免震層の設計方法:免震の基礎知識4

免震の基礎知識

更新日:2017年12月19日(初回投稿)
著者:福岡大学 建築学部 教授 高山 峯夫

前回は、包絡解析法により、免震装置の性能と免震建物の地震時の挙動の関係を説明しました。今回は、免震層の設計について解説します。免震建物の免震性能は、建物の上部構造はあまり関係なく、免震層の性能に大きく左右されます。免震層の性能は、アイソレータとダンパーの組み合わせで決まります。つまり、アイソレータとダンパーを適切に設計し、組み合わせることができれば、建築物は適切な免震性能を持ちます。

1. 免震層の設計手順

免震建物では、免震層であるアイソレータ・ダンパーの性能によって、地震時の応答が決まります。そのため、設計者が適切に免震建物の性能を設定し、その性能が得られるようにアイソレータ(積層ゴム)の配置やサイズ、個数などを設計することで、必要な免震性能を得ることができます。免震層の設計手順を図1に示します。具体的な進め方を見ていきましょう。

図1:免震層の設計手順

図1:免震層の設計手順

1:免震周期と変位の目標値を設定

想定される地震動から、必要な免震性能(ベースシア係数や最大変形量)を設定します。その際、包絡解析法などで免震周期Tfや変位の目標値(設計変位)δdsgnを計算します。免震建物が何に使われるのか、地盤はどうかなどを考慮し、必要十分な免震性能を設定します。

2:積層ゴムの材質・形状を決定

積層ゴムの材質や形状を決定します。考慮すべき代表的なパラメータは、2次形状係数S2とゴムのせん断弾性率Gです。2次形状係数S2は積層ゴムの座屈性能に影響するパラメータで、ゴム直径D/ゴム層厚で計算できます。5程度あれば、座屈(圧縮したときにある荷重から急激にたわむ現象)が起こりにくくなります。ゴムのせん断弾性率Gは座屈応力度や積層ゴムの水平剛性に関連します。柱軸力(積層ゴムの鉛直方向に働く力)により形状や材質を変化させる必要がある場合、2次形状係数S2とゴムのせん断弾性率Gを考慮する必要があります。

積層ゴムの最小径Dminも決めます。積層ゴムの直径Dは、D/δdsgn=S2/γの式が成り立ちます。γはせん断変形率で、250%以下であれば積層ゴムが線形範囲内にあると考えられます。2次形状係数S2を5に設定すると、Dmin≧2δdsgnとなり、積層ゴムの変位δは直径Dの1/2程度となるように設計する必要があることが分かります。

3:平面計画の検討

平面計画とは、平面図を用いて建物の形状や各部屋の配置などを検討することです。平面計画の検討で大切なパラメータは、建物の平均面圧σave(全体の力を接触面積で割った値)です。平均面厚は下記の式で表され、最初に設定した免震周期Tfを満たす必要があります。gは重力加速度です。

平均面厚

4:積層ゴムの設計

積層ゴムの直径Dを設定します。積層ゴムの直径Dは最小径Dmin以上とします。設定した直径Dから積層ゴムの面圧σを算出し、面圧σを考慮しながら2次形状係数S2とせん断弾性率Gを決定します。

その後、個々の積層ゴムの水平剛性KHを算出し、免震層全体の水平剛性ΣKHを求めます。中心孔径が小さい場合、積層ゴムの水平剛性KH0=(π/4)×D×S2×Gで略算できます。

5:設計値と目標値を比較

免震層全体の水平剛性ΣKHを用いると、設計時の免震周期Tf0を計算できます。

設計時の免震周期

Wは建物の全重量です。設計の免震周期Tf0と目標の免震周期Tfを比較し、値が離れている場合は再設計を行います。

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2. 免震設計の例題

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