ISO 9001(品質マネジメントシステム)の審査の流れ:ISOマネジメントシステムの基礎知識3

ISOマネジメントシステム規格とは?:ISOマネジメントシステムの基礎知識1

更新日:2016年6月29日(初回投稿)
著者:一般財団法人日本品質保証機構 マネジメントシステム部門 企画センター 仲矢 新

前回は、品質マネジメントシステム ISO 9001の概要と、それを運用する際に留意すべき事柄について解説しました。今回は、ISO 9001の審査の流れについて説明します。より具体的に理解できるように、皆さんの組織(企業など)が認証機関から審査を受ける場面を想定し、審査の過程に沿って説明します。

1. トップマネジメントに対する審査

一般的に審査初日には、トップマネジメント、およびその代理の方(以前は「管理責任者」と呼ばれていた方)に、次のような組織の経営全般にわたる内容についてインタビューします。

例えば、環境マネジメントシステム(ISO 14001)を構築する場合、組織を取り巻く全ての環境管理事項(資源、廃棄物、生態系への影響など)を管理することは不可能です。経営の観点からみても、限られた資源(人・モノ・金)を、環境管理のためだけに重点的に投入する余裕はないでしょう。そこで優先順位を決めます。環境上の問題点を列挙し、影響の大小を評価し、影響の大きいものから優先的に管理するのです。

トップマネジメントへのインタビュー事項

  1.  組織をとりまく経営状況
    (経営方針、リスクの状況や内外の経営に影響を及ぼす事項)
  2.  品質マネジメントシステム(QMS)の方針、目標と実績
  3.  組織内部の状況
    (責任権限、プロセスの全体像、規定・手順の管理など)
  4.  内部監査、マネジメント・レビュー
  5.  顧客のニーズや要望、顧客満足(CS)の監視状況

上記1~4は組織の運営に関わるものです。審査員は、QMSの構築、運営の状況をトップに聞いて、QMSのアウトラインを把握します。そして、現場審査の際にそれらがどのように反映されているかを確認します。

QMSの仕組みとしては次の4段階の「監視(測定)」が定められています。(「測定」は「監視」の一形態なので、今後は「監視」に含めます。)

QMS 4段階の監視

  1.  プロセスの監視:個々のプロセスにおける管理のポイントの
     チェック
  2.  製品の監視:工程内検査、最終検査と購買品の検査など
  3.  マネジメントとしての監視:内部監査(注1)とマネジメント・
     レビュー(注2)
  4.   顧客意見の監視:顧客アンケート、苦情対応など

注1:内部監査は、内部監査員が経営者に代わってISO規格を監査基準として組織内を監査するもので、マネジメント・レビューのインプット項目の一つです。

注2:マネジメント・レビューは、経営者が指示を出す場です。その際には経営者の立場からQMSのさまざまな重要事項をチェックすることが期待されています。

1と2は現場審査で個別に確認する項目、3と4は経営者(トップマネジメント)に確認する内容です。特に、3のマネジメントとしての監視は、組織にとってQMS運営の要になるので、審査員はとりわけ詳細に確認します。また、その記録も細かく要求されているので、詳細な記録を取っておくことが望ましいといえます。

外部との関係で最も重要なのが「顧客」です。4の顧客意見の監視については、組織として、どのように苦情対応をしているか、CS監視の結果をどのように組織のQMSに取り入れて改善しているかなどを審査員は確認します。製品を受けとる消費者が「顧客」である通常のQMSのケースでは、CS監視として顧客(消費者)にアンケートを取ることが一般的です。

しかしながら業界独自(自動車や航空機など)のQMS規格の場合は事情が異なります。例えば、自動車部品を製造している組織がQMSを運営しているとすれば、「顧客」は部品を納品している自動車メーカーであり、顧客である自動車メーカーからの要望や苦情について、組織として十分に認識して対応しなければなりません。このような場合、認証機関はスキームオーナーと呼ばれる業界団体が設けている業界独自のQMS規格および認証制度に基づいて、ISO 9001の審査よりも厳しい基準での審査を行います。

QMS体系図 プロセスの連鎖を一連の流れとして管理する

図1:QMS体系図 プロセスの連鎖を一連の流れとして管理する

2. 現場の審査

経営層(トップマネジメント)に対するインタビューが終わると、審査員はそこで得た情報を元に、個別の現場(個々のプロセス)の審査を実施します。

現場のプロセスを見る場合は、製品の流れに沿って見ることが一般的ですが、後ろから見ていく審査手法もあり、やり方が決まっているわけではありません。各々のプロセスについては、プロセスの責任者(例えば、各部署の部課長レベル)に仕事の詳細を聞きます。具体的には、仕事に関係する経営資源(ヒト、モノ、設備、手順)をどのように管理しているか、業務の流れに沿って現場で正しい処理をしているかどうかなどを見ます。管理のポイントとしては、不良率や検査の記録などを確認し、日常業務がスムースに流れているかどうか、また、その他の部署(プロセス)との関係がうまく回っているかどうかを審査します。

3. 不適合の管理

ISOのマネジメントシステムの審査は、「要求事項に対する適合性の確認」です。しかし、もし不適合が出たらどうしたらいいでしょうか? そもそも、不適合とは何でしょうか?

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4. 登録証および審査報告書

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