将来交通量の予測:交通計画の基礎知識3

交通計画の基礎知識

更新日:2021年12月15日(初回投稿)
著者:前橋工科大学 工学部 社会環境工学科 教授 森田 哲夫

前回は、パーソントリップ調査データを用い、都市の交通特性を解説しました。パーソントリップ調査は、調査時点(現況)における交通特性の把握以外にも活用方法があります。それは、将来交通量の予測です。今回は、現況データを元にした将来交通量の予測方法を解説します。全国の道路ネットワーク計画や公共交通計画では、将来交通量の予測により計画が策定されています。

1. 交通量予測の前の準備

初めに、将来交通需要予測を行うために必要な知識として、OD表、ゾーンとネットワークについて解説します。パーソントリップ調査では、さまざまな集計データが得られます。地域別の交通量を集計する場合、地域のまとまり(ゾーン)別に集計を行います。このゾーンを使い、出発地(Origin)から到着地(Destination)への交通量(トリップ数)をOD表として集計します(表1)。

表1:OD表の例(引用:森田哲夫・湯沢昭 編著、図説 わかる交通計画、学芸出版社、2020年)

表1:OD表の例

表1では、ゾーン1からゾーン2へのOD交通量は、t12トリップ/日となります。また、ゾーン1からゾーン1へのゾーン内々の交通量は、t11で表せます。図1に、OD交通量の図示例を示します。

図1:OD交通量の図示例

図1:OD交通量の図示例(引用:森田哲夫・湯沢昭 編著、図説 わかる交通計画、学芸出版社、2020年)

実際の予測作業では、都市圏に数百から数千のゾーンを設定します。トリップは、本来は地点から地点への移動です。しかし、データが大量になると扱いづらいため、ゾーンからゾーンへの移動として扱います。なお、パーソントリップ調査はサンプリング調査であり、一部の人を抽出して調査をしています。そのため、サンプルデータに拡大係数(標本率の逆数)を乗じ、集計します。OD表は、パーソントリップ調査で得られる重要な成果の一つです。

4段階推計法を用いる場合には、ゾーン間の交通サービス水準(所要時間、費用など)を用意します。ゾーン図上に、公共交通や道路を表現する交通ネットワークを張ります(図2)。交通ネットワークは、経路であるリンクと結節点であるノードから成ります。ゾーンには、ゾーン中心(人口重心など)を設定します。また、ゾーン中心とネットワークをアクセスリンクで結び、ゾーン間の交通サービスデータをコンピュータで計算します。4段階推計法については、次項から説明します。

図2:ゾーンとネットワーク

図2:ゾーンとネットワーク(引用:森田哲夫・湯沢昭編著、図説・わかる交通計画、学芸出版社、2020年)

2. 4段階推定法の流れ

4段階推定法とは、1950年代にアメリカで開発された将来の交通量を予測するための方法です。人の交通行動は、移動目的、交通手段、出発地・到着地、移動経路などが異なり、非常に複雑です。将来交通需要を予測するために、段階に分け、徐々に詳細に推計する方法が開発されました。日本では、1967年に広島都市圏、1968年に東京都市圏のパーソントリップ調査で本格的に採用されました。その後、全国に普及し、さまざまな改良が加えられています。

4段階推計法は、人は4つの段階を踏まえ、交通行動を決めることを仮定しています。第1段階は、生成交通量の予測と発生・集中交通量の予測、第2段階は分布交通量の予測、第3段階は交通手段分担交通量の予測、第4段階は配分交通量の予測です(図3)。なお、第1段階には、生成交通量の予測と、発生・集中交通量の予測の2つの内容が入っています。4段階推計法では、通常、この2つの予測作業を1つの段階と見なします。

図3:4段階推計法の流れ

図3:4段階推計法の流れ(引用:森田哲夫・湯沢昭編著、図説・わかる交通計画、学芸出版社、2020年)

3. 各段階の予測内容

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4. 4段階推定法による予測事例

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