ササキチです。早くも第4回目を数えたアキバジャンク祭り。2016年もよろしくお願いします。
さて、皆さん、真空管って知っていますか? 今やレトロな響きを持つ言葉になり、ちゃんと説明できる人も少なくなったのではないでしょうか。今回訪問したのは、オーディオマニアが集うという、真空管と真空管アンプ専門店の有限会社アポロ電子さんです。
秋葉原で老舗の牛丼屋「牛丼専門サンボ」の裏手にひっそりとお店を構えるアポロ電子。どんなお店なのか、そもそも真空管とはどんなものなのか、真空管の魅力とはいったい何かについてインタビューしてきました。
真空管とは何か?
お店の中には、所狭しとモノが置いてあります。最近では、ニキシー管という真空管の一種が、シュタインズ・ゲートという人気ゲームで話題です。でも、真空管そのものについては知らないことばかり。早速代表の松岡 宏彰氏に詳しくお話を伺いました。
――僕は真空管というものをほとんど知りません。真空管の用途や魅力を教えていただけますか?
松岡 宏彰氏(以下、松岡):真空管とは、電流の制御や増幅を行う電子バルブのことです。一昔前は、テレビ、ラジオ、コンピューターなど、さまざまな家電や電子機器に使われていました。当社はオーディオのアンプ(増幅器)に使う真空管に特化しています。現在のオーディオアンプは、トランジスタやICが用いられています。そのトランジスタの前の時代に用いられてきたのが真空管です。
今やその役割はトランジスタに奪われました。しかし、真空管を使ったアンプには温かみがあり、生の演奏に近かったり、高温域でも音が割れにくかったりという理由で、音楽好きの方に根強い人気があります。
真空管アンプの特徴は、真空管の球によって音が異なること。また出力管、増幅管、送信管という役割の異なる真空管の組み合わせによっても音が異なります。さらには自分の好みに合ったスピーカーも必要なので、こだわり出すと止まりません。自分に合った組み合わせを作る楽しみも真空管の魅力ですね。
――今時の音とは全く違いますね! 温かみがあってどこか懐かしいような。生演奏を聴いている気分になります。
松岡:当社が大事にしているのは、こうやって実際に聴いてみてもらうことです。真空管の球による違いはもちろん、同じ組み合わせだとしても人それぞれ耳が違うからです。真空管だけで約400種類あるので、自分に合った真空管をきっと見つけられると思いますよ。
おじさま世代にはたまらない?ヴィンテージの逸品たち
――400種類というのはスゴイですね! ところで、真空管を作っているメーカーはどんなところがありますか?
松岡:実は、日本に真空管を生産する企業はほとんどありません。ギターアンプ用にロシアと中国で生産されています。オーディオの世界で今流通しているのは、デッドストックなどのヴィンテージものです。
真空管は過去の遺産となってしまうのか?
――今やデッドストックばかりという真空管。今後は、どのようになるのでしょうか?
松岡:ギターアンプに使うということもあり、まだまだ真空管の需要はあります。供給については、実は自宅の奥底に眠っているなんてこともあります。それほどすぐに供給がなくなることは考えられません。
しかし、今の若い世代の方が真空管に触れる機会がないのも事実です。これまで同様、いろいろな真空管を試して聴いてもらうことで、より多くの方に真空管の良さを知ってほしいですね。ちなみに真空管のメーカーや球を変えたりして、いろいろな音の変化を楽しむことを球転がし(チューブローリング)と呼びます。そんな楽しみ方ができるのは真空管だけです。
――ものすごく興味が出てきました。あらためて勉強してみたいです!
ササキチの振り返り:今だからこそのアナログの魅力
今では、あらゆるものがデジタルに置き換えられています。しかし、新しいモノが必ずしも優れているわけではないことを、真空管を通じて学んだ気がします。特にデジタル世代は、アナログの魅力を知りません。最新技術だけでなく、昔からの技術を振り返ることで、新たな製品の可能性や、市場の拡大が見えるのかもしれません。
真空管の卸業者で働いていた松岡氏が、アポロ電子を創業したのは25年も前。東京オリンピックの時代から、真空管と共に人生を過ごしてきたそうです。トランジスタと真空管の違いを体感しに、アポロ電子さんに足を運んでみてはいかがでしょうか? 自分に合った音を探すのは想像以上に面白いと思いますよ!
有限会社アポロ電子
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