溶接の資格認証制度:溶接の基礎知識7

溶接の基礎知識

更新日:2018年2月9日(初回投稿)
著者:兵庫職業能力開発促進センター 寺田 昌之

前回は、アルミニウム合金の特徴とTIG溶接を解説しました。今回は、溶接作業者の資格認証制度を紹介します。溶接の品質を高めるには、適切な技術を持った溶接作業者が不可欠です。資格認証制度は、溶接作業者の技術を担保するために必要な制度です。

1. 溶接要員の資格認証制度

ISO9001 Quality Management Systemでは、溶接を特殊工程(完成後の検査で不良品を排除できない工程)と定義し、品質保証が困難な作業に位置付けています。溶接作業は自動化やロボット化が進められているものの、大部分は溶接技術者が行うため、溶接品質は作業者の技術レベルに左右されます。溶接品質を一定のレベルに保つために、溶接管理技術者・溶接技術者の知識・技術レベルを担保する資格認証制度があります。また製作物によっては、資格認証の取得が人材登用の条件となることがあります。

溶接要員の資格認証には、さまざまな種類があります(表1)。一般的に取得されているのは、溶接管理技術者、手溶接技能者、半自動溶接技能者などの資格認証です。これらの認証試験は、認証機関の一つである一般社団法人日本溶接協会が実施しています。本稿では、主に手溶接技能者の資格認証制度について述べます。

表1:主な溶接要員認証制度(一般社団法人溶接学会 資格認証・認定制度のご案内を基に著者作成)
対象 認証名 適用する規格
技術者 溶接管理技術者
(特別級)(1級)
(2級)
JIS Z 3410 溶接管理-任務・責任
ISO 14731 溶接管理-溶接管理技術者の任務と責任
WES 8103 溶接管理技術者認証基準
マイクロソルダリング
技術者
JIS Z 3851 マイクロソルダリング技術検定における試験方法・判定基準
WES 8109 マイクロソルダリング技術者資格認定基準
作業指導者 溶接作業指導者 WES 8107 溶接作業指導者認証基準
技能者 手溶接技能者 IS Z 3801 手溶接技術検定における試験方法・判定基準
WES 8201 手溶接技能者の資格認証基準
半自動溶接技能者 JIS Z 3841 半自動溶接技術検定における試験方法・判定基準
WES 8241 半自動溶接技能者の資格認証基準
ステンレス鋼溶接
技能者
JIS Z 3821 ステンレス鋼溶接技術検定における試験方法・判定基準
WES 8221 ステンレス鋼溶接技能者の資格認証基準
チタン溶接技能者 JIS Z 3805 チタン溶接技術検定における試験方法・判定基準
WES 8205 チタン溶接技能者の資格認証基準
プラスチック溶接
技能者
JIS Z 3831 プラスチック溶接技術検定における試験方法・ 判定基準
WES 8231 プラスチック溶接技能者の資格認証基準
銀ろう付技能者 JIS Z 3891 銀ろう付技術検定における試験方法・判定基準
WES 8291 銀ろう付技能者の資格認証基準
すみ肉溶接技能者 JWES 8101 すみ肉溶接技能者の資格認証基準
石油工業溶接士 JPI-7S-31 溶接士技量検定基準(石油工業関係)
基礎杭溶接技能者 WES 8106 基礎杭溶接技能者の資格認証基準
PC工法溶接技能者 WES 8105 PC工法溶接技能者の資格認定基準
建築鉄骨ロボット
溶接オペレータ
WES 8110 建築鉄骨ロボット溶接オペレータの技術検定における試験方法・判定基準
WES 8111 建築鉄骨ロボット溶接オペレータの資格認証基準

2. 手溶接技能者の資格認証

手溶接は作業者が手で行う溶接で、被覆アーク溶接を使った検定試験です。手溶接技能者の資格認証は、裏当て金の有無、溶接する板金の厚さ、溶接姿勢の組み合わせで分類され、資格の種類記号で簡易的に表されます。種類記号の例として、裏当て金あり・厚板・下向姿勢の試験はA-3Fと表します。

・裏当て金の有無

裏当て金ありで溶接を行う場合(資格の種類記号:A)と裏当て金なし(資格の種類記号:N)の場合があります。裏当て金ありの溶接は、建築構造物などに使用される施工法です。試験材の裏側に当て金を付け、高い電流で試験材と当て金を溶かし込みます。一方、裏当て金なしの溶接は、配管などに使用され、当て金を付けずに溶け具合を調整しながら溶接します。受験者は、自分の行う溶接の種類によって、AまたはNを選択します。

・板厚

溶接を行う板厚を、薄板(厚さ3.2mm)、中板(厚さ9.0mm)、厚板(厚さ19.0mm)から選択します。資格の種類記号は、薄板は1、中板は2、厚板は3です。認証に合格した溶接技術者は、一般的に板厚の1/2~2倍の溶接ができる技術があると認められます。スチール家具などを製造する業種では、薄板を選択します。また、板厚6.0mm~16.0mmの鉄骨を使用する業種では中板を、板厚20.0mm以上を使用する業種では厚板を選択します。

・溶接姿勢

溶接姿勢には、さまざまな種類があり、受注先から求められる溶接姿勢を選択します。平板の溶接では、下向、上向、横向、立向の4種類の溶接姿勢があります(図1)。資格の種類記号は、F:下向、O:上向、H:横向、V:立向です。

図1:溶接姿勢の種類(平板)

図1:溶接姿勢の種類(平板)

パイプの溶接には、鉛直固定と水平固定の2種類の溶接を行います。資格の種類記号は、Pを用います。

図2:溶接姿勢の種類(パイプ)

図2:溶接姿勢の種類(パイプ)

3. 手溶接技能者の受験資格

手溶接技能者の受験資格には、基本級と専門級があります。溶接姿勢が下向姿勢の試験は、基本級に分類され、1カ月以上の溶接経験があれば受験できます。専門級の試験(下向以外の溶接姿勢)の受験条件は、基本級に合格し、3カ月以上の溶接経験があることです。基本級の試験に合格することを前提として、基本級と専門級を同時に受験することも可能です。ただしこの場合、基本級が不合格だと専門級も不合格になります。

4. 手溶接技能者の評価試験

手溶接技能者の資格認証は、学科試験と実技試験で評価されます。学科試験は正答率60%以上が合格です。今回は、実技試験における外観試験と曲げ試験の評価基準を解説します。

・外観試験の評価基準

外観試験の不合格条件は5つあります。いずれかに当てはまる場合、不合格になります。

  • 1:最終層のビードの幅、高さ、曲がりが基準を超える。また、部分的に修正された溶接ビードがある。
  • 2:ビードの始端・終端部における開先面の残存の合計が10mmを超える。また、クレータ処理が不完全。
  • 3:裏当て金を使用しない溶接において、裏面の溶込みが全体の1/3以上残っている。
  • 4:オーバラップ、アンダカットおよびピットがある。
  • 5:溶接後の変形(角変形)が5度を超える。

・試験材料

図3に、手溶接技能者資格の試験材料を示します。

図3:手溶接技能者資格の試験材料

図3:手溶接技能者資格の試験材料

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5. 適格証明書の有効期間と再評価試験

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6. その他の資格認証

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