からくり改善の進め方と原理や機構:からくり改善の基礎知識2

からくり改善の基礎知識

更新日:2015年9月15日(初回投稿)
著者:公益社団法人日本プラントメンテナンス協会 技術アドバイザー 新見 芳宣

前回は、からくり改善とは何か? そして、今、注目される背景を解説しました。今回は、からくり改善への取り組み方と、その原理を見ていきます。

1. からくり改善のアイデア出し

からくり改善の創造にあたっては、困っている、疲れる、楽をしたいなどのニーズが存在することが大事です。そこから発想し、創造的なアイデアが生まれます。

アイデアを生むためには、原理やメカニズムに至る思考をパターン化することが効果的です。例えば、対象の改善方法を、図1のようなテンプレートで考えてみます。

からくり改善のアイデア出し

図1:改善方法のテンプレート

2. からくり改善の手順

一般的には、図2のような手順で行います。

からくり改善の手順

図2:からくり改善の手順

3. からくり改善や製作の勘所・ヒント

からくり改善に取り組むにあたり、大切なことは、焦らず基本に忠実に、粘り強く、アイデアが出るまで考え抜くことです。ポイントは8つあります。

  • どの作業(動作)を改善するかは、よく話し合って決める
  •  改善のヒントは、玩具・日常生活の中にある
  • ほかの事例を真似るのが早道
  • ワークの特徴を活かす
  • 動力源と力の伝達機構を組み合わせる
  • どのように操作・作動の信号を取るかを考える
  • まず、簡単なミニチュアモデルで実験をする
  • 成功のカギは、本人の理想像と、上司の励まし

上司の役割も重要です。焦らず部下を見守り、助言をします。上司が気を付けるポイントを6つ挙げます。

  • 最初は、時間がかかりうまくいかないものだと思う
  • つくるための時間・人を与える
  • できれば、複数でやらせる(3人寄れば、文殊の知恵)
  • 上司の考えを押し付けない
  • 本人に達成感を味わわせる
  • 継続するための組織・体制をつくる

4. からくり改善の原理

からくり改善の原理(メカニズム)を考えるにあたり、「動力源」と「力の伝達機構」を上手に組み合わせることがポイントです。

【例題】図3において、重りが何kgのときに釣り合うか?

からくり改善の原理-例題

図3:からくり改善の原理を考えるための例題

【解答と解説】重りが10kgのとき

からくり改善の原理-解答と解説

図4:からくり改善の原理。例題の解答と解説

5. からくり改善に利用する動力

保管用PDFに掲載しています。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

6. からくり改善に使う伝達機構

(1) 滑車(ワイヤー・ひもなどを含む)

滑車を組み合わせて使うことにより、力の大きさ、向き、移動距離を変えることができます。

図9:からくり改善に使う伝達機構 (1):滑車

図9:からくり改善に使う伝達機構 (1)滑車

(2) テコ

棒をテコとして使うとき、必ず3つの点が必要です。支点:テコを支える点、力点:力を加える点、作用点:力が働く点です。この3点の配置を変えると、重いものを動かしたり、動きを変えたり、遠くのものを動かしたりすることができます。

図10:からくり改善に使う伝達機構 (2)テコ

図10:からくり改善に使う伝達機構 (2)テコ

(3) 輪軸

輪軸とは、輪と軸を組み合わせて、小さな力で楽に軸を回せるようにしたものです。「軸の力×軸の半径= 輪の力×輪の半径」が成り立ち、原理はテコと同じです。

図11:からくり改善に使う伝達機構 (3)輪軸

図11:からくり改善に使う伝達機構 (3)輪軸

(4) ベルト・チェーン

単純に力を伝えたり、速度や力の大きさを変えたりするときに使用します。歯車より遠くに動きを伝えられますが、回転比は正確でありません。からくり改善では、細いワイヤ、ひも、糸、釣り糸なども利用されています。

図12:からくり改善に使う伝達機構(4)ベルト・チェーン

図12:からくり改善に使う伝達機構(4)ベルト・チェーン

(5) リンク機構

棒状のものを回転自在のピンなどでつなぎます。各部分の動きと位置を自由に変えることができます。

図13:からくり改善に使う伝達機構 (5)リンク機構

図13:からくり改善に使う伝達機構 (5)リンク機構

7. 動力と伝達機構の組み合わせ

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