前回は、鉛入りと鉛フリーの違いを紹介しました。今回は、鉛はんだ表面で発生する問題とメカニズムについて解説します。
1. はんだ表面の引け巣と白色化
鉛フリーはんだ(スズSn-銀Ag-銅Cuのはんだ)特有の現象として、引け巣と白色化があります。引け巣は、白色化した部分にひび割れや亀裂(クラック)が発生することです。白色化は、スズSnが結晶化し、表面に細かいしわができることです。どちらもはんだが冷却して固まる際に発生します。鉛フリーはんだの場合、鉛入りはんだよりも融点が217℃と、20~30℃高くなっているため、はんだ付けの最適温度が上がります。オーバーヒートにならないようにも、コテ先の温度の最適設定、対象に合ったコテ先の選定、そして素早く効率よく熱を伝えるスキルを身に付けることが大切です。図1は、実際の引け巣の様子です。
引け巣とは?発生メカニズムとは?
スズSn(96.5%)-銀Ag(3.0%)-銅Cu(0.5%)の鉛フリーはんだは、それぞれの凝固点の違いから、スズSn単体部分が232℃で最初に固まり、次にスズSn銀Ag銅Cuの共晶部分が217℃で固まります。金属は固まるときに収縮するので、最初に固まったスズSnが引っ張られてクラックが起きます。この現象が、引け巣です。
装置を使うフロー方式のはんだ付けで起こる典型的な引け巣の例を図3に示します。はんだ部分のソードを挟んだ両側でクラックが発生しています。
この引け巣が原因でクラック割れが、進行することはありません。外観上、引け巣はなるべく小さくした方がよいでしょう。対策は、はんだ付けの後、なるべく早く冷却することです。
表面の白色化
鉛フリーはんだと鉛入りはんだの大きな違いの一つは、はんだ付け後の表面の光沢です。スズSn-鉛Pbのはんだ付け後の表面は、全体に光沢があり滑らかです。鉛フリーはんだは、図4のように光沢部と白色化した部分に分かれています。
続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。
2. ボイド・ブローホールの発生
保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。