前回は、拡散のメカニズムを説明しました。今回は、焼結方法の分類について解説します。焼結は試料を加熱して焼結体を作ります。エンジニアリングセラミックスや合金の焼結について紹介します。また、特殊な焼結方法として、加圧焼結やパルス通電焼結についても紹介します。
1. 焼結方法の種類
焼結方法の種類は、加熱方法で分類することができます。陶磁器などを焼成する場合は、木材や可燃性ガスを燃焼させて加熱する炉を使います。また、エンジニアリングセラミックスや合金などには電気炉が使用されます。電気炉は、発熱体の種類、雰囲気の種類、炉の形状で分類できます(図1)。
3つの分類について、それぞれ説明します。発熱体の種類は、黒鉛発熱体、金属発熱体、セラミックス発熱体の3つに分けられます。黒鉛発熱体は、真空や不活性雰囲気で3,000℃位の温度で焼結することが可能です。タングステンWやモリブデンMoなどの金属発熱体は、炭素の混入を嫌う試料に利用されます。大気焼結のための電気炉においては、ニクロムNi-Cr合金系発熱体で800℃、ステンレス鋼Fe-Cr-Al合金発熱体で1,200℃まで加熱できます。セラミックス発熱体は、1,500℃までの発熱体としてはシリコニットで知られるSi-SiC複合材料、1,800℃まではMoSi2系セラミックスが利用されます。
雰囲気の種類には、大気、制御雰囲気、真空雰囲気、加圧雰囲気の4つあります。制御雰囲気は、さらに還元性、酸化性、不活性の3つに分けられます。
炉の形状には、箱形炉と管状炉の2つあります。箱形炉は、大量の焼結体を1度に処理することができます。管状炉は、ガスを流しながら雰囲気を制御して焼結できます。
また、赤外線ランプから発せられる赤外線を集光して加熱する方法や、レーザ照射する方法などもあります。このような光を使う方法は急速加熱が可能です。この他、マイクロ波やミリ波など、電磁波を使ってセラミックスを焼結する炉が実用化されています。また、焼結においては、焼結中に製品温度を測定します。一般的には、熱電対を利用して電気炉の温度を測定します。1,500℃以上の高温では、放射温度計(パイロメーター)を用いて光学的に温度を測定します。
2. 加圧焼結
加圧焼結とは、加圧しながら焼結する方法で、緻密な焼結体を得るには非常に有効な方法です。焼結性が悪い高融点金属やセラミックスを焼結する場合に利用されます。加圧焼結の1つに、型を使って加圧しながら焼結するホットプレスがあります。このときに利用される型は、高い焼結温度でも劣化することなく、加圧する力で破壊されない機械的強度を有している必要があります。高温での加圧焼結では、黒鉛製の型が利用されます。黒鉛は1,000℃、2,000℃といった高温でも比較的高い強度が維持されます。一般的には100MPaの加圧が上限です。一方、黒鉛との反応が起きる試料へ適用することは困難です。また、複雑な形状の製品を焼結することも難しく、形状としては円板や円柱がほとんどです。
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3. パルス通電焼結
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