鉛フリーはんだ付けの不具合事例:鉛フリーはんだ付けの基礎知識5

鉛フリーはんだ付けの基礎知識

更新日:2017年1月19日(初回投稿)
著者:テリーエンジニアリングLLP 代表 松本 輝政

前回は、最もやっかいな工程内不良の一つ、BGA不ぬれについて解説しました。最終回の今回は、鉛フリーはんだ付けの不具合事例と今後の課題を、説明します。

1. 鉛フリーはんだ付けの不具合と事例

従来のスズSn-鉛Pbはんだで起こる不具合は、時間の経過によるクラックや断線の事故でした。鉛フリーはんだでは、製造工程の初期的不具合をいかに無くすかが、大きな課題です。初期的不具合とは、検査や工程管理などで市場への流出や、発生を防止するべき不具合のことです。具体的には、ブリッジやはんだボール、ピンポール、ブローホールなどがあります。初期的不具合の原因は、スズSn-鉛Pbはんだと比較して温度が高く、広がりが悪いことです。図1に、はんだ付け製品の一般的な不具合をバスタブ曲線(故障率曲線)で示します。

図1:はんだ付け不具合とバスタブ曲線

図1:はんだ付け不具合とバスタブ曲線

鉛フリーはんだ化で不具合を無くす上で、重要なことは何でしょうか。5Sを実践することです。一般的に5Sは整理、整頓、清潔、清掃、しつけとされています。そのうち、整理、整頓、清潔、清掃は、自分の意思で行います。しつけは、自らの意思はありません。そのため、「しつけ」を自らの意思で行う「姿勢」に代えて考えることをおすすめします。鉛フリーはんだ付けにおいて、5Sは特に推進してほしい取り組みです。なぜなら、鉛フリー化にともない、はんだの広がりが悪くなり、部品、基板の汚れではんだ付け不良を起こすからです。さらに、表面実装では高密度化になり、小さなホコリやゴミが、はんだ付け不良の原因となります。これらを防止するためにも、5Sを理解し実践してください。

 初期的不具合の例

鉛フリーはんだの特徴は、スズSn-鉛Pbはんだに比べ、溶ける温度が高い点です。コテの温度を30~40℃高めに設定し、作業をする必要があります。そのため、鉛フリーはんだでは、さまざまな不具合が発生します。図2は、図1の初期的不具合で発生するブリッジ、はんだボール、ピンホール、ブローホール、トンネルです。

ブリッジ:発生原因は、はんだ量が多い、位置ずれが起こる、作業方法が正確でない、コテ先温度が低い、または高い、部品からのガスの影響などがあります。

はんだボール:発生原因は、はんだ中の水分の影響やコテの引き方、ラウンドの設計によるはんだ量の影響、部品や基板の水分含有などがあります。

ピンホール、ブローホール、トンネル:発生原因は、はんだ付け時の温度不足、部品・基板の酸化などの汚染およびガスの発生があります。

図2:ブリッジ、はんだボール、ピンホール、ブローホール、トンネル

図2:ブリッジ、はんだボール、ピンホール、ブローホール、トンネル

次に図3を使って、不具合の具体的な原因を見ていきます。鉛入りはんだ付けがうまくいった場合は、はんだの表面には光沢があり、富士山のごとくフィレットが形成されています。鉛フリーはんだ付けは、表面の光沢がありません。よって、鉛フリーはんだの目視検査は、リード部分で判定します(リード部品の場合)。

図3:はんだ付けの初期的不具合例

図3:はんだ付けの初期的不具合例

1.はんだの表面が陥没する不具合例です。原因としては、リードに対しての熱不足です。

2.はんだ量が少ない不具合例です。原因としては、加熱不足、リードの汚染および作業者の未熟などです。

3.リード線の不具合で、うまくはんだ付けができなった例です。写真は、リード線をはんだ付けしたものです。右の写真は、断面図です。リード線ははんだに覆われているだけでぬれていません。原因は、リード線の汚染、リード線への加熱不足および作業方法です。

4、5.表面実装での不具合例です。共通の原因は、部品のはんだ付け面の酸化、汚染です。鉛フリー化にともない、リードと電極には従来の鉛を使用できず、スズSnめっきに変更したため、表面酸化によるぬれ不足が大きな問題になっています。

6.鉛フリー化になって多く発生するBGAの不具合です。原因は、パッケージの反り変形です。はんだのフラックスが活性不足を起こし、融合しません。まれに、ボールの酸化が原因の不ぬれもあります。この場合は、不ぬれ箇所がランダムに発生します。

7.表面実装で起きる不具合のマンハッタン現象(チップ立ちが多く発生している状態)です。原因は、左図ははんだ量の違い、右図はランドの大きさの違いです。熱の伝達が早い方に部品が引っ張られ、発生します。解決方法は、はんだ付けを同じ時間になるように溶融することです。

図4に、クラック、はんだくず・異物、はんだ付け忘れ、ランド剥離、ツノ・ツララの例を示します。

図4 :初期的不具合の例(クラック、はんだくず・異物、はんだ付け忘れ、ランド剥離、ツノ・ツララ)

図4 :初期的不具合の例(クラック、はんだくず・異物、はんだ付け忘れ、ランド剥離、ツノ・ツララ)

クラック:発生の原因は、はんだが固まる前に動かすためです。はんだは固まった後、5kgf/mm2の強度があります。しかし、溶融しているときの強度は0 kgf/mm2です。解決策としては、はんだ付け後は固まるまで動かさない、はんだ付けの時は正しい冶工具を使用することです。

 はんだくず・異物:作業者、作業管理、5Sの徹底以外に解決策はありません。

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2. 鉛フリーはんだ付けの今後の技術開発課題と展望

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