空間の色彩について考えよう:空間デザインの基礎知識5

空間デザインの基礎知識

更新日:2022年1月18日(初回投稿)
著者:東京都市大学 都市生活学部 教授 高柳 英明

前回は、空間の明るさと照明計画について紹介しました。今回は、空間の色彩計画を取り上げます。

1. 黄金色彩比とイメージテイスト

住宅の性能を決定づける要素としては、広さ(広さ感)、高さ(天井高)、使い勝手などの建築計画が重要になります。しかし、これらの要素は意識することはできても、目で見て感じることができません。一方、色彩計画は、常に視覚的に映り、その人の気分や感性、環境心理を左右します。そのため、色彩計画は、建築計画と同様、住宅の性能を決定づける重要なポイントとなります。

色彩計画は、色を扱う技術職能です。一見、難しそうに感じられるかもしれません。しかし、次に紹介するいくつかの定理を知っていれば、理解するのは難しくありません。

秀逸な絵画や彫刻作品に見られる黄金比のように、空間の色彩計画にも同様の考え方があります。これを、色彩黄金比と呼びます。色彩黄金比の比率B:M:Aの内訳は、配色比率(70:25:5)の法則によって規定されます(図1)。

図1:色彩黄金比の比率

図1:色彩黄金比の比率

Bはベースカラーといって、インテリアを構成する要素のうち、最も広い視野面積を占める色です。多くの場合、壁・天井の色彩に当たります。Mはメインカラーといって、Bに次いで主要なインテリアエレメントを構成する色です。図2では、フローリングや、家具のウッドカラーが相当します。Aはアクセントカラーといって、絵画でいうところの差し色に該当します。

図2:黄金色彩比(BMA比率)の概念図

図2:黄金色彩比(BMA比率)の概念図

住宅設計におけるインテリアは、日常的に目に触れて過ごします。そのため、視覚的に自然で、落ち着きのある風情を持っていなければなりません。過度に刺激的で、非日常的なBMA比率では、心理的に疲れて、飽きてしまうでしょう。一般的には、このBMA比率を(70:25:5)%に近づけることで、飽きのこない、自然な色彩比になります。ただし、これではちょっと味気ないと感じる場合には、色彩だけでなく、模様や素材感のあるエレメントを加えることで、絵になるインテリアを構成できます。

実際に設計者は、住み手によるアレンジ幅を考慮し、最終的な色彩黄金比の基調としてのベースカラー、メインカラーについて、素材選びや色彩調整を行っています。図3は、コンクリート素材をRC打放し仕上げとして使用し、色彩的にも調和がとれたインテリアとなっています。

図3:住み手のアレンジを踏まえた素材選び

図3:住み手のアレンジを踏まえた素材選び(出典:(C)太田拓実写真事務所 ※(C)はCを丸で囲んだ著作権マークを表す)

2. イメージテイストとは

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