納期の管理:生産管理の基礎知識4

生産管理の基礎知識

更新日:2019年9月27日(初回投稿)
著者:早稲田大学 名誉教授 黒須 誠治

前回は、見込生産型における生産量の管理を解説しました。今回は、納期管理を取り上げます。生産管理にかかわらず、あらゆる業務において納期管理は重要です。納期見積を作成するときの注意点や、納期管理の方法などを紹介します。

1. 納期見積

・ビジネスにおける納期の分類

納期を重要度(守らなければいけない順番)によって分類すると、業務を円滑に進めることができます。最も重要な納期は、顧客と約束した納期です。これは絶対に守らなければいけません。次に重要なのは、上司や他部門など、社内で取り決めた納期です。そして次に、自分の仕事に対して自分で決めた納期という順番になります。自分で決めた納期は、絶対に守る必要のある納期というよりは、計画の一種と考えていいでしょう。

一般的に、生産管理において納期という場合、顧客と約束した納期を指します。社内で取り決めた納期は、スケジューリング、日程計画などと呼ばれます。社内はコミュニケーションが取りやすく、変更しやすいため、納期よりは、計画に近いのかもしれません。

・納期の設定

取り決めた納期が期間を指しているのか、ある時点を指しているのか、不明確なことがあります。例えば、納期を1か月と決めた場合、それは1か月間という納期間を意味します。一方、納期を1月とした場合、1月は納める期日の意味です。両者の区別はあまり明確ではないものの、文脈から考えれば間違えることは少ないと思われます。むしろ、納期を1月と決めたにもかかわらず、日にちを明確にしなかったため、期日が近付くにつれ問題になることがあります。

一般的に、計画は現在に近いほど綿密に作成します。逆に、遠い未来の計画は、多少粗くても問題ありません。その場合、期日が近付くにつれ詳細な納期を決定します。この方が、あらかじめ全ての詳細な計画を決めるよりも合理的で、実行しやすいものです。生産管理では、小日程計画、中日程計画、大日程計画など、短期的、または長期的な視点に立った計画を行うことが奨励されています。図1に、小日程計画で用いられるガントチャートの例を示します。行には工程を、列には時間を取り、作業内容を割り付けています。

図1:小日程計画におけるガントチャート例

図1:小日程計画におけるガントチャート例

・顧客との納期決定

納期について顧客と契約を交わす場合、社内の計画を作成するのと同じように行うわけにはいきません。顧客と納期交渉する際、受注する側は、顧客が注文する製品をどのくらいの期間で製造できるか、納期見積を示せるように用意しておくことが重要です。納期見積が不十分だと、納期交渉が不利になる恐れがあります。また、見積に誤りがあると、納期遅れが発生し、賠償を求められることもあります。

・納期見積

納期見積はどのように作成すればよいのでしょうか? 通常、納期見積は、これまで蓄積してきた生産に要する作業時間データを積算することにより求めます。ところが、受注生産型では個々の注文が異なります。新しく受注した場合、初めて購入する部品を使ったり、経験したことのない作業を行ったりする必要が生じます。すると、作業時間に関するデータが存在しないため、作成した見積が不正確になる恐れがあります。

このため、個別受注生産型では、納期見積をできるだけ正確に作るよう、努力する必要があります。また、契約した納期に間に合うように、進捗管理に重点を置くことが重要です。

2. 納期管理

顧客との納期が決定したら、その納期に間に合うよう、生産の進行を管理し続けなければなりません。それには、進行状況を常に把握していることが大切です。工程ごとに進捗を把握し、計画より遅れている工程がある場合、遅れを挽回するように指示します。

また、必要に応じて、遅れを挽回するための方策をとります。ここでの方策とは、他部門からの応援や、残業などを意味します。ただし、日頃からできるだけ残業をしないためのシステムを準備しておくことも大切です。そのシステムとは、次に説明する生産能力の計画と管理です。

3. 生産能力の計画と管理

生産管理担当者は、自社の生産能力をよく知っておく必要があります。そして、自社の生産能力を超える注文を受けてはいけません。例えば、旅館などのサービス業の多くは受注型です。部屋数より多くの客を受け入れた場合、収拾のつかない状態になることは明らかです。

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