前回は、ポンプを知る上で必要な流体力学について解説しました。第1回で概要を述べたとおり、ポンプはターボポンプと容積形ポンプに大別されます。ここからは、主にターボポンプについて解説します。今回は、その構造と分類を取り上げます。
1. ターボポンプの主な構造
図1に、代表的なターボポンプの例として渦巻ポンプ(横軸形の片吸込形単段遠心ポンプ)の断面図を示します。ターボポンプは、ターボ形ポンプと呼ばれることもあります。なお、この連載では、他の技術用語を含め、日本工業規格ならびに日本機械学会で使われている名称になるべく準じて解説します。
渦巻ポンプは、インペラ、主軸、ケーシングという、主に3つの部品から構成されます。なお、インペラは従来から羽根車とも呼ばれています。ターボポンプは、主軸によってインペラをケーシング内で回転させ、液体に圧力と速度を与える流体機械です。

2. インペラ形状と吸込形式
ターボポンプは、インペラ内の液体の流れる方向により、遠心ポンプ、軸流ポンプ、斜流ポンプに分類されます(図2)。左の遠心ポンプは、インペラから吐き出される液体が主軸に対して主に垂直方向に流れます。中央の軸流ポンプは、インペラから吐き出される液体が主軸に対して平行方向に流れます。また、右の斜流ポンプは、遠心ポンプと軸流ポンプとの中間の流れで、主軸に対して斜めに流れます。

遠心ポンプでは、インペラ後流部にボリュート(渦巻室)があります。また、軸流ポンプおよび斜流ポンプでは、ケーシング内に、ガイドベーン(案内羽根、あるいはディフューザベーン)という、液体を望む方向に導くための羽根が設けてあります。斜流ポンプには、案内羽根を持つ形式のほかに、渦巻室を持つ渦巻斜流ポンプもあります。なお、遠心ポンプにもガイドベーンを持つ構造があります。図3は、インペラの形状を示します。

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