金属の腐食と防錆(せい)・防食法:金属表面処理の基礎知識2

金属表面処理の基礎知識

更新日:2016年8月26日(初回投稿)
著者:仁平技術士事務所 所長 仁平 宣弘

前回は、表面処理の種類と有効利用するための留意すべき点について解説しました。今回は、金属の腐食現象と、金属表面処理の最も重要な利用目的である防錆(せい)・防食法を取り上げ、解説します。

1. 金属製品における腐食現象

腐食には、「乾食(乾式による腐食)」と、「湿食(湿式による腐食)」があります(図1)。

図1:腐食の種類

図1:腐食の種類

乾食は、高温加熱によって生じる腐食です。空気など酸素を含む気体中で加熱されたときに生じる酸化(高温酸化)と、反応性ガス(塩素や亜硫酸ガス)中で加熱したときに生じる腐食があります。これらを防止するには適正な材料選定しか方法がなく、表面処理の範囲ではありません。湿食は、水が存在することによって生じる腐食で、以下に挙げるようにさまざまな腐食形態があります。

全面腐食

金属表面が全面的に一様に腐食していく現象です。均一腐食とも呼ばれます。使用環境に適した材料選定や塗装などで防止できます。

ガルバニック腐食(接触腐食)

腐食発生の原因の多くは、電気化学的反応です。ガルバニック腐食は、腐食環境下に置かれた金属のうち、イオン化傾向の小さい金属(貴な金属)からイオン化傾向の大きい金属(卑な金属)に電流が流れ、腐食電池が形成されることによって発生します。この場合、前者がカソード、後者がアノードです(図2)。

図2:ガルバニック腐食(接触腐食)の発生原理

図2:ガルバニック腐食(接触腐食)の発生原理

アノード側では酸化反応を生じて溶解(腐食)が進行します。カソード側では還元反応を生じて水素ガスが発生します。反応式は次のとおりです。

・アノード側での反応(酸化反応):
    M(金属)→Mn+(金属イオン)+ne-・・・金属の溶解(腐食)
・カソード側での反応(還元反応):
    2H++2e-→H2・・・水素の発生

腐食電池が形成される要因には、金属材料中の化学成分や金属組織の不均一、表面処理層(めっき膜など)の欠陥、異種金属の接触などがあります。表1に金属材料別に見る腐食電池が形成される事例を示します。単一金属によるミクロ的な事例と、2種類の金属によるマクロ的な事例があります。

表1:金属材料において腐食電池が形成される事例
金属材料 アノード側(卑) カソード側(貴)
単一金属の場合
(化学成分、金属組織の違いによる腐食電池の形成)
黄銅 亜鉛
ステンレス鋼 オーステナイト、フェライト 炭化物、不働態膜
鉄鋼 フェライト 炭化物、非金属介在物
鉄鋼(焼入れ) 微細パーライト マルテンサイト
鉄鋼(焼なまし、焼入れ焼戻し) パーライト、ソルバイト 脱炭層(フェライト)
2種類の金属の場合
(材質の違いによる腐食電池の形成) 
亜鉛(めっき膜) 普通鋼
アルミニウム ステンレス鋼
普通鋼 ニッケル、スズ、クロム(めっき膜)
黄銅 銀ろう(銀-銅合金)


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2. 金属被覆による防錆(せい)・防食法

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