板ばねの種類と加工方法:ばねの基礎知識2

ばねの基礎知識

更新日:2018年4月24日(初回投稿)
著者:國井技術士設計事務所 所長 國井 良昌

前回は、ばねの中で最も使用頻度の高いコイルばねについて、解説しました。今回は、コイルばねの次に使われる板ばねの種類や用途、加工法などの実務知識を学びましょう。

1. 板ばねの種類と用途

ばねの専門書の記載は、コイルばねに関する技術情報がほとんどで、板ばねの記述は少ないのが実情です。機械や重工業ではコイルばねの使用が多いのですが、当事務所のクライアント企業のような電気・電子産業では、コイルばねと板ばねの使用頻度は同等か、板ばねの方が多い企業もあります。その要因は、接地用板ばねの需要が急速に増加したためです。ばね一つにしても、時代の変化を捉えなくてはなりません。

板ばねは、一般的な板金部品であり、さまざまな形状のものがあります。板ばねは、重ね板ばね、薄板ばね、皿ばね、渦巻きばねに分類できます。皿ばねと渦巻きばねを、板ばねに含めない場合もあります。本稿では、材料が全て板材(板金)であることから、板ばねに分類しました。

1:重ね板ばね

重ね板ばねは、長さの異なる複数枚の板状ばねを重ね合わせた、板ばねです(図1)。複数枚重ねることで、使用時の応力が分散し、耐久力を高めることができます。用途は、主にトラックのサスペンション、貨車のサスペンションなどです。現場では、リーフばね、リーフスプリングとも呼ばれます。

図1:重ね板ばね

図1:重ね板ばね

2:薄板ばね

薄板ばねは、板形状をしたばねのことです。最も一般的で、板ばねといった場合、基本的にはこの薄板ばねを指します。文具、VTRテーブのガタ防止、ばね座金、電池ケースの電極、AC100Vスイッチ部品など、多目的に用いられ、形状もさまざまです(図2)

図2:薄板ばね

図2:薄板ばね

3:皿ばね

皿ばねとは、円すい状の板ばねの中心をくり抜いた形状をしています(図3)。コイルばねが入らないような狭い場所にも使え、大きな荷重を受けられます。ねじの緩み止めの座金、小型モータの軸受予圧用、ワッシャ、軸受回りのガタ防止などに用いられます。

図3:皿ばね

図3:皿ばね

4:渦巻きばね

渦巻きばねは、板・帯状の素材を渦巻き状に巻いたばねのことです。ばねの端を引っ張ると、元の渦巻き状に戻ろうとする力が発生します。英語ではスパイラルスプリング(Spiral Spring)といい、日本の開発現場では、ぜんまいばねと呼ばれることが多いです。主な用途は、ぜんまい式のおもちゃ(図4)、機械式時計のぜんまいなどです。

図4:渦巻きばね

図4:渦巻きばね

2. 板ばねの加工方法

板ばねがどのように製造されているのか、加工法を学びましょう。電気・電子産業における板ばねの代表的な材料は銅やステンレスで、電子産業では特に後者が主流です。

1:板ばねの加工方法と特徴

まずは板ばねの加工方法を、少量生産と、大量生産に分けて解説します(図5)

図5:板ばねの加工方法と特徴

図5:板ばねの加工方法と特徴(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.165)

少量生産の場合は、型を必要としない加工機で、ほぼ手作りで製造します。レーザー切断機やタレットパンチで材料を切断し、穴開け加工を施します。曲げ加工は、プレスブレーキと呼ばれる機械で行います。最近では、レーザー切断機やタレットパンチの主流は、コンピュータで制御されるNCレーザー切断機、NCタレットパンチです。タレットパンチは、現場ではタレパンと略します。学問とは少し異なる現場用語や実務用語も、覚えておきましょう。大量生産の場合は、型を必要とする加工機(プレス機)で製造します。代表的なプレス機は単発型、順送型です。トランスファー型も使われています。

2:板ばねの大量生産の方法

次に、板ばねを大量生産する際に用いる、3つの加工機(単発型、順送型、トランスファー型)での製造方法を詳しく見ていきましょう。

・単発型

単発型では、せん断、穴あけ、曲げなどの工程を独立した型で行います(図6)。ここでいう各工程を1工程と呼びます。1度に加工できるのでは、と思われるかもしれません。しかし板金加工では、少しずつ加工することで、加工精度・歩留まりを高めることができます。

図6:単発型

図6:単発型(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.167)

・順送型

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