前回は、カムアウト現象とトルクスレンチを紹介しました。今回は、スパナとめがねレンチについて解説します。スパナやめがねレンチを正しく使うことで、効率的にボルトやナットの締め付け作業を行うことができます。まずは、スパナについて学んでいきましょう。
1. スパナ
スパナはボルトやナットなどの取り付け、取り外しに使用する作業工具です。
・スパナの種類
スパナは頭部の形状によって丸形とやり形の2種類があります(図1)。丸形は頭部が丸みを帯びており、やり形よりも厚く、大きなトルク(回転力)が必要な大径のボルトやナットの締緩作業に適しています。やり形は頭部が少し尖った形状で、丸形よりも薄く軽いので、作業環境が狭いときなど取り扱いやすいことが利点です。
スパナは元来、丸形しかなく、先端が丸みを帯びているため偏狭部では干渉し使いにくいことが課題でした。そこで先端がスリムなやり形が開発され、現在ではやり形が主流になっています。丸形とやり形の使い分けは、強度なら丸形、使いやすさはやり形と覚えておくとよいでしょう。また、スパナの片端だけに口があるものを片口、両端に口があるものを両口といいます。
・スパナの大きさ
ボルトやナットを挟む空間を口(くち)といい、スパナの大きさは口の2面幅(互いに平行する2面間の距離)の寸法(mm)で表します。JISでは2面幅の寸法を呼びと定義しています(図2)。また、慣用的には口径といわれることが多いです。例えば、呼び(口径)5.5のスパナの口の2面幅は5.5mm、呼び10のスパナの口の2面幅は10mmです。両口で、2面幅12mmと14mmのスパナは12×14と表記されます。
・スパナの使用時の注意点
スパナは呼びの寸法とボルトやナットの2面幅が一致するものを使用します。スパナの呼びがボルトやナットの幅より多少大きくても、ボルトやナットの角が引っかかるため回すことができますが、無理に回すと、ボルトやナットの頭をつぶすことになります。スパナは2点でボルトやナットと接します(図3)。
ボルトやナットを締め付ける際は、手の力で締められるところまで手で締め付けます。これは、手は回転角度が大きく作業効率が高いためです。手で締め付けられなくなったら、スパナを使って締め付けていきます。スパナの口は柄の中心に対して15°傾いています。そのため、偏狭な場所では表裏を交互に使うことで、送り角60°でボルトやナットを回すことができます(図4)。
2. めがねレンチ
めがねレンチはスパナと同様に、ボルトやナットの取り付け、取り外しに使用する作業工具です。めがねレンチは口が輪になっており、めがねに似ていることから、めがねレンチと名付けられました。
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3. コンビネーションスパナ
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