BGA不ぬれ:鉛フリーはんだ付けの基礎知識4

鉛フリーはんだ付けの基礎知識

更新日:2016年12月15日(初回投稿)
著者:テリーエンジニアリングLLP 代表 松本 輝政

前回は、銅食われとコテ先食われを紹介しました。今回は、BGA(Ball Grid Array:はんだボールを格子状に並べた電極形状のパッケージ基板)の実装時に起こる不具合について解説します。

1. BGA不ぬれ

BGA不ぬれとは、BGAパッケージにあらかじめ接合されたソルダバンプ(フリップチップ部品と基板間の相互接続に用いるはんだの丸いボール)と、基板に印刷されたソルダペースト(微細なはんだ粉末をフラックスで混練したもの)がリフロー時に融合しない現象です。図1は典型的な外観左と断面右写真で、上側がバンプ、下側がペーストです。バンプが押しつぶされ、ペースト粉末の溶け残りが見られないことから分かるように、バンプ、ペースト共に溶融、部品が基板側へ十分沈み込んでいるにもかかわらず、バンプが凝固したペーストに乗る状態で未融合となります。

図1:BGA不ぬれ部の外観、断面(フラックス残さ洗浄済み)

図1:BGA不ぬれ部の外観、断面(フラックス残さ洗浄済み)

未融合の形態はこれだけではありません。図2は完全な不ぬれでなく、バンプとペーストの融合が不十分な例です。小型・薄型化が急速に進んでいる多くの民生機器では、BGAの実装は一般的です。BGA不ぬれは、以下の理由で、最もやっかいな工程内不良の一つです。

・外観検査できず、インラインX線検査での発見が難しい

・インサーキット、ファンクション検査によって発見できる。しかし、バンプとペーストが完全に溶け合わず、接触している場合も検査を通過してしまう。搬送時の振動や製品稼働後の導通不良で、初めて発見される場合がある

・修正が難しく、時間とコストがかかる

図2:バンプ-ペースト融合が不十分な例

図2:バンプ-ペースト融合が不十分な例

BGA不ぬれの要因と対策

BGA不ぬれの主要因は、3つあります。これらの要因が単体もしくは複合して発生します。

・パッケージ、基板の反り
・ソルダペーストの活性力低下
・ソルダバンプの表面酸化

リフロー温度のプロファイルとパッケージ反り・未融合の関係を図3に示します。デバイスや基板は加熱時に反りが発生します。リフローのプリヒート段階で、パッケージは樹脂材料のガラス転移温度Tgに到達するまで上反りし、バンプとペーストが離れます。熱風にさらされたバンプ表面の酸化膜は、温度上昇とともに急速に厚く成長します。加えてバンプ側に付着したフラックスとペーストのフラックスも劣化します。

ガラス転移温度Tgを超えるとパッケージは下反りに転じ、はんだ溶融温度域でバンプとペーストは再度接触します。フラックスは、本来は酸化膜を除去し、加熱時の再酸化を防ぎ、ぬれを促進します。このフラックスが劣化し、バンプ表面に炭化物として残り、融合を妨げます。溶融温度域内でバンプとペーストの接触時間(溶融時間)が短くなることも大きな要因です。ほとんどの場合、パッケージ外周部付近に多く発生します。

図3:リフロー温度プロファイルとパッケージ反り、未融合の関係

図3:リフロー温度プロファイルとパッケージ反り、未融合の関係

実際には、主因が反りのケースがほとんどです。この場合、部品側での対策としては、ガラス転移温度Tgを低いパッケージに替えることです。すると、プリヒート時の部品上反りを抑えて、溶融時間が確保できるため、バンプ表面の再酸化を抑えることができ、大きな効果が得られます。また、基板の反りは設計によっても変化するため、BGAの配置にも考慮する必要があります。反りが解消されれば、この不具合は大幅に減少するでしょう。ICの小型・薄型化と接合部の微細化に伴い、高機能化(電流密度の増加すなわち発熱量の増加)も加速する中、こうした観点からもパッケージ樹脂や基材の開発動向が注目されています。

もう一つの要因として、元々のソルダバンプ自体の表面酸化があります。不具合がこれのみに起因する場合、不ぬれ箇所はパッケージ内で発生位置を特定できず、ランダムになります。バンプの表面酸化は、パック開封後の長時間放置など保管状態の影響、部品製造工程での異常(バンプ分球時の酸化や、パッケージとの接合時に発生した汚れであるフラックス残さの洗浄不足など)が要因として考えられます。この場合、一時的な対策としては、バンプ表面を布の上で軽く拭くことです。

さらに、ペーストの種類や印刷量でも発生率は大きく異なります。ソルダペーストのフラックスは、温度の上昇とともに劣化が加速され浮き上がり、表面酸化が促進されたバンプと融合できるだけの活性力が失われています。

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2. BGAで発生するブリッジ

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