機械構造を支える部品:機械設計の基礎知識5

機械設計の基礎知識

更新日:2017年7月7日(初回投稿)
著者:関東学院大学 理工学部 機械学系 専任講師 西田 麻美

前回は、機械製図とその重要性について学びました。今回は機械要素と、機械構造を構成する部品について学びましょう。

1. 機械要素の規格化

機械を構成する多くの部品の中で、機種や用途に関係なく共通した機能を果たす基本的な部品を、機械要素といいます。一般的に機械要素は、単独で使用されることはなく、機械に組み込まれることで優れた機能を発揮します。

機械要素の大半は日本工業規格(JIS)などで規格化されていて、品質・大きさ・形状などの標準を満たしています。規格化された部品は低コストで大量生産されるため、さまざまな販売チャネルで安く購入できます。機械要素を探す手段は、機械要素専門メーカーのカタログやウェブサイトなどがあります。選定時には機械要素の規格を調べ、欲しいスペックを満たしているか調べましょう。規格化された機械要素の利用には、以下のメリットがあります。

  • 利便性や互換性の確保
  • コストダウン
  • 開発のスピードアップ
  • 安全の保持
  • 環境保全への配慮

2. 機械要素の種類

機械要素は用途や機能によって、結合要素・密封要素・案内要素・緩衝要素・動力伝達要素の5つに分類されます。結合要素・密封要素・案内要素・緩衝要素は、機械の構造を構成し、構造設計に用いられます。一方、動力伝達要素は機械の運動に関する要素で、機構設計に用いられます。機械の機能や用途に応じて、最適な機械要素を選択することが、機械の信頼性や生産性を高めるための重要なポイントです。今回は機械の構造を構成する4つの要素(表1)を取り上げ、動力伝達要素については次回説明します。

表1:機械の構造を構成する要素
要素名 機能・目的 主な機械要素
結合要素 要素やユニットを固定・締結する ねじ、ボルト、ナット、ワッシャ、キー
密封要素 密封する シール、パッキン、Oリング
案内要素 運動する部品を保持する 転がり軸受、すべり軸受
緩衝要素 エネルギーを吸収する ばね、ブレーキ

3. 機械構造を構成する部品

機械構造を構成する部品には、結合要素、密封要素、案内要素、緩衝要素の4つがあります。それぞれの要素の役割と特徴を見ていきましょう。

 1:結合要素

結合要素とは、部品同士をつないだり、所定の位置にとどめたりする機械要素のことです。図1に代表的な結合要素の図を示します。

・ねじ、ボルト、ナット、ワッシャ

ねじ、ボルト、ナット、ワッシャは、最も多用する結合要素です。特に、ねじは引っ張り方向に作用する部材の固定や、送りねじ(回転運動を直線運動に変える機械部品)の機構に応用されています。

・キー

キーは、回転する軸に取り付ける結合要素で、ギアなどを固定します。使用条件によっては大きなせん断力が働くので、破損に注意しましょう。

・スナップリング(C形止め輪)

スナップリングは、棒状やホース状の部品に用いる結合要素です。棒状の部品の外側、もしくはホース状の部品の内側につけた溝にはめることで、他の軸やベアリングを結合させた際に抜けないよう固定します。

・コッター(くさび状の板)

コッターは、引っ張りあるいは圧縮の力を受ける2本の軸を直結する部品です。

・リベット(鋲:びょう)

リベットは、2枚の板状の部品を結合する際に用いる結合要素で、穴に差し込んだ後にハンマーなどで変形させて締結します。リベットは原則として、せん断を受ける場所に用いられます。

・ピン

ピンは、部品同士の固定や位置決め、すべり・ゆるみ・脱落防止に使う結合要素です。ただし、回転体に対してピンを使用すると、回転力で抜けてしまうことがあるので注意が必要です。

図1:結合要素

図1:結合要素

2: 密封要素

密封要素は、機械の内側と外側を遮断するために用いる機械要素です。機械内部に封じ込めておきたい物質(水やオイル、ガスなど)が外に出ないようにしたり、外部から異物が入らないようにしたりします。シール、Oリング、パッキンなどが代表的な密封要素です。

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