生産量の管理:生産管理の基礎知識3

生産管理の基礎知識

更新日:2019年9月13日(初回投稿)
著者:早稲田大学 名誉教授 黒須 誠治

前回は、各生産形態における生産量と納期管理を紹介しました。今回は、見込生産型における生産量の管理を解説します。製品の性質により、生産量の管理方法は異なります。適切な生産量を算出することで、売れ残りや品切れを防ぎます。

1. 生産量の管理

見込生産型は、受注してから作るのではなく、見込みで適当な数量を作ってから販売します。そのため、初めに作る数量を決める必要があります。

生産量を決めるときに最も注意すべき点は、売れ残りや品切れが発生しないように設定することです。また、第2の注意点として、自社の生産能力(作業者、機械、設備の能力)を考えて、無理のない数量を決定することが挙げられます。

・売れ残りと品切れを防ぐ生産量

多く作りすぎると売れ残りが発生します。逆に、少なすぎると品切れを起こします。売れ残り、品切れが発生しないように数量を設定することが望ましいものの、それは容易ではありません。例えば、需要量、すなわち売れ行きが日々変化する製品を作っている会社では、適切な生産量を算定するのは困難です。

需要量の変化に何らかの特徴を見いだすことができれば、それに合わせて発注量を算定できます。例えば、季節によって売れる量が異なる製品を製造している会社では、季節ごとに発注量を変更します。一方、売れた分だけ作る、という方法も考えられます。先週売れた分を今週作り、来週の初めに出荷するという方式です。これを補充方式といい、トヨタのかんばん方式の基本となった方法です。季節変動が少なく、需要変動も大きくない製品では、補充方式がうまく機能します(図1)。補充方式は、定期的に発注量を決定するので、定期発注方式ともいいます。

図1:補充方式(定期発注方式)の在庫量の推移

図1:補充方式(定期発注方式)の在庫量の推移

補充方式は、需要変動が激しい製品では過不足が発生し、うまく機能しません。その場合、補充方式以外の発注方式で生産量を管理する必要があります。

2. 発注量の管理

生産量を決定するとき、もう一つ考えておかないといけないことがあります。それは、生産量を決定し、製造部門などに製造を依頼(発注)してから製品ができるまでには、一定の時間を要するということです。先述のとおり、補充方式は、先週売れた分を今週作り、来週の初めに出荷するという方法です。しかし、売れた分をいつでも1週間で作れるかという問題があります。

先週あまり売れなかった場合、今週の生産量(=先週の売れた量)は少ないので、1週間で作ることができます。しかし大量に売れた場合、今週の生産量は多くなり、1週間では作れないかもしれません。このような場合に備え、普段から余分の在庫を持っておくという方法が考えられます。在庫があれば、大量に作る時間がないときでも、数量を確保でき、安心です。この余分の在庫は安全在庫といい、常に用意しておくことが望まれます。

3. 在庫量の管理

しかし、安全在庫でさえも、なくなってしまうことが考えられます。この場合、定期的に発注する方式ではない、別の方式を検討する必要があります。例えば、安全在庫分も出荷する必要が見えてきた時点で、一定量を発注するという方式です。常に在庫量を観察し、在庫量がある量にまでに減ったら発注を行います。これにより、安全在庫がなくなることを心配する必要はなくなります。この方式を、発注点方式といい、発注のきっかけとなる在庫量を発注点といいます。発注点方式では、発注のきっかけとなる発注点の設定が重要です。発注点は、どのように設定すればよいのでしょうか? 先ほど例に挙げたように、安全在庫分の出荷が見えてきた時点の在庫量を、発注点にすることが考えられます。ただし、この場合、生産期間も考慮に入れなければなりません。既に述べたように、発注指示を出してすぐに製品が出来上がるわけではありません。製品を作るための時間(リードタイム)が必要です。そこで、リードタイムに減少すると見込まれる在庫量と、安全在庫の合計を、発注点として設定します(図2)。

図2:発注点方式の在庫量の推移

図2:発注点方式の在庫量の推移

このように、発注量を常に一定にすると、生産期間も一定となり、製造、および計画が容易になります。ただし、在庫量を常に観察し、発注点を割っていないかを管理する必要があります。

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