シーケンス制御とは?:シーケンス制御の基礎知識1

シーケンス制御の基礎知識

更新日:2019年7月19日(初回投稿)
著者:武永制御 代表 武永 行正

近年、めまぐるしい技術の発展により、ものづくりの現場は大きな変化を遂げています。かつて、ものづくりを担っていたのは職人と呼ばれる人たちでした。しかし今では、ものづくりの主役は機械です。機械にものづくりをさせるには、機械を思い通りに動かす必要があります。その仕組みとして、シーケンス制御があります。本連載では、主に工場の生産設備で使われているシーケンス制御について、全6回にわたり解説します。第1回は、シーケンス制御の概要を説明します。

1. シーケンス制御とは

シーケンス制御とは、機械などが順序通りに動作するように制御することをいいます。あまり耳慣れない言葉かもしれません。しかし、私たちの身の回りの製品にも、多くのシーケンス制御が使われています。例えば、全自動洗濯機は、スタートボタンを押すと、給水→洗い→すすぎ→脱水という順序で動作します(図1)。これは、この順序通りに動作するように、あらかじめプログラミングされているためです。また、カムなどの機械的運動によって、順序通りに動作させることもシーケンス制御です。シーケンス制御を実現する方法は多岐にわたり、また幅広い分野で使われています。

図1:全自動洗濯機の動作

図1:全自動洗濯機の動作

代表的なシーケンス制御に、工場の自動生産設備があります。かつて自動生産設備では、リレーと呼ばれる電気部品を組み合わせることで、順序通りに機械を動かしていました。しかし、最近では、ラダー図と呼ばれるプログラムによって制御を実行するPLCが主流です。

2. リレーとは

リレーは電磁継電器とも呼ばれ、電磁石を使って接点を開閉する電気部品です(図2)。「バトンをリレーする」というのと同様に、信号を中継することからリレーと呼ばれています。小さい電力で大きな電力の回路を開閉することができます。

図2:リレー

図2:リレー

リレーの内部は、電磁石と接点で構成されています(図3)。電磁石は、一般的にコイルと呼ばれ、コイルに電流を流すと、接点を引っ張って開閉できます。例えば、DC24V仕様のリレーであれば、DC24Vで接点を開閉動作できます。

図3:リレーの構造

図3:リレーの構造

リレー接点が1つしかない場合、リレーは信号を中継することしかできません。しかし、リレーは、接点1つのコイルに対して、複数の接点を持つことができます。例えば、DC24Vの入力で4つの接点を同時に開閉できます。このように、他の接点を次のリレーの動作条件とし、順序通りにONにするリレー回路を作ることで、シーケンス制御を容易に実現できます。

リレーの多くは、透明なカバーを持ち、中の動作状況を見ることができます。リレーをON、またはOFFにすると、内部の接点がカチカチ動作している様子が確認できます。また、実際のON/OFF状況が分かるように、正面にLEDランプが付いたタイプもあります。

リレーには、さまざまな種類があります。大型のリレーは、電磁接触器、または電磁開閉器と呼ばれます。大型でも動作原理は同じです。コイルに電流を流すと接点が開閉します。また、複数の接点を持ち、制御回路を作ることができるという意味においても同様です。ただし、実際にリレーで制御回路を作る場合、電磁継電器と呼ばれる小型のリレーが多く用いられます。

3. PLCとは

PLC(Programmable Logic Controller)は、リレー回路に似た回路をパソコン上でプログラミングして動作させることができる機器です(図4)。三菱電機が販売するPLCの製品名をシーケンサといい、広く普及していることから、PLCはシーケンサと呼ばれることもあります。

図4:PLC

図4:PLC

PLCがなかったころは、リレーによってシーケンス制御の回路を作っていました。しかし、リレーを使って制御回路を作るのは、とても大変な作業です。膨大な数のリレーを使用するだけでなく、全てのリレーを配線する必要があり、動作が違っていた場合や、動作を変更したい場合は、配線をやり直さなければいけません。

これに対し、PLCではより簡単にシーケンス制御を行えます。PLCは、ラダー図と呼ばれる特殊なプログラムによって構成されています。ラダー図は、パソコンで容易に編集が可能です。また、リレー回路ではできなかった複雑な命令や数値を扱うこともできます。ただし、ラダー図はリレー回路をベースに作られています。つまり、ラダー図を理解するには、リレー回路についての知識が欠かせません。そのため、シーケンス制御について書かれた書籍は、PLCが主流となった今日でも、リレーによる制御から説明しています。

このようにPLCの登場によって、それまで配線によってリレー同士を直接接続していた作業が、パソコン上のプログラム作成に置き換えられました。現在、ほとんどの生産設備の制御はPLCで行われるようになり、リレーを使った制御回路はほとんど使われていません。

いかがでしたか? 今回は、シーケンス制御の概要として、リレーとPLCを紹介しました。次回は、リレーについてさらに詳しく解説します。お楽しみに!