前回は、加工方法を考慮した、見やすい投影図を描くために必要な知識を紹介しました。今回は、読み手の理解を深めつつ簡潔に投影図を表すことができる、特殊な図示法を解説します。第三角法による正投影による投影図では図面が煩雑になってしまい、対象物の情報を分かりやすく表せないことがあります。そのような場合、加工者が誤解しない投影図を描くために、断面図や省略図といった図示法を用いて表現します。
1. 断面図
物体を外形から見たとき、隠れた部分を分かりやすくするため、物体のある面を切断したと仮定して、その状態を断面図として図示することができます。これは、対象物をより理解しやすくするために、最もよく使うテクニックの一つです。
このように、加工者にとって理解しやすい製図を作るための断面図の作法には、さまざまな種類があります。
・全断面図
対象物の基本中心線で、切断面を決めて断面にしたものが全断面図です(図1)。
対称図形などで基本中心線が明らかな場合は、切断線の指示を省略することができます。しかし、特定の部分を断面にする場合は、切断線を用いて切断面を明確に指示する必要があります。
・片側断面図
対称形の対象物の中心線から片側を外形図、もう一方を断面図として表すことができます(図2)。これを、片側断面図といいます。
・合成断面図
平行な2つ以上の平面で切断した断面を、組み合わせて表したものが、合成断面図です。この場合、切断箇所が明確になるように切断線を示す必要があります(図3)。
2. ハッチングの描き方
ハッチングとは、一定の面を平行な線で埋めることをいいます。切断面の切り口を表す場合は、切断面、または切り口の軸、および輪郭に対して45度の角度で描きます。ただし、形状に合わせて角度を変えるのがよいとされています(図4)。
組み合わせ部品の場合は、部品のハッチングの向きを変えて、組み合わせ部品であることを分かりやすくします。また、ハッチング範囲内に文字や記号がある場合は、その部分だけハッチングを中断します(図5)。
3. 断面にしてはいけないもの
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4. 省略図(長尺部品、片側省略、繰り返し図形の省略)
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