未然防止の本質は「問題の発生しにくさ」の設計:品質工学(タグチメソッド)の基礎知識3

見えない品質を作る!品質工学(タグチメソッド)の基礎知識1

更新日:2015年9月8日(初回投稿)
著者:のっぽ技研 代表 長谷部光雄

第2回では、極端条件を活用することが、見えない品質を効率的に検出する方法だと説明しました。今回からは、見えない対象を探し出す具体的な方法を考えてみましょう。

1. 複雑な問題の未然防止は困難!

信頼性(見えない品質)を低下させる不具合現象には、いくつかの原因が相互に関係していて複雑です。実際にリコールになった事例の原因も、経年劣化や汚れによる材質変化、温度や湿度などの環境条件、さらには使い方も複雑に組み合わさっています。

単純な原因なら設計段階で予測できますから、量産開始後に発見される想定外の問題とは、ほとんどが複雑な組み合わせ原因と考えるべきでしょう。そのため、未然防止は困難なのです。しかし、時間の制約から、組み合わせのすべてを事前にテストすることはできません。この壁を突破するには、新しい発想が必要となります。

図1:新しい発想で時間の壁を突破

図1:新しい発想で時間の壁を突破

2. 設計者が欲しい情報は、「問題の発生しにくさ」

製品開発本来の目的に立ち返って考えてみましょう。設計者が未然防止を検討する際は、量産開始後に問題発生が少ない設計案を選ぶはずです。たとえば、A 案とB 案のどちらのアイデアがより妥当か、それを判断することが設計です。

その判断に当たって重要なのは、不具合問題の発生原因やメカニズムではありません。実用化前提の設計では、コストを見積もる必要があるため、大事なのは、「どの程度の頻度で発生し、どれほど被害になるのか?」つまり問題発生の確率や重要度なのです。

図2:製品開発の判断で大切なこと

図2:製品開発の判断で大切なこと

故障などの不具合問題による損失額は、下記のように見積もります。発生頻度と発生した場合の損失の大きさから、問題の重要度(損失の総額)を想定するのです。

図3:問題の重要度

図3:問題の重要度

この場合、怪我や火災などの補償額や企業イメージ低下の損失額などは、何とか見積もりが可能でしょう。しかし、発生頻度の推定は困難です。そもそも、発生頻度は非常に小さい上に関係する要因が多いため、多くの仮定が必要で、かつ推定の精度が低いからです。発生確率の精度の低さが問題の本質なのです。

したがって、発生頻度つまり「不具合問題の発生しにくさ」を客観的・合理的に示せる指標が重要となります。では、「不具合問題の発生しにくさ」はどのように測ればよいのでしょうか?そのためには「発想の転換」が必要です。

3. 「問題の発生しにくさ」とは「安定している」こと

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4. 安定性なら容易に測定できる

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