【回答受付終了】資格は取った方がいい?Tech Note読者とキャリアコンサルタントの回答を紹介:製造業・建設業エンジニア キャリアお悩み相談室2

資格は取った方がいい?Tech Note読者とキャリアコンサルタントの回答を紹介:製造業・建設業エンジニア キャリアお悩み相談室2

Tech Note読者のキャリアに関する質問に回答する「製造業・建設業エンジニアキャリアお悩み相談室」。2回目は、若手技術者の方の「資格」に関する質問に対して、キャリアの専門家の回答と、Tech Note読者のご意見を紹介します!

Q:入社5年目となり、仕事に余裕が出てきたので、資格の取得を考えています。実際に、技術者が取った資格、取りたい資格を知りたいです。その理由も一緒に教えてください。(20代 食品機械 開発・設計)

回答者 日本アルテック株式会社 キャリア・コンサルタント 三上 知子

製造業のエンジニアに特化した人材紹介サービス、就職・転職支援サービス、求人サイト運営などを展開。転職希望者とじっくり向き合い、中長期的にコンサルティングを行うのが特徴。

A1:資格も職種同様、分野ごとに存在

仕事や生活にゆとりが出てきたとき、それぞれのライフスタイルに合わせた時間の使い方があります。今だからできることとして「資格の取得」を考えている今回のご質問者は、食品機械ということなので、製造業での装置あるいは製造設備を扱っていらっしゃるご様子ですね。また開発・設計職とありますので、機械系あるいは電気系のどちらかの分野の方かと思います。

読者からいただいた回答の中には、電気系資格のアドバイスがありました。

配電制御システム検査技士(民間資格)、電気工事士、危険物乙4など。電工は学科2カ月、実技2カ月集中勉強、乙4は化学が得意な人なら高1レベルだし、2~3カ月と本1冊あれば大丈夫。がんばりましょう、若いうちに。

弊社に転職相談にいらっしゃる電気系技術者の方の中にも、設備設計や保全にも通ずる、電気工事士(第2種)を保有されている方が多くいらっしゃいます。上の回答にもあるように、電気工事士は筆記と技能試験があります。

筆記試験は過去問から出題傾向をつかむことができますが、実技試験は演習ができる環境の確保や、基本的な電気工事の経験あるいは理解がないと難しいかもしれません。また、乙種危険物取扱者第4類(危険物乙4)は筆記試験のみで、こちらは電気・機械などの分野を問わず多くの方が持っています。

電気工事士、危険物どちらの資格も、該当業務を実施する場合には必須と法令で定められている資格です。そのため、資格保有者は設備施工や製品製造の現場では必要不可欠な人材として、企業側のニーズも高く、中途採用の必須要件としている企業もあります。そのため転職時にも有利に働く資格です。

各技術者の保有資格

弊社に相談にいらっしゃる技術者(製造業従事)の方が保有している資格の一例を挙げます。

  • 機械系:機械設計技術者(1~3級)、CAD利用技術者(1・2級)など
  • 電気系:電気工事士(第1~3種)、電気主任技術者(第3種)など
  • 生産技術系:機械保全技能士(機械系、電気系1・2級)など

その他、技術者に限らずMOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)をお持ちの方も多くいらっしゃいます。海外工場や他部署との連絡メールにはOutlook、マニュアル・報告書の作成にはWordやExcelと、オフィスツールは必須ですし事務的な作業時間の短縮にも一役買っています。

A2:今後のキャリアプランは?目指す技術者像に近づくために必要な資格を

業務遂行上必須とされる資格もある一方で、資格の有無に関係なく就くことができる職種も多々あります。この機会に、ご自身が「何のために資格を取るべきか」を考えてみるのもよいでしょう。今後どのような技術者としてキャリアアップしていきたいのか、そのために必要な資格、取得しておいたほうが良い資格は何かを調べてみましょう。

設計技術者としてスペシャリストを目指すのであれば、CAD利用などの設計スキルの指標となる資格もあるでしょう。ライン構築などの生産技術や生産管理へシフトしていきたいのであれば、設計スキルのほかに製造工程でのコーディネートやマネジメントスキルが必要になります。この場合は資格取得以外にも、生産技術スキルを得るためのセミナーやeラーニングの受講なども考えてみてはいかがでしょうか。

また、上司や先輩といった身近なところに目指す技術者像となる方がいれば、その方が持っている資格や取ろうとしている資格にチャレンジしてみるのもよいでしょう。将来像を明確にすることで、一人ひとりのキャリアプランごとに資格の幅も広がることでしょう。

それから、資格取得に際してはかかる費用もまちまちです。比較的安価で取得できるものは受験しやすいと思いますが、なかには受験自体をちゅうちょしてしまうほど高額なものもあります。社内に資格取得支援や合格報奨金といった制度の有無や利用の可否、または雇用保険の教育訓練給付制度などの助成金制度が適用される資格であれば、利用可否を確認してみましょう。受験費用を助成してもらえれば、モチベーションアップにもつながりますよね。

A3:技術者の国家資格「技術士」

読者の方のご回答にもありました「技術士」資格。技術士とは、科学技術分野において高度な知識・能力を持っていると認められた、まさに技術者の最高資格です。

技術者であれば「技術士」を取得すべき。技術者としての最高峰の資格で、多くの技術分野を網羅している。きっと、貴殿にも合致する技術分野があるはずです。

開発設計系の資格であれば「技術士」が最高位です。20部門の中から自分の専門に合ったものを受験します。2次試験には7年の実務経験が要求されますので、今から1次試験を準備するとちょうど良いと思います。ぜひ挑戦してください。

技術士は、第二次世界大戦後にアメリカのコンサルティングエンジニア制度を参考に創設されました。科学技術の向上と経済発展に寄与するための技術業務を行うために制定された、技術士法により定められた国家資格です。

技術士の1次試験は、基礎科目、適性科目、専門科目(機械、船舶、航空・宇宙など20技術部門)の3科目の筆記試験で合否が決まります。2次試験は必須科目と技術部門選択科目の筆記試験、数カ月後に筆記試験合格者に対して実施される口頭試験があり、期間が長くかつ専門性もたいへん高い資格です。

1次試験の合格率は平均でおよそ60%(部門により差はあります)と比較的高いのですが、2次試験の合格率は平均で15%程度。技術系資格で技術士より上位はありません。このことからも難関資格であることが分かります。

技術士は「その分野のプロフェッショナル」として、企業や官公庁、独立コンサルタントなどといして活躍しているので、今後のキャリアに生かせる可能性が大きいと考えられます。Tech Note読者の回答にもあるように、2次試験受験の要件として4~7年の実務経験が必要です。今から実務を積みながら筆記対策などをじっくり準備できるでしょう。

A4:資格ありきのキャリアではなくキャリアの先にある資格を

前述したように、その業務に従事するために必須の資格もありますし、昇級昇格の要件として必須にしている企業もあります。また質の高い製品やサービスを提供するために、より多くの社員に取得を推奨する資格もあります。

一方で、資格取得ありきで机上の問題を解くことに傾倒し、実務が伴わないのであれば、本来のキャリアアップにつながりません。「今の仕事、そして目指す技術者へ近づくために必要なことは何か」にフォーカスしましょう。その結果として、個々のレベルアップ・キャリアアップが企業の生産力・競争力向上へとつながり、多方面でメリットとなる。そんな考え方で資格と向き合っていってほしいと思います。

次回は、おそらく皆さんにも身に覚えのある、「管理職と専門職どちらに進むべきか」についての回答をご紹介します。お楽しみに!