前回は、木造住宅の構造として、壁量計算、必要壁量などを紹介しました。最終回となる今回は、木造建築の可能性を解説します。可能性という点で欠かせないのは、いかに大規模な建築物を作れるかということです。小さな木造建築で問題になるのは、防火地域に建物を作るときだけです。しかし、木造建築の規模が大きくなると、材料強度の安全性、構造(架構)の安全性、防火(不燃、燃えしろ設計)耐火の安全性、避難の安全性などが建築基準法で規定されています。今回は、これらの説明と、建築基準法をクリアした実際の木造建築の事例を紹介します。
1. 大断面集成材を使った建築
材料強度の安全性、構造(架構)の安全性を確保するために開発されたのが、大断面集成材です。大断面集成材を利用すると、構造形態上、大きな空間を作ることができ、空間の形の制限から解放されます。もともとの材料が木材であることから、木の質感があり、鉄筋コンクリートや鉄骨造よりも軽量であり、大きな空間には、とても有効です。
集成材とは、小径の引き材を接着剤で積層させたものをいいます(図1)。集成材の歴史は古く、100年以上も前から使われています。フェノール樹脂接着材などの接着技術が進歩したことにより、大型の木造建築が可能となりました。

長野オリンピックのスピードスケート会場として利用されたエムウェーブも、集成材を使用した代表的な木造建築の一つです(図2)。信州カラマツ材の集成材を使用して半剛性つり屋根構造とすることで80mのスパンを実現し、信州の山並みを表現しています。

また、金沢駅東広場にある鼓門のようなスパイラルの大断面材も作ることができるため、さまざまな用途で自由な形の空間を表現できます(図3)。

2. CLT(Cross Laminated Timber)を使った建築
ここでは、CLT(Cross Laminated Timber)を使った建築を紹介します。CLTとは、小径の引き板を、繊維方向が直交するように接着剤で積層させた建築材料です(図4)。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。
3. 不燃化した木材を使った建築
続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。