生産コストの管理:生産管理の基礎知識6

生産管理の基礎知識

更新日:2019年11月15日(初回投稿)
著者:早稲田大学 名誉教授 黒須 誠治

前回は、製品の品質管理を解説しました。最終回の今回は、生産コストの管理を取り上げます。これまで、QCD管理のQ(Quality:品質)では絶対に不良品を顧客に渡してはいけないこと、D(Delivery:納期)では納期は絶対に守らなければならないことを述べました。これに対しC(Cost:コスト)は、絶対に守らなければいけないものではありません。ただし、コスト管理は、自社の損失軽減や、利益増大に直接的につながり、会社として非常に重要です。

1. 原価の算定と原価の低減化

コストのうち最も大きな割合を占めるのが、製造原価です。製造原価を管理するのは、生産管理です。

コスト管理とは、現状のコストがいくらかかっているかを把握すること、そして、それが安定的に維持されているかを注視することです。維持されていない場合、特にコストが増加している場合は、原因を調べ、対策を採ることも重要です。可能であれば、原価の低減化を図ります。

・現状のコストを把握する

現状のコストがいくらかを把握するには、一般的に、会計上の原価計算を行います。会計学では、製造原価を構成する主な費用科目として、原材料費、労務費、経費の3つに分けます(図1)。

図1:製造原価の位置づけ

図1:製造原価の位置づけ

また、原価計算は、大きく2つに分けることができます。一つは総合原価計算、もう一つは個別原価計算です。総合原価計算は、大量見込生産型の製品で行う原価計算です。1会計期間中に計上されたコストを集計し、その集計額を、当期間に生産した製品の数量で割り、これを1個当たりの原価とします。これに対し個別原価計算は、個別受注生産型の製品で行う原価計算です。1製品ごとに、原材料費、労務費、経費を算定していきます。

これらの計算は、生産管理担当者が行うのではなく、一般的に経理担当者が行います。現在は、ERP(Enterprise Resources Planning:統合基幹業務システム)などのコンピュータソフトが発展、普及したため、原価計算など経理関係の計算は、この種のソフトで行われることが多くなりました。ERPは、第3回で触れたMRP(Material Requirement Planning:資材所要量計画)を、当初の生産数量計画だけでなく、原価も付随して計算できるようにしたものです。

ただし、原価計算に関する基本的な知識は、生産管理担当者も知っておくべきです。原価を維持、または低減するには、原価計算プロセスを理解する必要があるためです。

2. 変動費と固定費の区別

原価を維持、または低減するに当たって、まず知っておくべきことは、変動費と固定費の区別です(図2)。

図2:変動費と固定費

図2:変動費と固定費

変動費とは、売り上げの増減に連動して変動する費用のことです。原料費、材料費、外注費、販売手数料(アルバイト雇用費なども含む)などが当てはまります。これに対し固定費とは、売り上げの増減にかかわらず、一定して発生する固定的な費用のことです。人件費(労務費も含む)、地代家賃、水道光熱費、減価償却費、保険料、支払利息などが当てはまります。

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3. 設計段階または製造段階での原価低減

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