工作機械に求められる機能と性能:工作機械の基礎知識5

工作機械の基礎知識

更新日:2022年9月2日(初回投稿)
著者:芝浦工業大学 大学院 機械工学専攻 臨床機械加工研究室 教授 澤 武一

前回は、世界における工作機械の歴史を紹介しました。今回は、工作機械に求められる機能と性能について解説します。それは一次と二次に大別され、一次には「高精度、高能率、高速、自動で形がつくれる」こと、二次には「人と環境に優しい」ことが挙げられます。つまり、一次は直接加工に関わる機能・性能で、二次は間接的に加工に関わる機能・性能です。

1. 機能の複合化

構造部品は、低コスト設計や管理のしやすさを目的に、点数削減(一体化)が行われる傾向にあります。一方、そのしわ寄せとして部品の形状は複雑化し、軽量化や比強度(強度を部材の密度で割った値)の増大のため部材が難削材化(切削加工がしにくい)しています。

さらに近年、加工コストの削減は不変の要求事項です。このような生産要求を背景に、工作機械の機能は次第に複合化する傾向にあります。例えば、旋盤加工(材料が回転する加工)とフライス加工(切削工具が回転する加工)の両方の機能を合わせ持つことで、1台で2工程を担うことができます(図1)。複数の工作機械を使って加工する場合、材料の脱着や運搬といった段取りが必要になり、加工コストを押し上げる一方、機能を集約させる(複合化する)ことにより工程集約することができます。

図1:旋盤加工とフライス加工の複合化
図1:旋盤加工とフライス加工の複合化

また、1回の材料固定でさまざまな加工ができるため、材料の脱着による誤差もなくなり、精度の高い安定した加工が可能です。さらに、複数の工作機械を揃(そろ)える必要がなくなるため、導入コストや設置スペースを削減でき、省エネ効果もあります。工作機械は、複数の機能を備えた複合加工機がトレンドになっています。

2. 自動化

NC工作機械は、自動工具交換機能(ATC)や自動パレット交換機能(APC)など、NCプログラムによる自動化・省人化・無人化運転が最大の特徴です。しかし、加工後の製品が設計通りの寸法値に削れているか否かを確認する測定作業は人が行うことが多く、完全な自動化を阻害する要因の一つでした。それも近年では、タッチセンサやCCDカメラ、レーザスキャナの装備により、自動で測定する機能が実用化されています(図2)。

図2:非接触三次元測定機による3Dスキャン計測
図2:非接触三次元測定機による3Dスキャン計測

この自動測定によって、作業者スキルによる測定誤差が発生せず、工作物脱着時間がなくなるなど品質を定量化でき、生産性を向上させることができます。近年のNC工作機械は、そのほとんどが三次元測定機(空間上の3方向の座標X、Y、Zを検出し対象物の位置や形状を正確に捉える測定機)を備えているといっても過言ではないでしょう。このように、加工機能の複合化だけではなく、測定機能も複合化、さらに自動化する傾向にあります。

3. 人にやさしい

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4. 環境にやさしい

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