自分の身は自分で守る!職場での熱中症対策

自分の身は自分で守る!職場での熱中症対策 

梅雨が明け、急に暑くなる7月。例年熱中症による救急搬送者数や死亡者数が急増します。皆さんの職場の熱中症対策は、万全でしょうか? 自分の身は自分で守る。今回は、WBGT値を基にした正しい熱中症予防対策を学びましょう。厚生労働省の公開資料をもとに解説します。

 

1. 熱中症の症状と分類

熱中症になると、軽度な場合は、めまいや失神、重度の場合は、意識障害や高体温という症状が現れます(表1)。高温多湿な環境下において、体内の調整機能が破綻することなどが原因です。夏に屋外で作業するような職業従事者は、常に熱中症の危険にさらされています。

熱中症の症状と分類

 

2. まずは見える化!WBGT値とは?

WBGT値とは?


WBGTは、Wet-Bulb Globe Temperatureの略で、湿球黒球温度を意味します。人体の熱ストレスの評価を行う暑さ指数で、定量的な熱中症予防対策に役立ちます。乾球温度、湿球温度、黒球温度の値を使って、次式のように計算します。

屋内、屋外で太陽照射のない場合(日かげ)
 WBGT値=0.7×自然湿球温度+0.3×黒球温度
屋外で太陽照射のある場合(日なた)
 WBGT値=0.7×自然湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度

これを毎回計算するのは、大変ですね。自動で計測できる黒球付きの熱中症指数(WBGT)計があり、小型のものだと1万円前後から購入可能です。さらに、気温と湿度から簡易的にWBGTを計算する熱中症指数計であれば、数千円から購入できるようです。

WBGT値をどう使う?


WBGT値を測定した後は、表2を用いて基準値と比較します。その際、着用している衣類に応じて、表3の補正値を加えます。基準値を超える場合、超えるおそれがある場合には、冷房の使用、作業の変更を行います。それでもWBGT基準値を超える場合には、熱中症予防対策を徹底して行います。

表2:身体作業強度等に応じたWBGT基準値

身体作業強度等に応じたWBGT基準値

※ 本表は、JIS Z 8504 附属書A「WBGT熱ストレス指数の基準値表」を基に、代謝率レベルを具体的な例に置き換えて作成したもの。
※ 熱に順化していない人とは「作業する前の週に毎日熱にばく露されていなかった人」のこと。
表3:衣類の組み合わせによりWBGT値に加えるべき補正値

衣類の組み合わせによりWBGT値に加えるべき補正

※ 補正値は、一般にレベルAと呼ばれる完全な不浸透性防護服に使用しない。
※ 重ね着の場合に、個々の補正値を加えて全体の補正値とすることはできません。

3. 具体的な熱中症予防対策


職場での熱中症予防対策は、組織的に取り組むべきものです。しかし、個人も学んでおく、対策を考えるに越したことはありません。今回は、身近な対策を中心に紹介します! 大きく環境と作業に分けて見ていきます。

環境管理の観点から1:WBGT値の低減など


WBGT値が、基準値を超える(おそれのある)作業場所(以下、高温多湿作業場所)においては、「熱を遮る遮へい物」、「直射日光・照り返しを遮ることができる簡易な屋根」、「通風・冷房の設備」の設置などに努めてください。通風が悪い場所での散水については、散水後の湿度の上昇に注意してください。

環境管理の観点から2:休憩場所の整備など


高温多湿作業場所の近隣に、冷房を備えた休憩場所や日陰などの涼しい休憩場所を設けるよう努めてください。また、氷、冷たいおしぼり、水風呂、シャワーなどの、身体を適度に冷やすことのできる物品や設備を設けるよう努めてください。水分・塩分の補給を、定期的、かつ容易に行えるよう、高温多湿作業場所に、飲料水の備え付けなどを行うよう努めてください。

作業管理の観点から1:作業時間の短縮


作業の状況などに応じて、「作業の休止時間・休憩時間の確保と、高温多湿作業場所での連続作業時間の短縮」、「身体作業強度が高い作業を避けること」、「作業場所の変更」に努めてください。

作業管理の観点から2:熱への順化


計画的に、熱への順化期間を設けるよう努めてください。例えば、作業者が順化していない状態から、7日以上かけて熱へのばく露時間を次第に長くします。(ただし、熱へのばく露を中断すると、4日後には順化の喪失が始まり、3~4週間後には完全に失われます。)

作業管理の観点から3:水分・塩分の摂取


自覚症状の有無に関わらず、作業の前後、作業中の定期的な水や塩分の摂取を指導してください。 摂取を確認する表の作成、作業中の巡視における確認などにより、その摂取の徹底を図ってください。

作業場所のWBGT値がWBGT基準値を超える場合、少なくとも0.1~0.2%の食塩水、または、ナトリウム40~80mg/100mlのスポーツドリンクや経口補水液などを、20~30分ごとに、カップ1~2杯程度摂取することが望ましいところです。(ただし、身体作業強度などに応じて、必要な摂取量は異なります。)

作業管理の観点から4:服装


熱を吸収する服装、保熱しやすい服装は避け、クールジャケットなどの、透湿性・通気性の良い服装を着用してください。直射日光下では、通気性の良い帽子(クールヘルメット)などを着用してください。

厚生労働省のウェブサイトには、職場管理者の義務や救急措置などを含めて、さらに詳細な解説があります。こちらも参考にして、万全の熱中症対策を打ちましょう!

参照:職場における熱中症予防対策 厚生労働省ウェブサイト

参考資料:WBGT値と気温、相対湿度との関係(日本生気象学会 「日常生活における熱中症予防指針」 Ver.1 2008.4 から)

WBGT値と気温、相対湿度との関係