いと、体の歯車が良い方向に回り、頸椎にまで影響を与え、首や肩の負担が減少します。(この状態で次回説明する「ドローイン」を加えると、さらに良くなります。)

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3. デスクワーク時は、どうする?

ここまで、正しい姿勢の話をしてきました。PC作業をする人にとって、正しい姿勢をとるために一番大事なことは、PC環境です。ここでいうPC環境とは、Wi-FiやBluetoothなどの通信機能ではなく、ずばり「モニターの位置」です。このモニターの位置を変更するだけで、かなり業務効率が上がります。

以前、私が病院勤務だった時、病院にはレセプトと呼ばれる保険請求業務がありました。レセプトの担当者は、1日中PCの前で入力作業を行います。そして、多くの人が肩こり、頭痛や腰痛に悩まされていました。私が、モニターの位置を変えるようアドバイスをしてからというもの、肩こりや腰痛は減少しました。半年後に、試しに一度元の位置に戻して業務をしてもらったところ、なんとほぼ全員が1時間も経たずに首や腰が痛くなりました。PCへの入力業務は、それほど首や腰に負担をかけていたのです。

図2:モニター位置のポイント

図2:モニター位置のポイント

モニターの位置のポイントは、2つしかありません。1つ目は、肘の角度を90度に保つということ、2つ目は、良い姿勢で座った目線がモニターの上1/3の位置にあるということです。これはスタンディングのデスクを使用しても同じです。

この2点を改善するだけで、業務効率はかなり上がるはずです。数年前までは、座った時の目線がモニターの中心に来るように指導していましたが、上を見ることが多くなり、ドライアイが増加したので、現在はモニター上1/3ということになっています。

分厚い本や雑誌を重ねて、モニターをその上に置くと、簡単にモニターの位置調整ができます。実際に姿勢良く座り、モニターの上1/3が目線のところにきているか、同僚に横からチェックしてもらってください。欠点としては不安定なことです。地震の際にはモニターが倒れてしまうかもしれないので、市販のPC台を利用すると安心かもしれません。

ノートPCは、特に注意が必要です。ノートPCの場合、目線がモニターの上1/3の位置になるようにすると、肘を90度にできません。よって、ノートPCはモニターとして使い、外付けのキーボードを使用することをおすすめしています。カフェなどで仕事をする場合はそれも難しいので、なるべく高い位置でノートPCのモニターを使用するか、椅子を下げて対応します。

この記事を読んでいる人の8~9割は、モニターの位置が低いはずです。最初は面倒くさいかもしれませんが、一度自分の高さに合わせてしまえば、あとはいつの間にか肩こりが楽になっていることに気が付くでしょう。さあ、あなたも今すぐモニターの位置を変更して人生を変えましょう!

次回は、お腹を凹ませるだけ「ドローイング」について、解説します!

著者 友広 隆行(ともひろ たかゆき)

株式会社トータルリハビリテーションセンター 代表取締役
米国ドクタートレーナー。兵庫県出身。米国及びカリフォルニア州ドクターライセンス(カイロプラクティック)とNATA認定アスレティックトレーナー(米国国家資格)のダブル資格保持者。20歳で渡米し、現地の大学でスポーツ医学を学ぶ。16年に渡るアメリカ生活でロサンゼルスドジャースにおけるインターンや、侍ベアーズのチームドクター兼ヘッドトレーナーを経験。2008年に帰国し、現在は株式会社トータルリハビリテーションセンターの代表、腸内細菌解析のAub株式会社 取締役を務める。