前回は、2012年に始まった第二次VRブームから2019年に至る、VR普及の歴史について解説しました。今回は、実際にVRのソフトを作るにはどうしたらいいか、その方法を具体的に紹介します。
1. VRの基本は3Dアクションゲームとほぼ同じ
VRブーム誕生のきっかけを作ったOculus社の創業者パルマー・ラッキーは、当初ゲーム用のデバイスとしてOculusDK1を設計しました。その関係もあったのか、VRはゲーム、特に3Dのアクションゲームの制作方法と相性が良く、また制作に関するノウハウも数多く蓄積されています。
3Dのアクションゲーム、と特に限定するには、次のような理由があります。
- VRでは、1秒間に60~90回も3Dモデル(3次元データ)のレンダリング(映像の計算)を行う
- 優れたVRの制作には、インタラクション(入力操作と、それに対する反応)デザインが必要
- VRと同等の頻度で計算を行い、インタラクションデザインも必要とするものは、3Dのアクションゲームしかない
(同じレンダリングを必要とする映画などでは、数時間に1回の計算で済み、VRとは時間感覚が全く違うため)
CGによる映画や2Dゲーム、WEBも似たような制作方法であると思われるかもしれません。しかし、これらの3Dモデルのレンダリングの頻度は、VRのように多くはありません。
2. 3Dアクションゲームを作るための基礎知識
まず、3Dアクションゲームを稼働させるための過程を、説明します(図1)。
- 1:まず、コンピュータ上に物体(3Dモデル)を作ります
- 2:この3Dモデルをコントローラ操作などで動かした結果を、コンピュータ上で再現します
- 3:その動きは、ユーザーからどのように見えるのか、コンピュータで計算(レンダリング)します
- 4:これを、1秒間に60~90回繰り返します
3Dモデルは、基本的に専用の3Dソフト(CADソフト)で制作します。これを、モデリングと呼びます。3Dモデルの制作には非常に専門的な訓練とスキルが必要なので、本職のデザイナーではない場合は、既存の3Dモデルを購入するか、専門の3Dデザイナーに発注する、という選択肢をお勧めします。3Dモデルについてある程度の経験値があればTURBOSQUIDやDIMENSIVAのような専用ウェブサイトから、自分のVRに必要でかつ使いやすい3Dモデルを探し、入手することができます。
次に、インタラクションの制作とレンダリングについて解説します。これは、大きく分けると、全てを自力でプログラムするか、あるいは、既存のゲームエンジンを使うか、という選択になります。ゲームエンジンとは、3Dのアクションゲームを作るために絶対に必要な基礎機能を、あらかじめ組み込んだゲーム制作ツール、ということになります。使用者は、その基礎機能を必要に応じて組み合わせることで、自分の欲しいゲームを作り上げていきます。これにより、全てを0から作るよりもずっと簡単に、短時間でゲームを制作できるようになります。
ゲームエンジンの世界において、2大巨頭といわれるのがUNITYとUnrealEngine4(以下UE4)です。どちらを選んで使うかは、基本的に好みの問題になります。UNITY、UE4ともに無料で始められます。VRなしでもダウンロードし、初心者向けの入門書などを参考にして実際に動かしてみることをお勧めします。私見としては、知人・友人がユーザーであるものを試した方が良いかと思います。作業に行き詰まった場合や、疑問点が発生した場合など、比較的気軽に相談できるからです。
どちらのゲームエンジンにも、VRに対応した基礎機能が組み込まれているため、少ない労力でVRソフトを作ることができます。前述のとおり、ゲームエンジンは3Dアクションゲームを効率的に制作するために設計されているので、高速レンダリングを行うための仕組みも実装されています。インタラクションもゲーム用のものを流用でき、UI(ユーザー・インタフェース)なども基礎機能を利用してすぐに実装できるため、0から作るよりずっと楽にVR制作が行うことができます。
3. VRならではのコントローラの勘所
保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。
4. UIの配置
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5. 実写VRの利点と欠点
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