転がり軸受の種類と特徴:転がり軸受の基礎知識2

転がり軸受の基礎知識

更新日:2022年10月18日(初回投稿)
著者:東京理科大学 理工学部 機械工学科 教授 野口 昭治

前回は、滑り摩擦と転がり摩擦、転がり軸受の役割を紹介しました。今回は、転がり軸受の種類と特徴、軸受の配列、精度を取り上げます。

1. 転がり軸受の分類と特徴

転がり軸受は、転動体の種類と負荷荷重の方向によって図1のように大別できます。

図1:転がり軸受の分類(引用:転がり軸受入門ハンドブック、NTN株式会社)
図1:転がり軸受の分類(引用:転がり軸受入門ハンドブック、NTN株式会社)

まず、転動体による分類です。転動体が玉である玉軸受と、転動体がころ(円筒ころ、円すいころなど)であるころ軸受に分類できます(図2)。転動体の違いによる特徴として、一般的には玉よりもころの方が、内外輪軌道面との接触面積が大きくなる(接触面圧が小さくなる)ため、負荷容量や剛性が高くなります。しかし、ころが公転方向に対して傾く(90°からずれる)と、滑り摩擦が発生してトルクが大きくなるため、高速性や低振動性、低騒音性などは玉の方が適しています。

図2:玉軸受、ころ軸受
図2:玉軸受、ころ軸受

転がり軸受の種類(呼称)は、組み込まれている転動体の形状で決まります。各種軸受の性能をまとめると、表1のようになります。

表1:転がり軸受の形式と性能(引用:転がり軸受入門ハンドブック、NTN株式会社)
表1:転がり軸受の形式と性能(引用:転がり軸受入門ハンドブック、NTN株式会社)

図3に、転がり軸受として最も使用量が多い深溝玉軸受と、軸方向荷重だけを支持することができるスラスト玉軸受を示します。

図3:深溝玉軸受、スラスト玉軸受
図3:深溝玉軸受、スラスト玉軸受

続いて深溝玉軸受とスラスト玉軸受の構造を以下に示します(図4)。

図4:転がり軸受の構造(参考:吉本成香、下田博一、野口昭治、岩附信行、清水茂夫共著、機械設計-機械の要素とシステムの設計-、オーム社、2006年)
図4:転がり軸受の構造(参考:吉本成香、下田博一、野口昭治、岩附信行、清水茂夫共著、機械設計-機械の要素とシステムの設計-、オーム社、2006年)

転がり軸受は、軸受の種類や大きさを表す呼び番号が、国際的に決められています。例えば、呼び番号に「6310ZZC3P5」と書かれていた場合には、以下のような情報が分かります。

  • 6:軸受形式記号で、深溝玉軸受であることを表しています。深溝玉軸受以外では、7:アンギュラ玉軸受、2:自動調心ころ軸受、3:円すいころ軸受などがあります。
  • 3:直径系列を表しており、軸受外径に関係します。内径寸法が同じでも外径寸法が異なる軸受が用意されており、8、9、0、2、3の順で外径が大きくなります。
  • 10:内径番号で、軸受内径を表しています。内径番号の付け方は、内径寸法に決め方があります。内径寸法が20mm以上であれば内径番号×5が内径寸法です。10は軸受内径50mmを表しています。
  • ZZ:シール・シールドの種類を表しています。何も書かれていないのはオープンタイプのもので、油潤滑で使われます。ZZは両側に金属製シールド板が装着されていることを表します。シール記号は、軸受メーカーによって意味が違っている場合もあるため、確認が必要です。
  • C3:内部のラジアル隙間(軸受の半径方向に動かした場合の内部隙間)を表しています。数字が大きくなるほど内部隙間が大きくなります(隙間の詳細は、次回以降で説明します)。
  • P5:軸受の精度を表しています。数字が小さいほど高精度になります。

2. 転がり軸受の配列

転がり軸受で軸の回転を支持するためには2つ以上の軸受が必要であり、一般的には回転軸の両端で軸、およびハウジング(転がり軸受の外輪と接触する部品)に固定して取り付けられます。しかし、軸やハウジングの加工誤差、温度変化による軸の寸法変化などが転がり軸受の機能に影響すると考えられる場合には、片側の転がり軸受を軸方向に移動可能にして、軸の膨張・収縮を逃がすように取り付けます。この場合、軸とハウジングに固定して取り付けられた軸受を固定側軸受、軸の伸縮を吸収できるような方法で取り付けられた軸受を自由側軸受と呼びます。

表2に、代表的な固定側、および自由側軸受の配列例と適用例を示します。軸の伸縮を逃がす方法としては、外輪とハウジングの取り付けを「すきまばめ」にして、外輪が軸方向に移動できる方法と、円筒ころ軸受を用いて、軸受内部(円筒ころと内輪軌道面で間)で軸方向に移動できる方法があります。また、軸受間の距離が短く、熱膨張してもその影響が小さい場合には、両端とも固定して取り付けられる場合もあります。

表2:転がり軸受の配列と適用例(引用:吉本成香、下田博一、野口昭治、岩附信行、清水茂夫共著、機械設計-機械の要素とシステムの設計-、オーム社、2006年)
表2:転がり軸受の配列と適用例(引用:吉本成香、下田博一、野口昭治、岩附信行、清水茂夫共著、機械設計-機械の要素とシステムの設計-、オーム社、2006年)

3. 転がり軸受の精度

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。