銅食われとコテ先食われ:鉛フリーはんだ付けの基礎知識3

鉛フリーはんだ付けの基礎知識

更新日:2016年12月1日(初回投稿)
著者:テリーエンジニアリングLLP 代表 松本 輝政

前回は、はんだ表面で発生する問題とメカニズムについて紹介しました。今回は、鉛フリーはんだ付け作業の大きな問題、銅食われとコテ先食われについて解説します。鉛フリーはんだが、従来のスズSn-鉛Pbと比較して食われが大きいのは、スズが、銅および鉄めっきの鉄と合金を作るためです。

1. 銅食われ現象

銅食われとは?

代表的な食われによる欠陥例を図1に示します。銅食われとは、はんだ付けの際に銅がはんだ中に溶け出し、銅線が細くなる現象です。鉛フリーはんだによる銅食われは、スズSnの含有率が高いほど多く、はんだ付温度が高いほど多く、はんだ付け時間が長いほど食われ量が多くなります。つまり、従来に比べ、スズの含有が多い鉛フリーはんだでは、銅食われの確率は大きくなります。

図1:食われによる欠陥

図1:食われによる欠陥

銅食われ現象による欠陥

1つ目の事例として、浸せき作業時に銅線が細くなったり、消失した例を挙げます。鉛フリーはんだになり、巻き線などの製品で、銅食われによる断線不具合が発生しています。溶解したはんだに製品を浸せきしてはんだ付けを行うディップ方式のはんだ付けでは、はんだに銅を浸せきすることではんだ中に銅が溶け込んでしまうためです。図2の左側は巻き線のはんだ付け例です。はんだバス(はんだ槽)の中は、スズSn-銀Ag3.0-銅Cu0.5です。銅食われが起きているものと、全く銅食われの無いものの差がはっきり分かります。図2の右側の写真は、顕著に現れた銅食われ現象の例です。銅食われの対策は、はんだの中にあらかじめ銅を多く入れ、銅線の銅の混入を少なくすることです。

図2:コイル線のはんだ付け実験例

図2:コイル線のはんだ付け実験例

2つ目の事例は、フローソルダリング工程で発生した、両面基板のスルーホール部の不具合です。製品が作動不良を起こしたため、X線写真で確認したところ、大きなボイドが見えました。そして断面写真を観察し、原因を調査しました。断面写真図3の1は、スルーホール内の銅めっきが食われて消失し、基板から水分やガスが発生してボイドとなった状態です。2、3、4は正常な状態です。スルーホール部のめっき厚の管理は重要です。一般的にめっきの厚さは、民生品は15μm以上、車載用は20μm以上必要です。なぜなら、この厚さ以下であると銅食われを起こさない場合でも、基板中の水分およびガスがめっき部から出て、ボイドの原因になるためです。定期的に断面図をチェックすることで、不具合を未然に防ぐことができます。

図3:両面基板のスルーホール部における不具合例

図3:両面基板のスルーホール部における不具合例

3つ目は、基板の銅パットの不具合です。BGA(Ball Grid Array:集積回路のパッケージの一種)の修理時に、銅パットの消失が発生しました。図4のようにリフロー後に不ぬれが生じたため、BGAを取り外し、基板のランド(部品の取り付けおよび接続に用いる導体パターン)をクリーニングし、再度はんだ付けを行いました。1回の手直しでは、1のように銅パットに問題はありません。しかし、2回以上手直しをした2の状態だと、パットはほとんど消失しています。このように鉛フリーはんだを使用した場合には、手直しは1回のみで終わらせることが重要です。鉛フリーはんだは、銅食われを起こしやすくなっています。このことを十分に理解して、製品設計を行い、はんだ付けの作業を適温で、手早く行う必要があります。

図4: 基板の銅パットの不具合

図4: 基板の銅パットの不具合

銅食われの対策

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2. コテ先食われ現象

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