工作機械の歴史:工作機械の基礎知識4

工作機械の基礎知識

更新日:2022年8月9日(初回投稿)
著者:芝浦工業大学 大学院 機械工学専攻 臨床機械加工研究室 教授 澤 武一

前回は、工作機械の構造と特徴について説明しました。今回は、世界における工作機械の歴史を紹介します。

1. 紀元前からルネサンス期

古来より人は刃物を使い、生活必需品などをつくってきました。人類の文明の歴史はものづくりの歴史、工作機械の歴史といっても過言ではありません。紀元前300年頃のエジプトの墓には、棒状の部材が描かれています。当時は、紐(ひも)や弓を使って材料を回転させていたようです。回転する材料に刃物を押し当て、不要な箇所を削り取り、目的の形状をつくる加工法は、古くから引き継がれているといえます。陶芸で使用される「ろくろ」は、材料を回転させて形状をつくる方法として、紀元前から現代まで形態を変えずに残っています。この加工法を、動力を使って連続的に行える仕組みをつくり、構造体にしたのが旋盤です。旋盤は最も古い工作機械の一つで、時代とともに進化し、現在では製造現場に欠かすことのできないものとなっています。図1は、ルネサンス期に活躍したレオナルド・ダ・ビンチが残したスケッチをもとに製造した木工旋盤です。

図1:木工旋盤(レオナルド・ダ・ビンチのスケッチをもとにしたモデル)

図1:木工旋盤(レオナルド・ダ・ビンチのスケッチをもとにしたモデル)

1550年前後、フランス宮廷で働いていた数学者ジャック・ベッソンの解説書には、弓や竿(さお)の弾力や重りを付けた紐を動力源として木材を加工する旋盤が紹介されています。このときに使用していた竿をLatheと呼んでおり、これが旋盤の英語名(lathe)の語源といわれています。なお、同時期のイタリアでは、水車を動力源として大砲の砲身の中ぐり加工を行ったという記録が残っており、金属の加工も既に行われていたようです。

図2は、図1と同様、レオナルド・ダ・ビンチが残したスケッチをもとに製造した金属の鍛造(圧力を加えて変形させること)に利用されたレバープレスです。

図2:レバープレス(レオナルド・ダ・ビンチのスケッチをもとにしたモデル)
図2:レバープレス(レオナルド・ダ・ビンチのスケッチをもとにしたモデル)

1400~1700年頃のルネサンス期には、婦人が刺しゅうをするように、紳士が旋盤を使用するのを趣味としていたようです。金、銀、銅を材料として、時計などの装飾品や工芸品を制作していました。多くの人に使用されることで改良が進み、この時期には、ヨーロッパを中心に産業用の旋盤も数多く製造されました。ベッドが木製から金属(鋳鉄)製に、ベッドの形状が平形から山形になり、バイト(旋盤や平削盤などでの切削加工に用いられる工具)が手持ちから固定式の刃物台になり、安定した加工が可能になりました。

2. 産業革命とペリー来航

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3. 自動化、NCの開発

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