経営革新等支援機関とは?補助金適正化法とは?:補助金の基礎知識3

補助金の基礎知識

更新日:2016年11月1日(初回投稿)
著者:浜松信用金庫 法人営業部 地域活性課 辻村 昌樹

前回は、補助金申請書類の作成のポイントを解説しました。今回は、補助金に関わる制度や法律、会計処理を見ていきます。特に、認定支援機関による事業計画作成サポートは、近年公募要件によく入ります。しっかりチェックしましょう!

1. 経営革新等認定支援機関によるサポート

近年、補助金申請の際には、経営革新等認定支援機関(以下、認定支援機関)や商工会議所・商工会などとの連携や、全面的なバックアップを受けることが求められています。補助金の申請者が単独で事業計画を作成するのではなく、専門的な知識・ノウハウを持っている認定支援機関が、事業計画の作成をサポートすることにより、その精度を上げることが目的です。

図1:平成27年度補正ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金 公募要領

図1:平成27年度補正ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金 公募要領

経営革新等支援機関(認定支援機関)とは、税務、金融、企業の財務に関する専門的知識を有する、国によって認定された金融機関、税理士、公認会計士、弁護士、商工会議所などの支援機関です。2012年の中小企業経営力強化支援法の施行により制度が創設され、2016年年8月30日現在、全国で25,462機関が認定されています。認定には、経営革新計画の策定などの業務に一定年数以上の経験を持つことが条件とされています。

参考:認定経営革新等支援機関 中小企業庁ウェブサイト

補助金の公募要領に、認定支援機関による支援と記載される場合があります。認定支援機関は、事業計画書について、競争力強化が見込まれるとの確認書を発行します。公募要領の内容をしっかりと把握し、早めに認定支援機関に相談してください。最近は補助金の認知度が向上し、応募件数が増加傾向です。公募期間の締め切り間際では、確認書発行などの対応が難しいケースもあります。注意しましょう。

図2:平成27年度補正小規模事業者持続化補助金 公募要領:商工会議所が事業計画の確認書を作成

図2:平成27年度補正小規模事業者持続化補助金 公募要領:商工会議所が事業計画の確認書を作成

2. 補助金適正化法

国や地方公共団体、補助金事業の実施機関など、補助金を支払う者は、国民から徴収された税金を、法令および予算に従って、公正かつ効率的に使用されるように努めなければなりません。補助金を受けた者は、法令および補助金の交付内容や条件などに従い、善良な管理者の注意をもって、補助事業を行う必要があります。

これら補助金に関する法律を定めたのが、「補助金適正化法(正式名:補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律)」です。補助金の不正受給や目的外使用をした違反者には、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられることもあります。交付された補助金の返還を命じられるケースもあります。

図3:補助金適正化法は、補助金について定めた法律

図3:補助金適正化法は、補助金について定めた法律

ポイントとしては、他の用途での補助金使用の禁止と、補助金を受けた者は、各省庁の長へ事業の遂行状況を報告しなければならない点です。もし、遂行に問題があれば、各省庁の長は事業を遂行するように命じることができます。また、違反があれば、事業の遂行の一部停止を命じることができます。

実際に、補助金適正化法に照らし合わせて、補助金を受ける者に課される具体的な条件や義務を見ていきます。

平成27年度補正ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金 公募要領より

1:補助金の経費配分や事業変更
補助金の交付決定を受けた後、経費の配分や内容を変更しようとする場合、または事業を中止、廃止もしくは他に承継させようとする場合には、事前に事務局の承認を得なければなりません。

2:事業実施報告書の提出
事業を完了したときは、その日から起算して○日を経過した日、または事業完了期限から起算して○日を経過した日のいずれか早い日までに、事業実績報告書を提出しなければなりません。

3:知的財産権の報告
事業の実施に基づく発明、考案に関して、知的財産権の出願や取得を、事業年度や事業年度の終了後5年以内に行った場合、またはそれを譲渡したり実施権を設定した場合には、遅滞なく報告書を提出しなければなりません。

4:補助金事業に関する状況報告や調査協力
事業の完了した日の属する会計年度の終了後○年間、毎会計年度終了後○日以内に、事業に関わる事業化などの状況を報告するとともに、事業に関係する調査に協力しなければなりません。

※これとは別に、会計検査院による会計検査を受けるケースもあります。基本的に補助金受給後5年以内が対象です。対象者は、補助金を受けた全ての者ではなく、ランダムに指名されて実地調査が行われます。会計検査院は、国会や裁判所に属さず、内閣からも独立した憲法上の機関として、国や法律で定められた機関の会計を検査し、会計経理が正しく行われるように監督する機関です。

5:補助金事業による収益
事業化状況の報告から、本事業の成果の事業化、知的財産権の譲渡、実施権設定、その他事業の実施結果の供与により収益が得られたと認められる場合には、補助金額を上限として収益納付しなければなりません。

6:財産処分
財産処分を行った際、当該財産を処分したことによって得た収入の一部は納付しなければなりません。

7:補助金と事業者の課税の調整
補助事業者が、課税事業者(免税事業者・簡易課税事業者以外)の場合、事業に関わる課税仕入に伴い、消費税や地方消費税の還付金が発生するため、この還付と補助金交付が重複しないよう、課税仕入の際の消費税や地方消費税相当額について、原則としてあらかじめ補助対象経費から減額します。

図4:税金を使う補助金。条件や義務も厳しい!

図4:税金を使う補助金。条件や義務も厳しい!

3. 補助金の会計処理

実際に補助金を受ける場合、どのような会計処理となるのかも把握しておきましょう。補助金を取得した際の会計処理で、支給決定時と入金時が決算期をまたがない場合は、雑収入(国庫補助金収入)として計上します。具体的な仕分は、以下の通りになります。

  • 補助金10,000千円で決算期をまたがない場合
借方 貸方
当座(普通)預金 10,000千円 雑収入 10,000千円

補助金は、支給決定日から実際に補助金が入金されるまでに1年程度を要し、決算期をまたぐケースがあります。その際の具体的な仕分は、以下の通りとなります。

  • 補助金10,000千円で決算期をまたぐ場合

補助金決定通知時

借方 貸方
未収入金 10,000千円 雑収入 10,000千円

補助金入金時

借方 貸方
当座(普通)預金 10,000千円 未収入金 10,000千円

補助金は勘定科目「雑収入」として取り扱うため、消費税処理をすべきと考えられがちです。しかし、事業者が国または地方公共団体から受け取る補助金は、資産の譲渡などの対価に該当せず、不課税売上となり課税対象ではありません。そのため、消費税処理の必要はありません。

ただし、補助金は雑収入(収益計上)となり、上記例の場合、このままでは補助金10,000千円に対して税金がかかってしまいます。これでは補助金の本来の目的が達成することができなくなってしまうため、補助金に関わる受贈益について、一定の要件を満たす場合、一時的に税負担を軽減する「圧縮記帳」という制度があります。これは、補助金を利用して固定資産を購入した際に、購入金額から補助金の額を差し引いた金額を固定資産の取得価額とする税法上の制度です。「固定資産の購入価額 - 補助金 = 固定資産の取得価額」という計算式が適用されます。

  • 補助金10,000千円の交付と自己資金5,000千円で、15,000千円の固定資産を取得した場合

補助金の交付時

借方 貸方
当座(普通)預金 10,000千円 雑収入 10,000千円

固定資産取得時

借方 貸方
固定資産 15,000千円 当座(普通)預金 15,000千円

圧縮記帳処理

借方 貸方
固定資産圧縮損 10,000千円 固定資産 10,000千円

このような処理により、雑収入10,000千円と固定資産圧縮損10,000千円が相殺され、補助金を受けたことによる益金の課税がなくなります。すなわち、圧縮記帳は、新たに取得した固定資産の価額に圧縮損を計上することで、受贈益などによる課税関係を生じないようにするための制度です。ただし、これらは一般的な例です。具体的な経理処理に関しては、税理士・会計士などに確認してください。

補助金といえば、申請書を作成し、採択を受けることが、最も気になるポイントでしょう。しかし、申請後にも目を向けておかないと、知識・認識不足により、大きな損失を被ることもあり得ます。このような点にも注意し、補助金事業の全体像をつかんだ上で補助金申請に取り組みましょう。

次回は最終回です。読者の皆さまからの質問に回答します!