身近なネットワーク:ネットワークの基礎知識1

ネットワークの基礎知識

更新日:2022年3月4日(初回投稿)
著者:愛知工科大学 工学部 情報メディア学科 教授 宇野 新太郎

本連載では、6回にわたり、ネットワークの基礎知識を解説します。今回は、インターネットなど、身近なネットワークを紹介します。ネットワークと聞いて思い浮かべるのは、PCやスマートフォンなどがつながるインターネットです。私たちはインターネットを通じて、Webページを見たり、電子メールをやり取りしたりできます。インターネットは、クライアントサーバモデルに基づいて作られています。また、PCやスマートフォンは、光ファイバーや無線などのアクセスネットワークを介してインターネットに接続されています。

1. インターネットとは

インターネットは、世界中のネットワークをつなぐネットワークです。すなわち、インターネットは無数のネットワークが合体して、1つの巨大なネットワークを構成しています。私たちは、PCやスマートフォンをインターネットにつなぐことで、国内のネットワークはもちろん、世界中のネットワークにつながることができます。また、インターネットを使って、ウェブサイトを見たり、電子メールでやり取りしたり、最近ではSNSで発信したり、YouTubeで動画を見たりすることができます。

インターネットの始まりは、1969年といわれています。1969年、アメリカ国防省は、アメリカ全土でARPANET(Advanced Research Projects Agency NETwork)と呼ばれるコンピュータネットワークの構築を開始しました。電話網を使った回線交換ではなく、データをパケットに分割して送るパケット交換技術を使った専用のデータ通信網を、4つの大学や研究機関(カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)、ユタ大学、SRIインターナショナル)で相互接続して実験を行いました。そして、2台以上のコンピュータ間で、メールやファイル転送を実現しました。

1990年、ARPANETは全米科学財団により、NSFNET(National Science Foundation NETwork)に引き継がれました。その際、通信手順としては、現在インターネットで用いられているTCP/IPの原型が適用されました。

図1に、現在のインターネットの基本構成を示します。端末Aから端末B宛てにデータを分割し、パケット形式のIPパケットを送信します。IPパケットは、まずLAN(Local Area Network)でルータまで送られます。その後いくつかのネットワークを経由して、相手のネットワークの入口まで送られ、LAN経由で端末Bまで送られることになります。ルータは、ネットワークとネットワークを接続し、受信したパケットをどちらに送るかを判断する装置です。

図1:インターネットの基本構成

図1:インターネットの基本構成(引用:宇野新太郎、情報通信ネットワークの基礎、森北出版、2016年、P.5)

元来、コンピュータ間通信では、そのプロトコル(通信規約)として、1984年に国際標準化機構(ISO)によって制定された異機種間のデータ通信を実現するOSI(Open Systems Interconnection)参照モデルが一般的でした。しかし、インターネットでは、TCP/IPが採用されました。TCP/IPについては、第3回、第4回で詳しく説明します。

インターネットが拡大する元となったアプリケーションとしては、クライアントサーバモデルに基づく電子メールや、WWW(World Wide Web、Webサービスとも呼ばれる)などが挙げられます。WWWは、1989年、欧州合同原子核研究機構(CERN)で開発され、アメリカのイリノイ大が開発したMosaic(Webブラウザ)によって、爆発的に広まりました。

2. インターネットへの接続

インターネットに接続するには、回線事業者が提供する回線と、インターネットに接続するインターネットサービスプロバイダ(ISP)を利用する必要があります。ただし、回線事業者とISPが同一の場合もあります。また、一般家庭にあるように、端末から直接回線を使用する場合と、図1のように、企業において、端末からLAN経由で回線接続する場合があります。

インターネットへのアクセス方法は、当初は、電話網を利用したモデム接続でした。その後、ISDN接続を経て、常時接続できるブロードバンド接続として、電話線を使った専用線接続であるADSL接続、ケーブルテレビ網であるCATV接続、光ファイバーを使った高速なFTTH接続へと発展します。また、スマートフォンに代表されるように、無線での接続も増えています。表1に、インターネット接続回線の種類をまとめました。

表1:インターネット接続回線の種類
接続回線 概要 接続法
固定電話回線 一般的にアナログ電話回線と呼ばれている。インターネットにつなぐには、モデムが必要となる。初期のころは、この方法が使用されていたが、現在はほとんど使用されていない ダイアルアップ接続(ナローバンド接続)
ISDN
(Integrated Services Digital Network)
総合デジタル通信網とも呼ばれるデジタル回線。1990年代~2000年代にかけて使用されていたが、伝送速度(64Kbps~1.5Mbps)が遅いため、現在はあまり使用されていない。PCを接続する場合は、ターミナルアダプタ(TA)が必要となる ダイアルアップ接続(ナローバンド接続)
ADSL
(Asymmetric Digital Subscriber Line)
アナログ回線である固定電話を用い、デジタル情報を載せてインターネットに接続できる。ADSLモデムが必要となる。最近まではよく使われていたが、より速いFTTHに置き換わってきている ブロードバンド接続
CATV
(Common Antenna TeleVision、Comm unity Antenna Tele Vision)
CATVはケーブルテレビといわれ、もともとケーブルを使ってテレビ信号を流すために使用されていたが、インターネット接続にも使用可能となった。インターネットに接続するには、ケーブルモデムが必要となる。伝送速度は現在、320Mbps程度 ブロードバンド接続
FTTH
(Fiber To The Home)
一般家庭への伝送路として光ファイバーを利用する通信方式。伝送速度は現在10Gbpsまでサポートする。光信号と電気信号を変換する光回線終端装置ONU(Optical Network Unit)が必要となる ブロードバンド接続
無線 スマートフォン、携帯電話、PCから無線を使ってインターネットに接続する。現在、LTEやWiFi、WiMAXなどの方式で接続している。2020年からは5Gもスタートし、伝送速度は、最大20Gbpsとなる ブロードバンド接続
専用線 一般家庭向けではなく、企業や大学、研究機関向けに専用の伝送路で接続する。アナログとデジタルがあり、デジタルの場合は、0.5Mbps~100Gbpsまで、さまざまな速度が用意されている ブロードバンド接続

インターネットは、世界中のネットワークをつなぐネットワークであるのに対し、イントラネットは、企業などの組織内で、限定的な範囲で利用するプライベートネットワークです。ただし、方式、機器などはインターネットと同一のものを使用します。

3. クライアントサーバモデル

インターネットで提供されるサービスは、どのような仕組みで行われているのでしょうか。インターネットサービスで代表的なWebサービスや電子メールサービスは、クライアントサーバモデルに基づいています。クライアントサーバとは、クライアントとサーバの2つの機能がネットワークでつながった構成になっています。クライアントとは、サービスを要求し、サービスを受ける側のコンピュータです。一方、サーバは、サービスを提供するコンピュータです。図2にクライアントサーバシステムの一例を示します。

図2:クライアントサーバモデルの一例

図2:クライアントサーバモデルの一例

クライアントからファイルサーバに対して、ファイルを格納したり、あるいはファイルを引き出す要求を送ると、サーバはファイルを格納したり、特定ファイルを引き出すことを実行します。また、クライアントでは、引き出された特定ファイルを見ることができます。実際に私たちが接しているのはクライアントであり、クライアントは、人(ユーザー)とサーバとのやり取りをしています。ユーザーがクライアントに指示し、クライアントの伝達によりサーバが仕事を実行し、そしてクライアントを通じて私たちに返答するという仕組みになっています。

図2のネットワーク環境は、LANをイメージしています。ただし、インターネット経由でも同じことが行われます。例えば、Webサービスでは、クライアントに当たるWebブラウザからインターネット経由でWebサーバに要求が送られると、WebサーバはWebページをWebブラウザに送ります。また、電子メールサービスでは、メーラと呼ばれるクライアントがメールサーバに要求を出して、インターネットで送られた電子メールをメールサーバからダウンロードすることができます。Webサービス、電子メールについては、第5回で詳しく説明します。

いかがでしたか? 今回は、身近なネットワークを紹介しました。次回は、LANを用いた接続を取り上げます。お楽しみに!

参考文献:

  • 宇野新太郎、情報通信ネットワークの基礎、森北出版、2016年
  • 浅井宗海、情報通信ネットワーク、近代科学社、2011年