新しい技術の活用:交通計画の基礎知識6

交通計画の基礎知識

更新日:2022年3月3日(初回投稿)
著者:前橋工科大学 工学部 社会環境工学科 教授 森田 哲夫

前回は、高齢社会を迎えた日本における、市民社会の交通計画を紹介しました。今回は、最終回です。交通計画への新しい技術の活用について解説します。GPSなどの新しい技術を交通実態調査に活用することで、交通量や走行速度などの詳細なデータの取得が可能になりました。政府が推進している高度道路交通システムITSは、交通事故や渋滞、環境対策など、さまざまな課題の解決を可能としてきました。また、自動車の自動運転技術の開発には、人工知能AIが導入されています。

1. 新しい交通実態調査

交通計画を策定するには、パーソントリップ調査などの交通実態調査を実施し、交通実態を把握する必要があります。情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)の進歩に伴い、さまざまな調査方法が開発され、実用化されています。また、インターネット環境が普及したことで、パーソントリップ調査、国勢調査などの社会調査には、Web調査が導入されるようになってきました。ここでは、プローブ調査、ITSスポットやETC2.0について説明します。

・プローブ調査

プローブには、調査、精査、探測などの意味があります。また、プローブカーとは、タクシーやバス、一般車両にGPSなどの測位計測機能を搭載し、時々刻々の道路交通情報を収集する車両をいいます。これにより、車両がいつ、どこに所在したかといった情報を収集できます。

近年の自動車の走行速度の調査(交通計画では、旅行速度といいます)では、タクシーやバスなどをプローブカーとして設定し、プローブ調査を実施しています。しかし、実走行による調査では、朝の通勤混雑時間帯の混雑方向といった、時間的にも空間的にも限られたデータしか得ることができませんでした。旅行速度は常に変化しています。混雑時間帯のみのデータでは、渋滞が終日発生しているのか、朝の時間帯だけ発生しているのか評価できません。

そこで、自動車メーカーやカーナビメーカーは、カーナビに搭載されたGPS機能を用い、一般車両のプローブ情報を取得し、ドライバーへのリアルタイムな交通情報(民間プローブ情報)を提供しています。

・ITSスポット、ETC2.0

ITSスポットとは、ETC2.0の提供のために道路脇に設置されている通信設備です。国土交通省では、2011年より全国の高速道路、国道、道の駅に、ITSスポットを設置してきました。市販されているETC2.0対応カーナビ搭載の車両がITSスポットを通過することで、車両の緯度・経度、通過時刻、加速度を収集できます。ETC2.0とは、料金収受や渋滞回避、安全運転支援などのサービスに加え、ITSスポットを通して集約される経路情報を活用した次世代型ETCです。2015年の道路交通センサスでは、ETC2.0を活用した旅行速度調査が実施されました。

ETC2.0プローブデータを用い、車両の走行履歴を収集することで、渋滞情報や旅行時間情報を、より精度を増して把握できるようになります(図1)。また、急ブレーキを踏むような現象が多く発生する危険箇所の特定も可能です。このように、ETC2.0プローブデータを用いることで、道路管理者は渋滞箇所や危険箇所の把握、道路改善計画の立案などを行うことができます。

図1:ETC2.0の機能とデータの活用

図1:ETC2.0の機能とデータの活用(参考:国土交通省資料)

2. ITSを活用した交通計画

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3. 新しい交通技術

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