ロボットマニピュレータの自由度:ロボット工学の基礎知識4

ロボット工学の基礎知識

更新日:2017年12月20日(初回投稿)
著者:福岡工業大学 工学部 教授 木野 仁

ロボットマニピュレータを制御する上で、目標とする運動を、実際の手先が実現できない場合があります。原因は、関節可動域が影響している可能性と、目標運動に必要な自由度より実際の手先の自由度が低い場合があります。マニピュレータの運動制御を考える上で、手先と関節の自由度は必要不可欠な要素です。今回はマニピュレータの自由度について解説します。

1. 自由度とは

自由度とは、独立して自由にできる度合いを表します。ロボットマニピュレータにおける自由度とは、独立変数の個数と解釈できます。独立変数とは、他のパラメータから影響を受けずに値を変化できる数値のことです。簡単な例を用いて、さまざまな運動パターンにおける自由度の3つの概念を説明します。

1:並進運動の自由度

図1左のように、点と見なせる物体Aがx軸上にあり、この軸上を運動する場合を考えてみましょう。回転運動を伴わない(あるいは考慮しない)運動を並進運動といいます。このとき物体Aの位置は、1つの変数xのみで表現でき、物体Aの運動は1自由度を持っています。

次に、物体Aがx-y平面上に存在するとします(図1中央)。この場合、物体Aの運動はxとyの2つの変数で表現でき、これを2自由度といいます。同様に、x-y-z空間内に物体Aが存在する場合(図1右)には、物体Aの運動はx、y、zの3自由度となります。

図1:並進運動の自由度

図1:並進運動の自由度

2:回転運動の自由度

次に、回転する場合を考えてみましょう。図2左のように、1本の棒に回転軸が取り付けてあり、角度θ方向に回転するとします。この場合、独立変数は1つなので、1自由度です。さらに図2中央、右のように、回転の2自由度、3自由度も成り立ちます。並進運動を伴わない回転だけの運動を、回転運動といいます。

図2:回転運動の自由度

図2:回転運動の自由度

3:並進回転運動の自由度

並進運動と回転運動が同時に起こる状態を考えてみましょう。図3のように平面上にプレートが存在するとします。プレートの運動は、プレート重心位置(x,y)と回転角θで表現可能です。並進運動が2自由度、回転運動が1自由度を有することから、合計3自由度となります。このような並進回転運動は、実際の物体の運動で多くあります。

図3:平面上のプレートの自由度

図3:平面上のプレートの自由度

では、拘束を受けていない物体の自由度は、いくつになるでしょうか。図4に示すように、重心の並進運動が3自由度と、3つの回転軸の回転運動が3自由度の合計6自由度になります。

図4:拘束を受けていない物体の自由度

図4:拘束を受けていない物体の自由度

2. 関節自由度と手先自由度

マニピュレータは通常、複数の関節で構成されています。この場合、関節の数とそれぞれの関節が有する自由度の数によって、関節自由度と手先の運動自由度が決まります。産業用ロボットなどのマニピュレータでは、多くの場合において関節自由度をK、実際に実現される手先の自由度をEとしたとき、K=Eとなります。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. 関節の冗長性

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

参考文献:イラストで学ぶロボット工学、木野仁(著)、谷口忠大(監修)、講談社