免震構造と耐震構造の違い:免震の基礎知識2

免震の基礎知識

更新日:2017年11月24日(初回投稿)
著者:福岡大学 建築学部 教授 高山 峯夫

前回は、免震構造の基本的な解説と、その歴史について説明しました。第2回となる今回は、免震構造と耐震構造の相違点を取り上げます。なぜ免震構造は、地震被害を防ぐことができるのでしょうか。

1. 免震構造と耐震構造の違い

免震構造は、建物と地盤を切り離し、地震の揺れを建物に直接伝えないようにする仕組みです。地面と建物との間に免震装置を入れることで、建物へ伝わる揺れを軽減します。一方、耐震構造は建物を頑丈にして、地震の揺れに対抗する仕組みです。柱やはりなどの部材を太くしたり、補強材を入れるなどして建物の強度を高めます。免震構造と耐震構造の地震時の状態を見てみましょう。

図1は耐震構造の地震時の状態です。耐震建物は地盤に固定されているため、地面の揺れが上層部で増幅されてしまいます。増幅の程度は建物の固有周期(片側に振れて再び戻ってくるまでの時間)によります。その結果、建物を支える構造体(柱、はり、壁など)が大きく変形し、損傷することがあります。

図1:耐震建物の地震時の揺れ方

図1:耐震建物の地震時の揺れ方(引用:一般社団法人日本免震構造協会、地震から建物を守る免震、P.2

構造体だけでなく、内装や外装がはがれる、天井が落下する、エアコンやエレベータなどの建築設備が被害を受ける可能性もあります。そうなれば当然、不動産としての資産価値は下がってしまいます。

図2は免震構造の地震時の状態です。免震装置としてアイソレータ(短周期の揺れを長周期の揺れに変換する装置。前回取り上げた積層ゴムがこれに当たる)とダンパー(運動エネルギーを吸収して揺れを止める装置)を用い、運動エネルギーを建物基礎部の免震層へ集中させます。その結果、地盤から切り離された状態の上部構造は、一つの塊となって水平方向にゆっくり動くため、建物に生じる加速度・変形を抑えることができます。免震構造のメリットとして、構造体の損傷はもちろんのこと、建物内部の家具や機器類の転倒、2次部材(非構造材)の損傷防止が期待できます。

図2:免震構造の地震時の状態

免震構造は、超高層建築の柔構造と似ています。ただし、超高層建築はほぼ均等に建物各階を変形させるのに対し、免震構造では建物の基礎部を変形させて、建物の変形を小さくしています。

2. 地震被害を左右する固有周期とは

なぜ、免震構造は耐震構造に比べて地震動の影響を抑えられるのでしょうか。それは、免震装置により、建物の固有周期を長くしているからです。地震時に建物に作用する加速度(応答加速度)は、建物の固有周期が短いと大きく、固有周期が長いと小さくなります。

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3. 免震構造の3つの注意点

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