連続体の力学:機械力学の基礎知識5

機械力学の基礎知識

更新日:2022年2月15日(初回投稿)
著者:広島大学 先進理工系科学研究科 機械力学研究室 教授 菊植 亮

前回は、多自由度系と振動モード、共振・反共振について解説しました。これまでは、一つ一つ独立した物体(質点、あるいは剛体)の運動を数式で表して調べる方法を解説してきました。今回は、ひと続きになって変形する物体(連続体)の運動と振動を解説します。

1. 弦の運動方程式

最も単純な連続体の例として、弦を考えます。ギターの弦のように、両端が固定されて、ピンと張られたワイヤを想像してください。そのワイヤを指ではじくと振動します。どのような振動が起こるかということを、運動方程式から考えてみましょう。

図1のように、左右の両端が固定されていて、張力(テンション)Tで左右から引っ張られている弦を考えます。長さをL(m)、張力をT(N)、線密度(単位長さ当たりの質量)をρ(kg/m)とします。左端を原点とし、弦に沿ってx軸をとります。

図1:弦

図1:弦

弦の振動は、弦の各部分が、弦と垂直な方向(図1の上下方向)に変位することで生じます。時刻tにおける位置xの部位の上方向への変位をu(x,t)と表すことにします。下方向に変位した場合、uは負になります。縦軸がu、横軸がxの座標系で、ある瞬間t1における関数u(x,t1)のグラフを描くと、それはそのままその瞬間のワイヤの形状を表します。

一般に、連続体の挙動を数式で表そうとするときには、ひとまず連続体を微小な部分に分けて、その部分について運動方程式を立てます。弦について考えるときは、図2のように、ある長さがΔxの微小部分を考えます。

図2:弦の微小部分に加わる力

図2:弦の微小部分に加わる力

ここでΔxは十分に微小であるとします。この部分の質量はρΔxです。ある時刻tにおいて、その部分の左端の変位はu(x,t)で、左端の上下方向の加速度は∂2u(x,t)/∂t2です。弦に加わる張力がTであるとすると、その微小部分の左端には-Tの力が、右端には+Tの力がx軸方向にかかっていることになります。ただし、この部分は少し傾いているので、張力はピッタリx軸方向ではありません。その傾きは左端、右端において、以下のようになります。

そのため、この微小部分の上下方向の運動方程式は、以下のようになります。

この式1を書き直して、両辺をΔxで割ると、以下の式が得られます。

これがこの弦の運動方程式です。この式は、時間の2回微分と空間の2階微分から成る偏微分方程式で、波動方程式と呼ばれる式の一種です。ここで、uは弦のその部分の上下方向の変位を表すため、∂u/∂xはその部分の弦の傾き、∂2u/∂x2は弦のその部分の曲がり具合です。そして、∂u/∂tは弦のその部分の上下方向の速度、∂2u/∂t2は弦のその部分の上下方向の加速度です。このように考えると、式2は、弦の曲がり具合によって上下方向に力が発生して、それによって上下方向の加速度が発生するという解釈ができます。

2. 運動方程式の解とモード関数

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3. さまざまな連続体の振動

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