ローラブラシ塗り・浸せき塗り・電着塗装法:塗装・塗料の基礎知識2

塗装・塗料の基礎知識
更新日:2016年8月5日(初回投稿)
著者:元職業能力開発総合大学校 准教授 坪田 実

前回は、塗装の概要とその歴史について解説しました。そして、直接法の中から、はけ塗りを紹介しました。今回は、直接法から、ローラブラシ塗りと浸せき塗りを、さらには電気メッキの原理を応用した電着塗装について解説します。

1. ローラブラシ塗り

ローラブラシ塗りは、1955年ごろアメリカから導入され、当初は船舶の塗装に利用されていました。その後、広い面を塗ることができる点が注目され、用途が拡大していきました。

ローラブラシは、塗料を無駄なく、住宅の壁など広い面積に塗ることができるので、建築塗装業界では最も使われる塗装方法です。仕上がり面の滑らかさは、はけ塗りに劣りますが、はけ塗りより数倍も速い作業スピードで塗装することができます。

ローラブラシの構造と種類
ローラブラシは、図1のようにローラカバーとローラハンドルから構成されています。カバーは、はけでいう毛の部分に当たり、コアとナップで構成されています。目的に応じて短毛、中毛、長毛と、毛の長さもさまざまです。塗料の種類、被塗装面の形状、仕上がり面の模様などを考えて、適切なローラブラシを選ぶ必要があります。

図1:ローラ塗りの用具

図1:ローラ塗りの用具(ローラブラシとローラトレイ)

一般的に、平らな面では、短毛または中毛のローラカバーを用います。凹凸のある面では、中毛または長毛を用います。平らな面でも、厚塗りで特殊なローラパターンを作るときには、長毛を使う場合もあります。

ローラブラシ塗りの方法
事前に、ローラブラシでは塗りにくい箇所を、はけで塗ります。そしてまず、ローラブラシに塗料を含ませます。ブラシの1/3~1/2くらいの深さまで、塗料に付けては、金網の上を転がす操作を数回繰り返し、ブラシ全体に塗料を均一になじませます。

ブラシの運行は図2の右図に示します。右上から真っすぐに降ろし、塗り付け幅だけ左上に移動し、その後真っすぐに降ろします。これを繰り返すと、被塗装面全体へ均等に塗料を配ることができます。

図2:ローラブラシ塗りの手順1

図2:ローラブラシ塗りの手順1(引用:坪田実、ココからはじめる塗装、日刊工業新聞社、2010年、P.25)

次に、図3のように塗りつけた塗料をすばやくならします。はけ塗りと同様に、塗り方向と直行する方向に塗り広げます。最後に、ローラの運行方向を一定にして、もう一度初めからローラブラシを軽く押し当てて運行します。これにより、ローラマークが均一になります。

図3:ローラブラシ塗りの手順2

図3:ローラブラシ塗りの手順2(引用:坪田実、ココからはじめる塗装、日刊工業新聞社、2010年、P.25)

ローラ塗りのコツは、ローラを均一な力で回転させることです。ローラの継ぎ目が凸形状になるのを避け、ローラマークを均一に整えると、良い仕上がり面になります

ローラブラシの後始末と保管
まず、図4の左図のように、ローラカバーにフィットする半円形のくぼみのある木べらを自作します。そして、ナップに含まれる塗料を丁寧にしごき出します。その後、洗浄液で洗って、ナップに癖が付かないように立てて乾かし、保管します。

図4:ローラカバーの洗い方

図4:ローラカバーの洗い方(引用:坪田実、ココからはじめる塗装、日刊工業新聞社、2010年、P.25)

2. 浸せき塗り

浸せき塗りは、大きく2つに大別されます。1つ目はディッピング方式といい、塗料が入った容器に被塗物をどっぷり浸けて、引き上げて乾燥させます。2つ目は、塗料を押し込む、しごき塗りです。

図5に、液体塗料と粉体塗料のディッピング方式の原理を示します。粉体塗料へのディッピングでは、はじめに粒子中に低圧で空気を送り込み、粉体塗料を流動させます。この中へ、加熱した被塗物を入れると、接触した粉体は溶け、塗膜になります。この方法は、水道バルブのような熱容量の大きい鋳造品などに適しています。

図5:浸せき塗りの原理 左:液体塗料 右:粉体塗装

図5:浸せき塗りの原理 左:液体塗料 右:粉体塗装(引用:中道敏彦・坪田実、トコトンやさしい塗料の本、日刊工業新聞社、2008年、P.55)

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3. 電着塗装法

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