マニピュレータの運動学:ロボット工学の基礎知識5

ロボット工学の基礎知識

更新日:2018年1月17日(初回投稿)
著者:福岡工業大学 工学部 教授 木野 仁

前回の連載では関節自由度、手先自由度、冗長性などの考え方を解説しました。これらの内容を踏まえ、今回はロボットマニピュレータの運動学について説明します。運動学は、マニピュレータの位置制御を行う上で、切っても切り離せない重要な要素です。

1. ロボットマニピュレータの位置制御

ロボットマニピュレータの位置制御とは、エンドエフェクタの関節角度や位置姿勢を希望する値に制御することです。実際の制御では、まず希望する関節角度やエンドエフェクタの位置姿勢を計測・算出します。そのデータに基づき、関節部に組み込まれたアクチュエータを動かし、関節角度・位置姿勢を希望する値に制御します。

ロボットマニピュレータの位置制御のポイントは、センサの選定です。カメラを用いて、エンドエフェクタの位置姿勢を直接計測する方法があります。しかし、カメラの計測は分解能が低いことが多く、タイムラグや外環境の光量の変化で画像が受ける影響も大きく、カメラ単体では使用しづらい場合があります。そこで、関節角度センサが多く用いられます。関節角度センサを用いる場合に重要なのが、エンドエフェクタの位置姿勢と関節角度を幾何学的(図形的)に捉えることです。

図1のように、x-y平面内にある部品が存在する場合を考えてみましょう。このロボットの目的は、エンドエフェクタを部品の目標位置まで位置制御し、部品を把持する(しっかりつかむ)ことです。説明を簡単にするために、部品とエンドエフェクタの位置は点と見なし、回転も考慮しません。

図1:ロボットマニピュレータの位置制御(エンドエフェクタを目標位置に制御する)

図1:ロボットマニピュレータの位置制御(エンドエフェクタを目標位置に制御する)

もし、エンドエフェクタを目標位置に動かした際の関節角度が分かっていれば、各関節の角度をそれぞれの目標角度に制御することで、エンドエフェクタを目標位置に位置制御できます。

2. 順運動学と逆運動学

マニピュレータの位置制御で重要なのは、エンドエフェクタの位置と関節角度の幾何学的な関係を知ることです。この関係を求める学問を運動学といいます。運動学は、図2のように順運動学と逆運動学の2つに分類されます。

図2:順運動学と逆運動学

図2:順運動学と逆運動学

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3. 運動学の特徴とダイレクトティーチング

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参考文献:木野仁(著)、谷口忠大(監修)、イラストで学ぶロボット工学、講談社、2017年