プラスチックの二次加工:プラスチックの基礎知識5

プラスチックの基礎知識

更新日:2017年4月27日(初回投稿)
著者:田口技術士事務所 田口 宏之

前回は、押出成形とブロー成形を解説しました。今回は、プラスチックの可能性をさらに高める二次加工を紹介します。

1. プラスチック二次加工の種類

多くのプラスチック製品は、付加価値を高める、組立・製造をしやすくするなどの目的で二次加工を行います。図1に、主な二次加工の種類を示します。

図1:二次加工の分類

図1:二次加工の分類

二次加工は、接合、表面処理、機械加工の3つに分類でき、それぞれ単独で用いることも、複数組み合わせて利用することもあります。また、成形法(金型)、材料、二次加工を組み合わせると、ほぼ無限のバリエーションを生み出すことができます。これが、発想次第でさまざまな付加価値を創出できるプラスチックの面白さです。一方で、適切な組み合わせを見いだすには、幅広い知識が必要です。プラスチックを使った製品に関わる人には、二次加工についても、ぜひ深く知ってほしいです。

二次加工は広範囲の技術分野が関係し、それぞれ高いレベルの知識やノウハウが必要です。成形法や材料、金型の専門が細分化されているのと同様に、二次加工もそれぞれの分野で専門家が存在します。一人の技術者が全ての二次加工に精通することは不可能です。各分野の専門家の協力を得ることが、プラスチックをうまく使いこなすコツです。

それでは、プラスチックの特徴を生かした加工例を挙げながら、3種類の二次加工について詳しく見ていきましょう。

2. 接合

接合は、プラスチック製品同士、あるいはプラスチック製品と異材質の製品をつなぎ合わせる二次加工です。ほとんどの場合、複数の部品を組み合わせることで製品として完成します。そのため、製品の要求事項に合わせた多種多様な接合方法が実用化されています。代表的な接合方法は、機械締結、溶着/溶接、接着の3つです(表1)。

表1:代表的な接合方法
 
機械締結 タッピンネジ、ボルト・ナット、リベット、インサート、スナップフィット
溶着/溶接 超音波溶着、振動溶着、摩擦溶着、熱板溶着、高周波溶着、熱風溶着、レーザー溶着、溶接
接着 接着剤、ホットメルト、溶剤、粘着テープ

多くの接合方法は、プラスチック以外の材料でも用いられます。また、プラスチックが比較的低い温度で溶融するという特徴を生かした、プラスチック材料の接合方法が考案されています。その事例を2つ紹介します。

接合の事例:超音波溶着

超音波溶着は、超音波振動のエネルギーを使った接合法です(図2)。

図2:超音波溶着機と接合の概要(写真提供:日本アビオニクス株式会社)

図2:超音波溶着機と接合の概要(写真提供:日本アビオニクス株式会社)

接合する製品には、エネルギーダイレクターと呼ばれる突起をあらかじめ設けておきます。そして、ホーンでその部分に圧力を加えながら、超音波振動を与えます。エネルギーダイレクターの温度が上がり、プラスチックが溶融・固化することで、製品同士が接合します。接合は数秒程度で完了するため、生産性が非常に高いのが特徴です。また溶剤が不要なので、作業環境の改善につながることも大きなメリットです。自動車、家電、日用品など、さまざまな製品で利用されています。

接合の事例:高周波誘導加熱による金属ナットのインサート

加熱した金属ナットをプラスチック製品にインサートすることで、機械的に締結する接合法です(図3)。

図3:高周波誘導加熱による金属ナットのインサート(写真提供:日本アビオニクス株式会社)

図3:高周波誘導加熱による金属ナットのインサート(写真提供:日本アビオニクス株式会社)

高周波誘導加熱で金属ナットを温め、プラスチックの穴にインサートします。加熱することで穴の周囲が柔らかくなり、スムーズに挿入することができます。抜け防止にも効果を発揮します。

3. 表面処理

表面処理の目的は、主に加飾(意匠性の向上)と表面改質です。表2に、代表的な表面処理方法を示します。

表2:代表的な表面処理方法
 
加飾 塗装、印刷、ホットスタンプ、めっき、蒸着、スパッタリング、転写、レーザーマーキング、研磨
表面改質 コロナ、プラズマ、プライマー、紫外線、ブラスト、エッチング、オゾン、脱脂

加飾技術はプラスチックの意匠性を向上させ、かつて多くの人が感じていた、プラスチックは安っぽいというイメージを拭い去るのに大きな役割を果たしています。自動車の内装材や家電は、目に見えるほとんどの部分がプラスチック製です。以前と比べ、意匠性が非常に高くなっていると感じるのではないでしょうか。これは、加飾技術の発展によるものと考えてよいでしょう。

表面改質は、目的によりさまざまな方法が実施されます。代表的なものに、接着や塗装の前処理があります。

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4. 機械加工

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