板金材料の特性:板金加工の基礎知識2

板金加工の基礎知識

更新日:2017年10月18日(初回投稿)
著者:塑性加工教育訓練研究所 小渡 邦昭

板金によく使われる材料は、鋼材やアルミ、ステンレスです。最近では、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化プラスチック)をはじめとする多様な材料が利用され始めています。さまざまな材料を適切に板金加工するには、板金材料の特性について学んでおくことが必要です。今回は、板金材料の特性を測定する試験方法と、重要な3つの特性を解説します。

1. 板金加工でよくある課題

材料の特性を知ることで、板金加工によって生じる課題へ適切に対応できるようになります。例えば、ある板金加工工場では、図1のように金属を押し上げて、部品を生産しています。コスト削減により、材料Aを材料Bに変更することになりました。設計基準に変更はありません。材料Bを用いて、従来の設計基準通りに試作したところ、部材の一部だけが細くなってしまいました。なぜ、このようなことが起きたのでしょうか? このような問題の解決に、3つの材料特性(弾性と塑性、加工硬化、体積一定の原則と異方性)の理解が不可欠です。

図1:板金加工でよくある問題

図1:板金加工でよくある問題

2. 材料特性を測定する引張試験

金属材料の強度を評価する最も基本的な試験方法は、引張試験です。単純な動作にもかかわらず、多くの情報を得ることができます。引張試験では、試験機に取り付けられた材料(試験片)を引っ張り続け、試験片の伸びと荷重を測定します(図2)。このとき、伸びをX軸、荷重をY軸としてグラフ化すると、以下のような傾向が分かります。

・X軸の変化量が大きい場合は、変形する量が大きい

・Y軸の変化量が大きい場合は、変形に大きな力を必要とする

・グラフの勾配が大きい場合は、同じ変形量(伸び)であっても大きな力を必要とする

図2:引張試験と、荷重-伸び曲線

図2:引張試験と、荷重-伸び曲線

引張試験では伸びと荷重の関係が得られます。しかし、伸び量は材料の大きさによって異なるため、大きさが違う部品では比較が困難です。そのため、一般的には応力(単位面積当たりの荷重)と、ひずみ(単位長さ当たりの伸び)を用いて比較します。応力とひずみは下記の式で計算できます。

・応力=荷重/引張試験片の断面積

・ひずみ=基準になる距離からの伸び量/基準になる距離

3. 重要な3つの材料特性

1:弾性と塑性

弾性とは、材料に力を加えて変形させても、元の形状に戻る特性のことです。元の形状に戻れることを、可逆性があるといいます。塑性とは、材料に大きな力を加えた際、元の形状に戻らなくなる特性です(図3)。

図3:弾性変形と塑性変形

図3:弾性変形と塑性変形

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。