焼結に用いる粉末:焼結の基礎知識2

焼結の基礎知識

更新日:2019年2月7日(初回投稿)
著者:長岡技術科学大学 大学院 機械創造工学専攻 教授 南口 誠

前回は、焼結の特徴や用途を説明しました。今回は、焼結に用いる粉末について解説します。焼結で利用される金属材料の粉末は、溶解して噴霧する方法や化学的な方法で作られます。セラミックス粉末は、化学的な方法で作られます。一般的な焼結用粉末の粒子径は、金属では数十μm、セラミックスではサブミクロンから数μmとなります。用途に応じて、さらに粉砕されたり、複数の粉末を混合したりします。

1. 焼結用粉末

焼結は、金属やセラミックスなど、複雑な形状に加工する機械部品に広く用いられています。焼結で使われる代表的な工業用材料は、金属、金属間化合物、セラミックス、複合材料などに分類されます(表1)。

表1:焼結で使われる代表的な工業用材料

種別 名称
金属 鉄鋼 炭素鋼、工具鋼、ダイス鋼、ステンレス鋼、耐熱鋼など
鉄鋼 アルミニウム合金、チタン合金、ニッケル合金、コバルト合金、銅合金など
金属間化合物 MoSi2、TiAl、希土類磁石(SmCo、Nd2Fe14B)など
セラミックス 酸化物 アルミナ(Al2O3) 、ジルコニア(Y2O3 添加ZrO2)、ムライト(2Al2O3·SiO2)、BaTiO3、LaCrO3、フェライト磁石、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)など
窒化物 TiN、Si3N4、CrN、AlN など
炭化物 TiC、WC、B4C、SiC など
その他 TiB2、Al2O3-TiC、cBN-セラミックスなど
複合材料 超硬合金(WC-Co) 、サーメット(TiC-Ni、Cr3C2-NiCr など)、ダイヤモンド-超硬合金など
その他 ベークライト(フェノール樹脂)、ナイロン、ポリエチレンなど

焼結は、研究段階でサンプルを作る際にもよく利用されます。焼結で作るには、材料の粉末、あるいはその原料となる物質の粉末が必要です。焼結用粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)で見ると、大きさも形状もさまざまです(図1)。

図1:焼結に用いる各種粉末の顕微鏡写真

図1:焼結に用いる各種粉末の顕微鏡写真

左下の2種類のAl2O3粉末は、粉末粒子の細かさや形状が異なります。もちろん、もっと大きい粒径のAl2O3粉末も存在します。金属粉末は、主として溶解して噴霧するアトマイズ法で作製されます。焼結用粉末は、金属では数十μmくらいの粒径のものが多く、セラミックスでは、サブミクロンから数μmのものが多いです。粉末は、必ずしも粒子径がそろっているわけではありません。粒径がそろっていない粉末は、大きな粒子の間に小さい粒子が入り込み、流動性が悪くなります。さらに、焼結の際に、小さい粒子が先に焼結して緻密化しなくなることがあります。そのため、粒径をそろえる分級が用いられます。粒径が比較的大きい粉末であれば、ふるいによる分級で行われ、ナノ粒子やサブミクロンレベルの粉末は、サイクロン分級や遠心分離法などの方法で行います。

また、細かい粉末も粒子同士の摩擦が増え、流動性が悪くなります。複雑な形状の金型に入れて成形する際に、粉末が隅々に行き渡らない恐れもあります。その場合、流動性が高くなるように粒径が大きい顆粒(かりゅう)状にします。水に粉末と成形用の有機物を加えて噴霧し、空中で乾燥すると大きな顆粒になります。このプロセスは造粒と呼ばれています。もともとAl2O3粒子は0.15μmと非常に細かく、顆粒体の粒径は数十μmと大きなものです(図2)。

図2:Al2O3粉末の造粒粉末

図2:Al2O3粉末の造粒粉末

2. 混合・粉砕

一般的な焼結工程は、混合・粉砕、成形、脱脂、焼結、機械加工・研磨、検査の6つです。最初の工程となる混合・粉砕について説明します。

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3. 粉末粒子の凝集

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