補助金申請書類の作成ポイント:補助金の基礎知識2

補助金の基礎知識

更新日:2016年9月28日(初回投稿)
著者:浜松信用金庫 法人営業部 地域活性課 辻村 昌樹

前回は、補助金の概要と申請の流れを解説しました。今回は、実際に補助金を申請しようとした際の申請書類作成のポイントを解説していきます。

1. 公募要領は、お宝?

予算の概算要求や予算確定後の施策概要を見れば、補助金のおおよその内容を把握できます。これは、あくまでも概要です。公募が開始されると、補助金の具体的な内容や注意事項、審査のポイントなどを記載した「公募要領」が公開されます。

図1:ものづくり補助金の公募要領

図1:ものづくり補助金の公募要領

この公募要領を斜め読みし、真剣に読み込まない人が多いように見受けられます。しかし、公募要領というものは、補助金が採択されるためのノウハウやポイントが、非常に多く詰め込まれた宝のようなものです。大げさだと思う人もいるでしょう。これから、公募要領の読み方のポイントを見ていきます。誇張ではないことが、分かるはずです。

2. 公募要領のポイント

ほとんどの補助金の公募要領には、事業の目的や補助対象者をはじめとして、概ね10項目が記載されています。全ての項目をしっかりと理解し、内容を把握した上で申請をしないと、採択に至りません。大きな落とし穴もありますので、注意しましょう。それでは、各項目のポイントを簡単に説明します。

1:事業の目的
なぜ補助金を出すのか、どのように利用してほしいのかといった、補助金の主旨や背景に関するキーワードが記載されています。ここで、補助金実施団体の考え方をつかみましょう。いくら素晴らしい内容を申請書に書いても、事業の目的にそぐわないものは、評価されません。

2:補助対象者
誰が補助金を申請できるのか、規定されています。ただし書きにも、細かな規定があります。特に、中小企業への補助金の場合、みなし大企業は対象外となるケースがあります。

みなし大企業とは?

  • 発行済株式の総数、または出資金額の総額の1/2以上を、同一の大企業が所有している中小企業
  • 発行済株式の総数、または出資金額の総額の2/3以上を、大企業が所有している中小企業
  • 大企業の役員または職員を兼ねている者が、役員総数の1/2以上を占めている中小企業

3:事業実施期間
いつまでに事業を完了させるかが、記載されています。その期間までに事業が終了するような事業計画でなければなりません。

4:補助対象要件
補助金を利用して何をすべきか、目標や数値計画などが記載されています。

5:事業のスキーム
補助金の手続きなどの流れ(順序)が記載されています。

6:補助対象経費
どのような経費が対象となるのか記載されています。下記は、経費対象外となるケースが多いので注意しましょう。

  • 補助金交付決定日よりも前に発注、購入、契約したもの
  • 事業期間終了後に納品、検収などを実施したもの
  • 販売を目的とした製品の生産に関わるもの
  • 汎用性があり、目的外使用になり得るもの(例えば、事務用パソコン、プリンタ、文書作成ソフトウェア、タブレット端末、スマートフォン、デジタル複合機など)
  • 価格設定の適正性が明確でない中古品

7:補助率など
補助対象経費のうち、どの程度が補助されるのか(2/3、1/2など)、また上限(下限)金額が設定されています。

8:申請書記入の留意点と審査項目
申請書の各項目に、何をどのように記載するのか、事業の具体的な内容について、どのような観点で記載したらいいのかが記されています。また、審査項目も記載されているので、その項目は必ず書くようにしましょう。

9:補助事業者の義務、10:財産の帰属は、第3回で解説します。公募要領の10項目の中でも、特に重要となる「8:申請書記入の留意点と審査項目」について、次の章で見ていきます。

3. 申請書記入の留意点と審査項目

前回も説明したとおり、補助金とは、自社が行いたい事業や研究開発などに対して、国や地方公共団体から支給される、原則返済する義務のないお金です。ただし、審査員(事業実施団体)が納得するように、決められた書式に、補助金を使う必要性についてポイントを絞って記載する必要があります。さらに、審査に通過しなければなりません。

言い換えると、どのように他社と差別化し、どのように自社の競争力を強化するかを明記した事業計画を作り、その実効性を説明する必要があります。では、どんな内容(記述項目)を、どのような表現で、どの程度(ボリューム感)書けばよいのでしょうか?

まずは、内容(記述項目)から見ていきましょう。補助金の種類によっては、内容(記述項目)ではなく、「審査項目」と書かれていることもあります。その場合は、項目の全てを申請書内に回答してください。「審査項目」として挙げられた内容が未記入場合、その部分に点数が付けられず、合計得点が低くなります。

具体的には、ユーザー、ニーズ、市場規模、革新的、優位性、収益性、技術的課題、技術的能力、実施体制、スケジュールといったキーワードが、自社や取引先、申請するテーマに当てはまるか考えていきます。

図2:キーワードは、自社に当てはまる?

図2:キーワードは、自社に当てはまる?

キーワードに関する情報収集や分析が終わったら、今度は、キーワードを文章にしていきます。文章化する際のポイントは、「ストーリー性」です。「ストーリー性」の一例を示します。

  • 当社は、このような【企業】で、このような【技術的能力】を有しています。
  • 当社は、このような【新しい製品】を開発します。このような【新しい生産体制】を構築します。
  • それは、社会や【ユーザー】からの、このような【ニーズ】に基づいています。
  • 新しい技術(製品・生産体制)を実現するためには、こうした【技術的課題】を克服する必要があります。
  • その実現に当たり、当社ではこのような【実施体制】で臨みます。
  • 事業が実現した結果、現状の技術と新技術を比較すると、こんな【優位性】があります。また、当社の【収益性】がこれだけ向上します。
  • このような【スケジュール】で事業を行います。また、このくらいの【市場規模】が見込まれます。

ストーリー性に加えて、注意点があります。申請者自身は、業界のプロであり、知識・経験も豊富です。一方、審査員は専門家ばかりでなく、専門用語を全て理解できるわけではありません。つまり、審査委員の立場になり、どれでだけ読みやすいか、理解しやすいか重要です。第三者に申請書を読んでもらうのが、解決策の一つです。

  • 専門用語の羅列は避け、誰が見ても理解できるように表現しましょう。
  • 実態に沿った事象や経験、データなどで具体的に記述しましょう。
  • 図、イラスト、写真などを挿入して、ビジュアル的に分かりやすく表現しましょう。
  • 「事業計画名」や「事業計画の概要」など、字数制限のある項目は注意しましょう。
  • 申請書は、通しで読めるようにしましょう。審査委員は、膨大な量の申請書を読む必要があります。別添参照は使わずに、申請書中に記載した方が読みやすくなります。
  • 企業の熱意が、伝わるようにしましょう。ただし、熱意が先行しないように!
  • 採択経験のある人は、前回申請書の内容をベースに作成しましょう。

最後に、どの程度のボリュームを記載すればよいのでしょうか? 図3は、平成27年度ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金【2次公募】の申請書の抜粋です。

ダウンロードした申請書は、枠が狭くなっています。必要な内容を記載するには、とても足りません。よって、この枠を広げまず。その結果、数ページ、場合によっては、十数ページになることもあります。もちろん、多ければいいという問題ではないので、公募要領を確認しながら、また、認定機関などの支援機関担当者と相談しながら、事業を端的に明確に説明してください。

図3:平成27年度ものづくり補助金2次公募の申請書

図3:平成27年度ものづくり補助金2次公募の申請書

4. 補助金申請書チェックシート

今回の内容を踏まえ、補助金申請書のチェックシートを準備しました。ぜひ、ダウンロードして、ご利用ください!

今回は、補助金申請書類の作成のポイントについて解説しました。次回は、補助金の最近の動向を解説します。