ねじ材料の選択と評価:ねじの基礎知識5

ねじの基礎知識

更新日:2018年3月16日(初回投稿)
著者:國井技術士設計事務所 所長 國井 良昌

前回は、ねじの加工方法を取り上げました。今回は、ねじの材料選択と評価について解説します。ねじの種類と同様に、材料も用途や使用条件に合致した選択が求められます。材料選択の大切な指標である安全率も解説します。

1. ねじ材料の評価項目

ねじの材料を選択するには、どのような物性値やパラメータを評価すればいいのでしょうか。材料の評価に不可欠なQCDの観点を踏まえ、評価項目を13個にまとめました。

  • 1:比重
  • 2:縦弾性係数
  • 3:横弾性係数
  • 4:線膨張係数
  • 5:ポアソン比
  • 6:熱伝導率
  • 7:比電気抵抗と%IACS(焼鈍標準軟銅の導電率を100%IACSとしたときの導電率)
  • 8:標準材料サイズ
  • 9:引張強さ
  • 10:降伏点・疲れ強さ・0.2%耐力・ばね限界値
  • 11:特徴・用途
  • 12:コスト係数
  • 13:入手性

これらの項目を熟知することで、技術者の目利き力が鍛えられ、限られた条件の中で最高の材料を選択できるようになります。切削用材料、板金材料、樹脂材料などは、使用頻度が高く、目利き力を鍛えておきたい材料です。例えば、強度を上げるには、縦弾性係数、横弾性係数、引張強さ、降伏点・疲れ強さ・0.2%耐力・ばね限界値のいずれかの数値を上げる必要があります。強度の高いねじが必要であれば、弾性係数や引張強さの数値が高い材料を選べば良いと分かります。

ねじの材料としてよく用いられるのは、ステンレス系材料と鉄系材料です。これらの物性値は、第2回にまとめているので、確認してみてください。ねじの材料選定では、強度評価は必須です。強度に影響する縦弾性係数、横弾性係数、引張強さ、降伏点を意識して数字を確認することで、実務に役立つ目利き力が鍛えられます。

2. 安全率の考え方

技術者であれば、安全率という用語を一度は聞いたことがあるでしょう。設計審査で必ず確認される設計要因です。しかし、詳しく教わる機会が少ないため、きちんと理解できている人は多くありません。以下に、安全率の考え方をまとめました。

1:安全率とは

安全率とは、部材が壊れて機能喪失する最小の負荷と、使用中に起きると予測される最大負荷との比です。例えば、10MPaで壊れる部材に最大で2MPaの応力がかかると予測される場合、安全率は5です。公共の建築物や航空機などの安全率は、省庁の法令で定められていたり、専門書で公表されていたりします。

航空機(主に機体):1.1~1.5
人用昇降機(エレベータ):10
鉄骨構造体:2.5~3.0
クレーン:8~10
自動車用エンジンのクランクシャフト:40

部材を選定する際には、どの程度の安全率かを必要に応じて定めます。注意すべきは、安全率の設定において、特別な理論や理屈、原理原則がないことです。大半の安全率は、設計者や企業が経験を基に設定し、その値を下回らないように管理しています。そのため、製品や部材に求められる品質に合わせ、安全率は変化します。例えば航空機では、機体、窓ガラス、エンジン、タイヤなどの安全率は、技術の発展とともに低くなっています。

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