組織開発の方法:組織開発の基礎知識4

組織開発の基礎知識

更新日:2022年4月5日(初回投稿)
著者:神戸大学 大学院経営学研究科 経営学専攻 教授 鈴木 竜太

前回は、人材開発と組織開発の違いを紹介しました。これまでに組織開発では、サーベイフィードバック、チームビルディング、リーダーシップトレーニングなど、現在の組織開発にもつながるさまざまな方法が行われてきました(第2回参照)。また、組織開発は、個人から組織全体まで、組織のさまざまなレベルに焦点を当てて行われています(第3回参照)。今回は、方法や焦点を当てるレベルではなく、組織開発をどのように進めていくのか、すなわちプロセスとしての組織開発の方法を紹介します。

1. 計画的な変革(プランド・チェンジ)

組織開発の初期の取り組みの中心的役割を担ったクルト・レヴィンは、さまざまなことを後世に残しています。その一つが、組織変革の3段階モデルです。これは、組織の変化を、解凍、変化(移行)、再凍結の3段階によって成し遂げるというモデルです(図1)。

図1:レヴィンの変革の3段階モデル

図1:レヴィンの変革の3段階モデル

組織には、既に固まった考え方やそれに基づくルーティンがあります。まずは、それらを解凍することが第1段階です。組織変革を行う際に、「変化しなくてはいけない」、「今までのやり方では通用しなくなる」といった、これまでの考え方、やり方を継続することへの疑問や、問題提起がなされることが多くあります。これはある種の解凍のステップといえます。そのステップを経た後に、新しい考え方や、やり方への移行(第2段階)が行われます。

また、変化へ移行するだけでは組織変革は成し遂げられず、それらを定着(再凍結)させる第3段階が必要になります。日常レベルにおいて、これまでの習慣を改め、新しいことを始めようと試みても、しばらくすると再び元に戻ってしまうことがよくあります。変えてみるだけでなく、それが定着するまでを視野に入れることが、組織変革には重要になります。

この3段階モデルを基にしたのが、計画的な変革という考え方です。これは、伝統的な組織開発や組織変革の考え方です。この考え方では、組織や職場における望ましい状態を想定し、その状態に向かって取り組みを設計します。ただし、ここでの望ましい状態は、当該の職場や組織における望ましい状態であり、メンバー個人にとっても素晴らしい状態を想定しているわけではありません。また、全ての組織にとって望ましい、というような理想の型にはめていく方法とは異なります。しかし、その進め方はほとんど同じです。

この計画的な変革は、おおよそ次のステップによってなされます。まずは、レヴィンの解凍段階に当たる変革に向けたニーズの醸成、つまり変革(変わること)の必要性を当事者に理解してもらうことが重要です。その後、変革を推進するコンサルタント(支援者)と、変革するクライアント(当事者)の関係性を構築した上で、変革に向けた取り組みが行われます。コンサルタントというと、やや仰々しく聞こえるかもしれません。コンサルタントは外部から招くだけではなく、組織内部で旗振り役としての推進者が担い、変革に向けた組織開発を行う場合もあります。

変革の取り組みを行うだけでは十分ではありません。その取り組みを普及し、安定化する必要があります。これが、変化から再凍結のステップです。そして、職場や組織の望ましい状態が安定的になったところで、コンサルタントとクライアントの関係は終わり、変革は終了します。計画的な変革の細かさや規模はさまざまですが、一般的な組織変革という文脈では同じ考え方です。

2. コンサルタントとクライアント

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