ISOマネジメントシステムの活用:ISOマネジメントシステムの基礎知識5

ISOマネジメントシステムの基礎知識

更新日:2016年7月29日(初回投稿)
著者:一般財団法人日本品質保証機構 マネジメントシステム部門 企画センター 仲矢 新

これまでの4回の連載記事では、ISOマネジメントシステムの基本的な構造や仕組みを説明しました。今回は最終回です。ISOマネジメントシステムの有効な利用形態を紹介するとともに、ISOマネジメントシステムに課せられている社会的意義について説明します。

1. トップダウンの仕組みとしてのISOマネジメントシステム

ISOマネジメントシステムを活用することのメリットとは、何でしょうか? まず挙げられるのは、企業が行うトップダウンでの経営を監視し、サポートする、管理ツールとしての役割です。トップ(経営層)の方針や目標が社内に浸透しているか、目標達成のための活動が機能しているかなどを、第三者の目で確認できます。

ISO 9001(品質マネジメントシステム:QMS)は、もともと工業製品の大量生産を念頭に、トップダウンでの生産活動を管理するためのツールとして、欧米を中心に発展しました。トップの方針や目的が明確であればあるほど、ISOマネジメントシステムは、会社経営をサポートする有効なツールとして力を発揮します。また、国による検査や査察とは異なり、認証機関は組織と対等な立場で審査を行います。よってISOの認証審査は、組織の運営をより良くするための機会として捉えることができます。

実際の審査では、ISOマネジメントシステムの審査員が企業のトップに代わり、トップメッセージが組織の隅々まで行き渡っているか、不明確な手順やブラックボックス化している業務はないかなどを確認していきます。皆さんの会社が認証審査を受ける際は、社内の問題点などを審査員に伝え、組織運営を改善するための機会として審査を活用することをおすすめします。

さらに海外進出の際にも、ISOマネジメントシステムのようなトップダウン型の管理ツールは有効です。海外事業所で多くの従業員の管理を行う場合、現地語を話す従業員と直接コミュニケーションを取ることは難しく、現地マネージャーと英語で話すことによって、間接的に現場の状況を把握します。そのため、現場で「本当は何が起こっているのか」を知ることは容易ではありません。現地マネージャーとの意思疎通が不十分な場合はなおさらです。その際、内部監査や外部監査(認証機関による審査)は、組織内の情報を得るための貴重な機会となります。ただし、内部監査員は監査の専門家を外部から雇い入れるのがいいでしょう。日本では、従業員の中から内部監査員を任命することが大半です。しかし海外ではジョブ・ディスクリプション(職務記述書)以外の業務を任せることは禁じられているだけでなく、より高いチェック機能を働かせるためにも、外部から専門家を雇うべきと考えられています。

2. ボトムアップの仕組みとしてのISOマネジメントシステム

家族的経営の組織や、日本的なボトムアップのシステムの中でも、ISOマネジメントシステムを有効に活用することはできます。以下に挙げるISOマネジメントシステムの特徴は、会社経営に必要となる基本的な要素です。

1. 規定・手順を明確に定めること
2. 責任・権限が明確になること
3. プロセスごとの管理をするため、目標や管理のポイントが明確になること
4. 内部監査により、内部からのチェックが有効になること
5. 外部監査や顧客アンケート、苦情処理などにより、
    外部(顧客やその他の利害関係者)の声を取り入れられること

このように、ISOマネジメントシステムには、経営に関する基本的事項が網羅されています。これらは、事業継続のためのノウハウ(業務手順)伝承にも役立つため、中堅・中小企業にとっての経営管理ツールとして効果を発揮します。

また、私たちは、消費者の立場でさまざまな製品やサービスを購入します。それらの製品やサービスに対し、不満を抱くこともあるでしょう。これを消費者ではなく、製品やサービスを提供する企業の立場から、消費者の不満がどこにあるかを迅速に発見するには、「顧客満足度の監視」の実施が有効です。加えて、内部監査を真剣に実施すれば、社内からもさまざまな意見が出てくるはずです。内外の声に向き合うことで、製品や組織の問題点を把握でき、同時に従業員一人一人の意識を高めることができます。

3. ISOマネジメントシステムの社会的意義

組織がISO認証を取得する場合、審査を行うのは、特定の認証機関です。その認証機関の信頼性を保証するために、グローバルな認定制度があります。日本には、「日本適合性認定協会(JAB:Japan Accreditation Board)」と「日本情報経済社会推進協会(JIPDEC:Japan Institute for Promotion of Digital Economy and Community)」という2つの「認定機関」と、この2つの認定機関が認定した「認証機関」が約50社あります(図1)。

図1:ISO認定認証制度の仕組み

図1:ISO認定認証制度の仕組み

これらの認証機関は、JABマークまたはJIPDECマークの付いた「認証証明書(登録証)」を発行し、認証業務を行うことができます(図2)。基本的には、どの認証機関が発行したものでも同等の価値を有し、認証を得た組織は、国際規格にのっとった仕組みで、運用を行っている組織であると見なされます。

図2:認証証明書(登録証)のサンプル

図2:認証証明書(登録証)のサンプル

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4. 品質とは何か?環境とは何か?

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