プラスチックの材料特性:プラスチックの基礎知識2

プラスチックの基礎知識

更新日:2017年2月8日(初回投稿)
著者:田口技術士事務所 田口 宏之

前回は、プラスチックのメリットやデメリット、製造に関わる技術分野を解説しました。今回は、プラスチック材料の特性を解説します。

1. プラスチック材料の特性

製品の材料としてプラスチックを使う場合、製品の要求事項を明らかにし、それを満足する特性を持ったプラスチックを選ぶ必要があります。表1に、プラスチックを選ぶ際に指標となる特性を示します。

表1:プラスチックの特性
  特性
機械特性 強度、剛性、重量(軽量性)、耐クリープ性、耐疲労性、耐衝撃性、耐水性、耐熱水性、耐蒸気性、吸水性、柔軟性、耐摩耗性、摺動性、摩擦特性、耐傷性、表面硬度、耐突き刺し性、ヒンジ特性
熱特性 耐熱性、寸法安定性、熱伝導、各物性の温度依存性
電気特性 電気絶縁性、耐トラッキング性、耐アーク性
化学特性 耐薬品性、耐油性、耐候性、難燃性、ガスバリア性、低アウトガス性
光学特性 透明性、屈折率制御性
成形性 各成形法に適した材料特性、賦形性、寸法安定性
二次加工性 溶着、接着、溶接、印刷、塗装、めっき、蒸着、機械加工
その他 環境性、衛生性、意匠性、経済性

これらの特性は、プラスチックを構成する物質によって決まります。プラスチックは主に、原料(ポリマー)と配合剤で構成されています。原料は、ポリプロピレン(PP)やポリスチレン(PS)などの高分子(ポリマー)で、プラスチックの大部分を構成します。同じ原料でもグレードによって性能に幅があります。配合剤は、ガラス繊維や着色剤など、プラスチック性能の向上や、新たな特性を付与する目的で加えられます。図1に、プラスチックの強度における性能変化のイメージを示します。低コストでプラスチック製品を作るには、原料だけでなく配合剤の知識も不可欠です。

図1:プラスチックの強度における性能変化のイメージ

図1:プラスチックの強度における性能変化のイメージ

2. プラスチック原料(ポリマー)

プラスチック材料は、その構造や性質によって、図2のように分類できます。

図2:プラスチック材料の分類

図2:プラスチック材料の分類

最も大きな分類は、熱硬化性プラスチックと熱可塑性プラスチックです。表2に、それぞれの特徴を示します。

表2:熱可塑性プラスチックと熱硬化性プラスチックの特徴
  熱可塑性プラスチック 熱硬化性プラスチック
特徴 ・成形工程で、化学反応を起こさない
・加熱すると軟化し、冷却すると再び硬化する(※チョコレートをイメージ)
・成形工程で、化学反応により硬化する ・硬化後、加熱しても軟化しない (※クッキーをイメージ)
メリット ・成形時間が短く、低コスト ・リサイクルに適している ・機械特性、化学特性などが優れている
デメリット ・機械特性、化学特性などが劣る ・成形時間が長く、高コスト ・リサイクルに適していない

熱硬化性プラスチックは、機械特性や化学特性などに優れています。しかし、成形時に化学反応が必要で成形時間が長く、コストが高いというデメリットがあります。そのため、熱可塑性プラスチックでは対応が難しく、要求性能が特別に高い場合に限り使用されています。表3に、代表的な熱硬化性プラスチックの種類と特性を示します。

表3:熱硬化性プラスチック
略号 名称 重視される特性の例 用途例
EP エポキシ樹脂 強度、耐熱性、電気特性 塗料、半導体封止材、航空機構造材
PF フェノール樹脂 耐熱性、電気特性、難燃性 ブレーキ摩擦材、電気・電子機器、調理機器
UF ユリア樹脂 表面硬度、電気特性、耐薬品性 接着剤、配線器具、日用品
MF メラミン樹脂 表面硬度、電気特性、耐薬品性 接着剤、食器、化粧板
UP 不飽和ポリエステル樹脂 強度、耐熱性、耐薬品性 浴槽、人工大理石、レジャーボート
SI シリコーン樹脂 柔軟性、衛生性、耐候性 建築用シーリング材、チューブ、パッキン
PUR ポリウレタン樹脂 耐摩耗性、柔軟性、耐油性 クッション材、断熱材、車輪

一方、私たちの身の回りにあるプラスチックの多くは、熱可塑性プラスチックです。中でも汎用プラスチックは生産量が多く安価なため、日用品から自動車部品までさまざまな製品に使用されています。国内生産量では7割以上を汎用プラスチックが占めています。表4に、汎用プラスチックの種類と特性を示します。

表4:汎用プラスチック(ヒンジ特性:破断までの折り曲げ回数)
略号 名称 結晶構造 重視される特性の例 用途例
PE ポリエチレン 結晶性 耐水性、衛生性、低価格 包装用フィルム、容器、日用品
PP ポリプロピレン 軽量性、ヒンジ特性、低価格 包装用フィルム、自動車外装部品、日用品
PVC ポリ塩化ビニル 非晶性 難燃性、柔軟性、電気特性 給排水管、電線被覆材、各種シート
PS ポリスチレン 透明性、衛生性、低価格 透明ケース、保温容器、日用品
PMMA ポリメタクリル酸メチル(アクリル/メタクリル樹脂) 透明性、表面硬度、意匠性 透明ケース、照明器具、看板
ABS アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン 意匠性、めっき加工性、寸法安定性 自動車内装部品、家電、日用品

汎用プラスチックで要求性能を満足できない場合には、エンジニアリングプラスチックが使用されます。エンジニアリングプラスチックは、耐熱性などの違いにより、汎用エンジニアリングプラスチック(耐熱性100℃以上)と、スーパーエンジニアリングプラスチック(耐熱性150℃以上)に分けられます。いずれも要求性能の高い部位で使用されます。ただし、生産量が少ないためコストが非常に高いのがネックです。

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3. プラスチックの配合剤

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4. プラスチック使用時の注意点

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