化学めっき:金属表面処理の基礎知識4

金属表面処理の基礎知識

更新日:2016年9月23日(初回投稿)
著者:仁平技術士事務所 所長 仁平 宣弘

前回は、電解反応を利用した電気めっきを紹介しました。今回は、電気を使用しない化学めっきを取り上げ、その成膜原理やニッケルNi-リンPめっきについて解説します。

1. 化学めっきの原理

化学めっきは、電気を使わない化学反応によって皮膜を析出させる表面処理です。無電解めっきとも呼ばれ、置換型(置換めっき)と還元型(還元めっき)に分類されます。

置換めっき

置換めっきは、めっき金属よりもめっき処理品のイオン化傾向が大きい場合に成立します。以下に、置換めっきの原理を示します(図1)。

図1:置換めっきの原理

図1:置換めっきの原理

この場合、めっき処理品はニッケル Ni、めっき金属は金 Auです。めっき処理品の金属がめっき液中に溶解することによって、電子を放出して金属イオンになり(図1の1の反応)、めっき液中に存在しているめっき金属のイオンがその電子を受け取って、金属として置換析出します(図1の2の反応)。めっき処理品は還元剤の役割を担っているため、表面がめっき膜で覆われてしまうと反応は終了します。置換めっきの種類には、置換亜鉛 Znめっき(ジンケ-ト処理)や、金Auのストライクめっきなどがあります。

還元めっき

還元めっきは、化学薬品の還元能力を利用してめっき金属を析出させる表面処理です。非触媒型と自己触媒型に分類されます(図2)。

図2:還元めっきの原理

図2:還元めっきの原理

銀鏡反応は非触媒型に属します。薬品の還元能力によって金属の析出が進行するため、めっき処理品だけでなく、槽の内面や治具などにもめっきされます。そのため、めっき液の劣化が早く、厚めっきは望めません。

自己触媒型も、非触媒型と同様に、化学薬品の還元能力によってめっき金属が析出します。ただし析出しためっき金属が触媒として作用するため、金属の析出はめっき処理品に限定されます。還元剤(RA:Reducing Agent)を補給し、めっき液の組成を保持することで、厚めっきも可能になります。自己触媒型の代表的なものには、無電解ニッケルNi-リンPめっきと、無電解銅 Cuめっきがあります。めっき対象材料は金属だけではなく、プラスチックやセラミックスなど不導体材料にまで及びます。

2. 無電解ニッケルめっき

無電解ニッケルNiめっきは、一般にはニッケルNi-リンPめっきのことを指します。主な適用分野には、自動車部品(ピストン、シリンダなど)や、金型(プラスチック成形用)、などがあり、いずれも耐摩耗性や耐食性の付加を目的としています。

めっき液の主成分は硫酸ニッケル NiSO4や塩化ニッケル NiCl2で、ニッケル Niの供給源である金属塩です。その他、リン Pの供給源かつ還元剤として用いられる次亜リン酸ナトリウムNaH2PO2・H2O や、pH調整剤の水酸化ナトリウム NaOH、めっき液中で金属イオンと錯体を形成する錯化剤の有機酸(クエン酸 C6H8O7や酢酸 CH3COOHなど)があります(表1)。

表1:ニッケルNi-リンPめっきの主なめっき液構成成分とその役割
構成成分 役割
種類 薬品例
ニッケル塩 硫酸ニッケル、塩化ニッケル Niイオンの供給
還元剤 次亜リン酸ナトリウム Niイオンの還元、Pの供給
錯化材 クエン酸、りんご酸 ニッケル塩の沈殿防止
促進剤 酢酸、こはく酸 反応促進、pH緩衝
安定剤 鉛化合物 めっき液の自己分解抑制
pH調整剤 水酸化ナトリウム pH調整
その他 界面活性剤 ピット発生抑制

ニッケルNi-リンPめっきのリンPの含有量は2~15mass%の範囲で、3%以下は低リン、6~8%は中リン、10%は高リンと呼ばれています。一般的な皮膜の場合、リン Pの含有量は8~10%です。ただし、めっき液のpHと錯化剤やその他添加剤の種類によって変わることもあります。

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3. 粒子分散めっき

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4. プラスチックへのめっき

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